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いい湯だな♪

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いい湯だな♪

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    ★    ★    ★
 
しめしめ。今は誰もいないようじゃな
 誰もいなくなった女子脱衣場に、なんだか忍び込むようにして入ってきたのは医心方 房内(いしんぼう・ぼうない)でした。何やら、悪巧みに目を輝かせています。
「現れよ、救世主・木村太郎に、信者・末光透よ!」
「呼んだか」
「お呼びになりましたか」
 医心方房内が両手を挙げて叫ぶと、瞬く間に救世主と信者が現れます。男子脱衣所から急いで駆けつけたのか、すでに二人共すっぽんぽんです。
「よし、わらわがS級四天王となるために、スティアン・ゴルジュを集めるのじゃ!」
「ははっ」
 医心方房内に言われて、二人が脱衣所に散らばるブラジャーをかき集め始めました。医心方房内的には、ちょっとお洒落に乳バンドはフランス語でスティアン・ゴルジュと呼びたいようです。そのため、スティアン・ゴルジュの頭文字SGからSをとってS級四天王らしいのですが、本来のS級四天王と紛らわしいことこの上ありません。彼らの耳に入ったら、ポータラカ人なみの大きさにまで切り刻まれそうです。
「むむっ、あそこにまだスティアン・ゴルジュが隠されておるぞ。持ってくるのじゃ」
 野良うさぎストラップが、ブラジャーのある方向に引き寄せられて靡きますので、それを頼りに医心方房内が指示を出します。ほとんどダウジング状態です。
「さてと……」
 救世主たちがブラジャーを集めている間に、医心方房内がいそいそと服を脱ぎ始めます。本人のエロさとは違って、ピンクの可愛らしい下着です。ちょっと意外です。
 お風呂ですから、いちおうそれも脱ぎます。
 救世主や信者がいても物怖じしません。その足許には、彼らが集めてきたブラジャーが山積みにされて集められていました。
「さてと……」
 すっぽんぽんになった医心方房内が、戦利品の一つを手にとって、自分のぺったんこの胸に押しあててみました。超ぶかぶかです。おそらくは、泉美緒の物でしょう。
「どうじゃ?」
 救世主と信者に感想を求めますが、なんと言いますか、その……ぶかぶかすぎます。さすがに、二人が感想を控えました。
「貴様ら……!」
 ならばこうだと、医心方房内が手に入れたブラジャーを何重にも着けていきました。ないちちから、ちっぱいから、普通から、たっゆんへと、サイズ順に着けていきます。小さいブラジャーがパッドの代わりになって、さすがに泉美緒のブラジャーも隙間なく着ることができました。
「今度こそ、どうじゃ?」
 医心方房内が、ポーズを決めて訊ねます。
「おおー」
 パチパチパチと、救世主と信者が拍手をしました。
「よし、さらなる獲物を求めるぞ、ついてくるのじゃ!」
 そう言うと、医心方房内は浴室内へと入っていきました。
 
    ★    ★    ★
 
「今日は、イルミンスール魔法学校の地下大浴場にお邪魔しています。それでは、責任者でもある校長先生にインタビューをしてみましょう」
 水着姿のシャレード・ムーン(しゃれーど・むーん)が、黄金風呂にぞんざいに浸かっているシャンプーハットを被ったエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)にマイクをむけました。黄色いビキニ姿ですが、かなりいいスタイルをしています。お風呂特番の番組の取材と言ったところでしょうか。
「お風呂開きということですが、これはどんな行事なのでしょうか」
「大浴場の新年最初のお風呂をみんなで楽しむ行事なんですぅ」
 シャレード・ムーンに聞かれて、エリザベート・ワルプルギスが黄金風呂の縁につかまりながら答えました。豪華な黄金風呂なのですが、アヒルの形をしているので、なんだか子供用プールみたいに見えます。
「これは、昔からの行事なのですか?」
「違うですぅ。今年から、この私が決めましたんですぅ」
 えっへんと、エリザベート・ワルプルギスが、イルミンスール魔法学校指定水着を着たちっぱいを自慢げに反らしながら言いました。
「この大浴場は、かつてマジック・スライム騒ぎでかなり破壊されてな。だが、リニューアルしてからは、人気のレクリエーション施設となったのじゃ。今日は、今年最初の開場日でお風呂開きというわけじゃな」
 アーデルハイト・ワルプルギスが説明します。
「確かに、他の学校からもたくさんのゲストが……」
 シャレード・ムーンがインタビューを続けようとすると、その後ろを、「わーい」と歓声をあげながら、たくさんのブラジャーを着けた医心方房内たちが走り抜けていきました。同行する二人の男は全裸です。
「カメラストーップ!!」
 あわててシャレード・ムーンが録画を止めます。生放送でなくて幸いでした。
「いいんですか、今の全裸でしたよ!?」
「いちおう許可はされているがのう。まあ、人好き好きということじゃ」
 あっけらかんと、アーデルハイト・ワルプルギスが言いました。さすが、普段魔女の短衣などというエロい格好でいるだけのことはあります。
「はあ、そうですか。では、インタビューを再開させていただきます。――それでは、ここイルミンスール大浴場の効能に参りましょう」
「はい、肩こり、冷え性、風邪、内臓疾患、様々な体調不良を癒やす、すばらしい効果のある温泉? ですう」
 効能の書いた立て看板を持った大谷文美が、黄金風呂のそばの瓢箪型の浴槽の中から言いました。お湯の浮力で、水着につつまれたたっゆんがプカプカと水面近くに浮いています。ちょっとだけ、エリザベート・ワルプルギスとアーデルハイト・ワルプルギスがむっとした顔をしました。
「別に世界樹から温泉が湧いているわけではないが、ここで使われているお湯には、世界樹の樹液が若干入っておるからな。効果は抜群じゃ」
 アーデルハイト・ワルプルギスが自慢げに言いました。大谷文美に負けじと胸をはりますが、こちらもちっぱいです。