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祭とライブと森の守り手

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祭とライブと森の守り手

リアクション


プロローグ

「さてと……とりあえず頭数揃ったし、野盗退治に向かうか。アテナ、準備は大丈夫?」
「準備おーけーだよ。瑛菜おねーちゃん」
 ニルミナスの村。その祭の当日。まだ祭が始まらない中、熾月 瑛菜(しづき・えいな)アテナ・リネア(あてな・りねあ)はそんなやりとりをする。二人のいる村の集会所には祭を楽しみに来た契約者達が、森に現れたという野盗を捕まえるために集まっていた。
「それじゃ、ミナホ。行ってくるよ」
 みなの準備が整っているのを確認して瑛菜は村長であり、今回の野盗退治の依頼をしたミナホにそう言う。
「……はい。みなさんお気をつけて」
 そう答えるミナホの様子は暗い。
「はぁ……あんた自分も付いて行きたいって思ってるだろ。わかってるとは思うけど……」
「はい……契約者でもない私はただの足手まといですし……それに、私にはここでやらないといけないことがありますから」
 本当は付いて行きたい。でも村長としてこの祭を楽しみにしてきた人たちへの責任を捨てることは出来ないとミナホは言う。
「なので、私の代わりに父を連れて行ってください」
「……は? 前村長を?」
 ミナホの父である前村長は見た目ただの中年男性であり、腰を慢性的に痛めているためミナホ以上に役に立ちそうにない。
「瑛菜おねーちゃん。きっと前村長さんはあれができるからじゃないかな?」
 ミナホの父を連れて行ってという発言の意図を理解したアテナが瑛菜にそう言う。
「……あぁ、なるほど。ここに集まった人たちならうまく利用できそうだね」
 瑛菜も理解したのか頷く。
「じゃあ、前村長をありがたく借りてくよ。……じゃ、ライブが始まるまでに帰るよ」
「お祭も楽しみたいから早く終わらせようね瑛菜おねーちゃん」
 そう言って森に向かう瑛菜やアテナ、他の契約者達をミナホは見送る。


 野盗退治に村祭り。始まりの時は近かった。