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理不尽世界のキリングタイム ―トラブルシューティング―

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理不尽世界のキリングタイム ―トラブルシューティング―

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第六章 やっぱオチはこうでないと

――中央部の扉は開かれた。
「よっしゃぁー! 進めー!」
「さぁボクと一緒に新世界へ飛び込もうよ!」
 無理矢理小暮(1/4)を盾に突き進むマネキ(0/3)とマイキー(0/3)。
 中央部へと足を踏み入れた、直後。

「「「アーオッ!?」」」

 3名が爆散した。マネキとマイキーは残機が尽きた為、ここまでである。
「まぁ、こうなるとは思ってたよ」
 セリス(0/3)が呆れた様に呟いた。すぐに小暮(0/4)が送られてくる。
「そこまでだ!」
 何者かの声に反応し、美羽(2/3)、セレンフィリティ(0/3)とセレアナ(0/3)、さゆみ(1/4)、恭也(2/2)が銃口を向ける。
 銃口の先に居たのは、
「よくも私の研究所を滅茶苦茶にしてくれたなテロリストめ! 絶対許さないんだから覚悟しろ! ただでは帰さないんだから!」
白衣を纏った、少女であった。何か武器の様な物を持っている様子は無いが、容疑者達への怒りを隠そうとはしない。
「テロリスト? それに、私の研究所? あ、あなたはここを占拠したテロリストじゃないんですか?」
 牡丹(1/2)が問うと、「はぁ!?」と少女は訝しげな表情になる。
「何言ってんの? 私はこの研究所の所長よ! テロリストはあんた達でしょ!? 入り口の警備兵倒して侵入してきたって事はわかってんのよ!」
「……どういうこと?」
 レナリィ(0/2)が首を傾げるが、「さ、さぁ……」と牡丹も首を傾げる事しかできない。
「……こりゃ嵌められた臭いっすねぇ」
 明志(1/3)が呟く。
「嵌められた?」
「どういうことだ?」
 甚五郎(2/5)とオリバー(2/5)に問われると、明志が面倒臭そうに頭を掻いた。
「思い出してみてもくださいよ。あのなななさん、俺達には『研究所は占拠されている』くらいしか言ってないんです。『敵』と『任務』は明確にしてなかったんですよ」
「成程……つまりは、任務自体なななの虚言ということになるのだな?」
「とすると、任務の成功も何もないではないか!」
 リリ(0/3)とララ(1/3)の言葉に、明志が頷く。
「ちょっと! 何をごちゃごちゃ言ってるのよ! いい加減――」
 少女――所長が苛立たしげに言った、その時であった。
「ちょっと待った……何だ、この音は? 地響きみたいな……」
 小暮が言うと、何処からか地響きのような音が鳴り響いている事に、その場に居た皆が気づく。

「我々は、革命的人民解放戦線である!」

 そして、白衣の集団が中央部へと雪崩れ込んできた。その数は3桁に近い。
「ふっふっふ! 肉盾はたんまり集めたわ! おかげで通路も何にも怖くなかったわよ! さぁ観念しなさいテロリスト! 行け同志達よ! 革命を果たすのだ!」
 その後ろで、エリス(2/3)が白衣の集団――共産主義に染まった研究者達を扇動していた。
「な――人の部下を洗脳するなんて……あんた達何処まで非道なのよ!? この悪魔!」
 所長が容疑者達に向かって叫ぶ。行ったエリスが仲間といえば仲間なので、誰も否定できず口ごもる。

「給料をあげろぉぉぉぉ!」
「給料が何処かのスーパーの割引券だなんてあんまりだぁッ!」
「休みをよこせぇッ! 1日は96時間ないんだぞぉッ!」


 叫びながら研究者達が手当たり次第破壊していく。
「……少なくとも所長殿にも原因はあったと思うんだが」
「何の事かしら」
 小暮の言葉に、所長はあさっての方向を向く。
 だがそうこうしている間にも、研究者達の暴動はエスカレートしていき、更には容疑者達にも矛先が向けられる。
「ね、ねぇ! これヤバいよ!」
 研究者たちの攻撃を避けつつ、美羽が叫ぶ。
「数が多すぎるわ! このままだと私達までやられちゃうわよ!」
「くっ……! ちゃんと相手見ろってーのよ!」
 セレアナの援護を受けながら、セレンフィリティが研究者を銃撃していく。が、数が多すぎる為どんどん状況は悪化していくばかりである。
「フハハハハ! 今こそ我らの出番よ! ゆけぇいヘスティア! そして【戦闘員】よ! 悪しき契約者達を葬るのだ!」
 状況を見守っていたが、今が好機とばかりにハデス(0/4)がヘスティア(0/4)や【戦闘員】達に向かって叫ぶ。が、
「は、はいご主人様……じゃなくてハデス博士……ってもう武器が無いんですが! はわわわわ、どうしましょうか!?」
武器が尽きた為、ヘスティアもただ慌てふためくだけであった。彼らは放っておいて良さそうだ。

「さて、黙って傍観していたわけだが、この状況どうするのだ?」
 那由他(2/3)が昌毅(3/3)とカスケード(2/3)に問う。
「ここで逃げたら後で何言われるかわからないからな。行くぞカスケード」
 昌毅はそう言って大型の二丁拳銃【シュヴァルツ】【ヴァイス】を取り出すと、カスケードに一丁放る。
「うむ……どうも拳銃は使いにくいんじゃがのぉ。振り回して殴った方がよさそう――」
「ZapZapZap」
「おわっ!?」
 カスケードが気配を察して身をかわすと、一瞬遅れて吹雪(0/2)の鉄パイプが振り下ろされる。
「ちっ、流石契約者。だが次は外さないであります」
 そう言って吹雪がじりじりとカスケードに詰め寄る。
「おいおい、ただのデカい拳銃で人を契約者扱いか?」
 昌毅が銃口を吹雪に向けようとする。
「ただのデカい拳銃、ねぇ……一般人が使えるデカさじゃないと思うんだがなぁ?」
 そんな昌毅に、恭也がアサルトライフルを突きつけた。そして同時に昌毅も銃口を恭也へと向ける。
「こう見えても見た目以上にマッチョ、って言い訳は?」
「通用できる大きさか?」
 恭也はそう言って昌毅から目を離さない。昌毅と恭也、カスケードと吹雪がお互い睨み合った状態になった。

「こ、今度こそもう終わりだぁ……」
 シン(1/2)は目の前の破壊活動に全く動けず、ただガクガクと震えていた。
「えぇいいざという時までヘタレるかコイツは!」
 九条(1/2)がシンの胸ぐらを掴み、ガクガクと揺さぶる。
「いいかヘタレ! ここで泣き言を言っていても事態は悪化するだけだ! それが嫌なら戦え! 戦って一人でも多くの敵を減らせ! 私はその間に逃げる! 貴様は時間を稼げ!」
「こ、こいつどこまでガチクズなんだ……!?」
 自身を完全に肉盾にしか見ていない九条に、シンが戦慄する。
「けどいつまでもここに居てもどうにもならなそうよ……っと! やば、もう弾無いし……」
 研究員を迎撃しながら、さゆみが呟く。所持していた武器の弾薬が尽きたのである。
「じょ、冗談じゃないわよ! こんなところで死んでたまるかってのよ! ラブちゃんが死んだら世界の終りなのよ!?」
 ラブ(0/2)が絶望しきった表情で叫んだ。
「さゆみ、武器庫で手に入れたアレを使うのですわ! その隙に脱出するのです!」
 アデリーヌ(1/4)の言葉に、さゆみは思い出す。
 武器庫で手に入れて、まだ使用していなかった『ブルーライトボム』を取り出す。
「あれ? さっきより青い光が強くなったような気が……」
「気のせいですわ。それよりも、早く!」
 アデリーヌに言われ、さゆみは『ブルーライトボム』を放った。
「……え、ちょ、それマジでヤバい奴じゃんかよぉ!? ストップストーップ!」
 それを見ていた明志が止めるが、既に青い光を放つそれは、さゆみの手を離れていた。

「……もうここまで、か」
 目の前で繰り広げられる惨劇に、所長が呟いた。その顔はある一種の覚悟を決めた者の顔である。
「……ッ! レナリィ所長を止めて! 彼女は自爆装置を持っています!」
 その所長の表情を見た牡丹が、レナリィに叫ぶ。
 頷くと、レナリィは所長の背後から飛び掛かり、抑え込むと腕を掴む。
「……あれ、装置が無い!?」
 だが、その腕には装置は無かった。慌ててもう片方の手を見るが、そちらも空。
 レナリィが慌てる中、所長は歯を強く喰いしばった。

――その瞬間、カチリとスイッチが入る様な音がした。

『警告! 研究所内の自爆スイッチが押されました! 警告! 研究所内の自爆スイッチが押されました!』

 研究所内に鳴り響くアラームとアナウンス。

『残り時間は後3秒! 研究所内の方々は遺言の準備を!』

 完全に殺る気満々の自爆スイッチだった。
 アナウンスに、その場に居た者達は皆動きを止めた。そして、ある種の覚悟を決めた表情でこういった。

『……次の我々は、もっとうまくやってくれるでしょう』

――その直後、研究所は大爆発に包まれた。
 爆風は全てを飲み込み、消滅させていく。
 爆風は研究所だけでなくその周囲まで及んだ。
 そこには何も残らなかった。研究所であった瓦礫はおろか、草木すらなかった。
 残ったのは、1つの大きな穴だけであった。

・残機変動リスト
リリ・スノーウォーカー GAMEOVER
ララ・サーズデイ(0/3)

小鳥遊 美羽(1/3)

藤林 エリス(0/3)

綾原 さゆみ(0/4)
アデリーヌ・シャントルイユ(0/4)

セレンフィリティ・シャーレット GAMEOVER
セレアナ・ミアキス GAMEOVER

セリス・ファーランド GAMEOVER
マネキ・ング GAMEOVER
マイキー・ウォーリー GAMEOVER

九条 ジェライザ・ローズ(0/2)
シン・クーリッジ(0/2)

斎賀 昌毅(2/3)
カスケード・チェルノボグ(1/3)
阿頼耶 那由他(1/3)

ラブ・リトル GAMEOVER

ドクター・ハデス GAMEOVER
ヘスティア・ウルカヌス GAMEOVER

葛城 吹雪 GAMEOVER

柊 恭也(1/2)

夜刀神 甚五郎(1/5)
オリバー・ホフマン(1/5)

佐々布 牡丹(0/2)
レナリィ・クエーサー GAMEOVER

遠部 明志(0/3)