リアクション
第3ターン 『さあ、第3ターン、トップに変動がありました。エリシア・ボック選手、トップです』 「ほーっほほほほ、このまま優勝ですわ」 まだ序盤なのに、エリシア・ボックが勝ち誇った。 『2番手は、それを、猛烈に追いかける小鳥遊美羽選手。トップからスピードを押しと多秋月葵選手。両者がならんで追従します』 「油断しちゃダメだよ♪ 冷凍マグロでライバルは減ったから、このまま行くんだもん」 放り投げた冷凍マグロで一気に三人を屠った小鳥遊美羽が勢いに乗る。 「まだまだ、これからだもん」 秋月葵も負けてはいない。 『4番手には、佐々木弥十郎選手、クリスティー・モーガン選手です。クリスティー・モーガン選手、一気に順位を上げてきました。 6番手は、ペルセポネ・エレウシス選手です』 「周囲の状況を記録しています。ペルセポネ様は、レースに集中してください」 バックパックの中でちまちまとユグドラシル内部の建物配置をメモしながら、ヘスティア・ウルカヌスが言った。 『7番手は、フォン・ユンツト著『無名祭祀書』選手、ノーン・クリスタリア選手、天城一輝選手、イコナ・ユア・クックブック選手が一団となっています。天城一輝選手、ちょっと慎重になりすぎたか。じりじりと順位を下げています』 「やったあ、鉄心がドベですわ。後は、わたくしが優勝するだけですわ!」 源鉄心のリタイアを知って、イコナ・ユア・クックブックが小躍りして喜ぶ。 『11番手は、南鮪選手です。パンティーの放流に少し時間をかけすぎたか。 12番手には、パートナーのハーリー・デビットソン選手が追いついてきました。浮遊ブロック地帯を、特異のウィリーで乗り越えようとします。華麗に、前方のブロックを飛び越えた。おおっと、これは運が悪い。避けたブロックの陰にもう一つのブロックがあった。激突、激突です。もれたオイルに引火しながら、ハーリー・デビットソン選手墜落していきます。急いで、竜騎士隊が消火にあたります。これは、飛び跳ねないで、素直に避けていた方がよかったか』 「障害物? そんな物は粉砕すればいいのだ!」 『おおっと、続いては、旧ジェイダス人形をかかえ持ってきたジャジラッド・ボゴル選手、おやつの恐竜の卵に穴を開けて一気飲みすると、アダムスキーの戦輪で障害物をものともせずにブロックを粉砕して突き進んでいきます。これは豪快だ。 13番手は、ティー・ティー選手がキープしています。なんだか、嬉しそうです』 「やったあ、これで、鉄心が罰ゲームですうさ。ボーさんもうかばれるうさ」 にこにこしながら、ティー・ティーが言った。 『14番手は、おおっと、雪国ベア選手だ。神速で新ジェイダス人形をかっさらって一気に順位を上げてきました。その勢いにあおられて、激しく空飛ぶパンティーが舞い踊ります。 緋桜ケイ選手、空飛ぶパンティーが散ってしまったので、なんとか平常心を保って突破してきました』 「ん? いま、何か飛んでたか? まあいい、おらおら、ぶっ飛びやがれー! じゃあな、ケイ」 調子に乗る雪国ベアが、爆走していく。 『16番手は、ベアトリーチェ・アイブリンガー選手です。小柄な新ジェイダス人形を拾うと、背負って進んできました。 17番手は、ソア・ウェンボリス選手、真名美・西園寺選手、小ババ様選手です』 「ベアったら、私を追い抜くなんて、凄いです。もうあんな先に行っちゃいました」 雪国ベアにいきなり追い越されて、ソア・ウェンボリスがびっくりしている。おかげで、イコナ・ユア・クックブックがばらまいたチョコレートには気づかなかった。 「それじゃ、引っ掛かった皆さん、お先に〜」 悠久ノカナタと清泉北都が忍び蚕の糸に引っ掛かってリタイアしたのを確認すると、新ジェイダス人形を拾った真名美・西園寺は、それを背負って忍び蚕の糸で身体に巻きつけた。スキルが使えなくなるが、商人なのでレース中は関係ないらしい。そのためかは知らないが、こちらもチョコレートには気づかずに進んで行った。 小ババ様でさえ、チョコには気づかない。やはり、もっと大きな目立つチョコレートの方がよかったのではないだろうか。高級チョコレートというものは、概して小さいのが特徴であるのだから。 『20番手は、クナイ・アヤシ選手ですが、レッサーワイバーンで旧ジェイダス人形の羽根飾りを掴んで運ぼうとしました。けれども、掴んだところが悪かったようです。勢いでクルリと背後で一回転した人形がクナイ・アヤシ選手の後頭部を直撃しました! リタイアです』 「うぐっ……。くっ、こんな所で……。北都、愛してますよー!」 清泉北都の後を追うようにして、クナイ・アヤシが落下していった。 「ああ、ジェイダス様は、人形になってもお強い」 『おおっと、クリストファー・モーガン選手、立ち止まってジェイダス人形群をうっとりとながめてしまっています。それでも、クナイ・アヤシ選手のリタイアによって、現在20番手です』 「違うわよ、きっと私たちに見とれてるのよね」 「そ、そうかもしれないわね」 自信満々に言う綾原さゆみ、アデリーヌ・シャントルイユがちょっと困りながら答えた。 『21番手は、天貴彩羽選手です。龍砲天羽々矢選手、やっとエンジンがかかってきたか。 22番手は、御神楽舞花選手です』 「何かある……。くっ、なるほど、そう来ましたか。このまま行ったら、きっと引っ掛かるわ」 『おおっと、御神楽舞花選手、素早くコースを変えた。どうやら、忍び蚕の糸が張り巡らされているのを未来予知して回避した模様です。 続く、フレロビ・マイトナー選手、コースを変えずに、もろに忍び蚕の糸に突っ込みました。リタイアです! ラストは、相変わらず葛城吹雪選手です』 「おかしい、機晶アクセラレータを装備しているのに、なんでターボが働かないんでありますか?」 遅々として進まないDS級空飛ぶ円盤に、葛城吹雪が首をかしげた。 「それにしても、とろいわね」 「もしかして、ターボの起動スイッチつけ忘れたとか。そんなところだろう。はい、たこ焼き追加お待ち!!」 ダメダメじゃないと言うコルセア・レキシントンに、イングラハム・カニンガムが言った。 ★ ★ ★ 『またもや、リタイアが出た第3ターン。 現在の順位です』 1番手 エリシア・ボック 2 小鳥遊美羽 秋月葵 4 佐々木弥十郎 クリスティー・モーガン 6 ペルセポネ・エレウシス 7 フォン・ユンツト著『無名祭祀書』 ノーン・クリスタリア 天城一輝 イコナ・ユア・クックブック 11 南鮪 12 ジャジラッド・ボゴル 13 ティー・ティー 14 緋桜ケイ 雪国ベア 16 ベアトリーチェ・アイブリンガー 17 ソア・ウェンボリス 真名美・西園寺 小ババ様 20 クリストファー・モーガン 21 天貴彩羽 22 御神楽舞花 23 葛城吹雪 リタイア ハーリー・デビットソン クナイ・アヤシ フレロビ・マイトナー&ニルス・マイトナー |
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