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【メルメルがんばる!】ヴァイシャリーに迫る危機!?

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【メルメルがんばる!】ヴァイシャリーに迫る危機!?

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★プロローグ「ヴァイシャリーの危機!」★


 時刻はさかのぼり、メルメルことメルヴィア・聆珈(めるう゛ぃあ・れいか)が非番を楽しもうとお気に入りのぬいぐるみ店へやってきていた。
「うわぁ、可愛いなの」
 飾られたたくさんのぬいぐるみに目を奪われつつ、メルメルはお目当ての子を見つけました。いなくなっているかも、と不安だっただけにとても嬉しそうな笑顔でそのクマのぬいぐるみを抱きしめ、意気揚々とレジへ向かいました。
「見てください、三月ちゃん。この猫さんとても可愛くないですか?」
 そんなお店の別の場所で幸せそうに笑っているのは杜守 柚(ともり・ゆず)と、少し苦笑気味な杜守 三月(ともり・みつき)。2人も買い物へやってきたらしい。
 柚はそうとう手に持ったその猫のぬいぐるみを気に行ったのか、上機嫌でレジへ行き
「あら。そのクマさん、とても可愛いですね?」
「ありがとうぉ。猫さんも可愛いのぉ」
「ありがとうございます!」
「柚? どうし……あれ?」
 三月が会計に時間がかかっているのを心配してやってきて、話に混じる。内容がぬいぐるみ談議であったので、見守っていたという方が正しいか。
 カランカラン。
 どこか可愛らしい響きのベルが鳴り、店へ入ってきたのはニキータ・エリザロフ(にきーた・えりざろふ)。ぬいぐるみが好きなのか。店内を眺める目は嬉しげだ。そして少し小さめのクマのぬいぐるみ(赤いリボンがおしゃれだ)を手にしてレジへと向かう。
「あらっ可愛い。その子あなたんちの子になったのねぇ。あらそっちの子も可愛いわね」
 オカ……女性らしい口調でニキータがメルメルと柚が手にしたぬいぐるみを褒めた。メルメルも柚もまんざらではなさそうな顔で礼を言い、ニキータの子も褒める。
 しばし女性同士(?)のぬいぐるみ談議で盛り上がったが、それぞれ予定もあったので惜しみつつ別れた。メルメルも店を出る。その顔は満足そうだ。
 そしてこの後メルメルは暴走する動物たちを発見し、メルメルモードのまま騒動へと巻き込まれていったのだった。



 そしてラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)の元へ、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)がやってきていた。2人とも民間人の避難を手伝おうとしたのだが、ラズィーヤは住民たちに今回の危機を伝えてすらいなかった。
「最悪の時の為の手配だけはしておくべきでは?」
 そう心配する2人に、ラズィーヤは「不要」と述べて微笑んだ。
「わたくしはあなたたちを信じております。ですから、むやみに知らせて不安をあおる必要はございませんわ」
 それは深い深い信頼の言葉。そこまでハッキリと言われてしまえば、それ以上言えることはなく、2人は顔を見合わせた後、軍人としての敬礼をした。
「はっ! 必ずヴァイシャリーを守って見せるであります」
 その後ルカルカは現場へ急行していき、吹雪はというとさいごの砦としてヴァイシャリーより少し離れた位置に陣取った。
 目には『必ず守るのだ』という強い意志が垣間見え、そんな吹雪を見たコルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)
「吹雪が……まともに仕事しているですって?」
 驚愕して目を丸くしていた。熱を測ったり、喉を見たり、眼球を確認したりしてから、ようやく吹雪が「まともなことも本当にしているのだ」と確信したコルセアは、それはそれは嬉しそうな顔をしたのだった。
 一体普段、どれだけ苦労しているのか……嬉しそうな瞳にたまった涙がそれを語っている。
「これからもずっとこうだといいんだけど」

 一方ラズィーヤは、普段と変わらぬ活気あふれた街を見下ろしながら微笑みを絶やさない。街に訪れた危機を、危機と思っていないかのように。
「みなさん……よろしくお願いしますわね」
 いや、そこにあるのはただ信頼のみ。だから彼女は笑っていられるのだった。