天御柱学院

リアクション

■祭りの後
　賑やかな恋活祭は大盛況の内にフィナーレを迎えた。始まった祭りはいつかは終わるが、参加者達の胸には様々な想いが入り混じった色褪せない思い出となっていつまでも残る事に。幸せな出来事はこれからの日々を過ごしていく糧となるだろう。

　ちなみに今回の『ロンリー・オブ・ロンリー』の称号の獲得者は吹雪だった。内訳としては高得点の金・銀が多く真鍮はわずかであった。元々参加する独り者少なかったり友人同士でも貰わなかったりがあったためだろう。
「これで当分、食費に困らないでありますよ！」
　吹雪は今回の祭りに出店していた飲食店の営業日に無料で食事が出来る『食事無料券：露店出店経験店のみ（５０枚綴り）』を嬉しそうに確認。基本お金に困っているためなかなかの賞品らしい。昨年より少しだけ質が向上。
　しかし、賞品はそれだけではなかった。
「これはなかなかでありますよ！　風でも雪でも負けないであります！」
　吹雪は再度声を上げる。もう一つは魔法製の防寒セット、『冬を乗り越えよう４点セット（帽子・手袋・マフラー・ジャケット）』だった。雨風雪にも負けない最強の防寒セットだ。屋台で商売をする事がある吹雪にとっては助かる物である。
「望み通りの賞品という事か」
　イングラハムは喜ぶ吹雪を尻目にぽつりと言葉を吐いた。
　賞品の価値は人それぞれという事だろうか。

　クレープ屋『天使の羽』で密かに繰り広げられた販売勝負の行方は
「す、凄いです。全部売り切れましたよ」
　リースは喜びの声を上げていた。クレープは全て完売したのだ。
「嬉しいんだけど、これって桐条さんと同点という事だよね」
　マーガレットは嬉しい残念が混じった神妙な表情をしていた。全てという事は勝負が着かなかったという事なので。
「ふむ、そういう事だな。そもそもクレープが作れぬというのにわしに勝負を挑む事自体愚かな行為ぞ」
　隆元は小馬鹿にしたようにマーガレットに言った。
「……むっ」
　むっとするマーガレット。
「あ、あの早く後片付けをしましょう」
　リースがおろおろと二人の間に入り、何とか後片付けを始めたという。

　そして後日、主催者である恋活祭開催委員会に陽太と環菜夫妻からとてもロマンチックな夜を夫婦で過ごせた事に感謝をするメール届いた。メールの最後には、差支えが無ければ恋活祭が素晴らしかった旨の評判を多くの方に宣伝したいとあった。
　主催者達はその言葉に感謝しつつ、来年もまた良き恋活祭を催す決意を固めた。

　宣伝の許可を貰った陽太は『宣伝広告』で恋活祭の事を広めた。すると多くの人達が恋活祭に興味を持ったという。