リアクション
「……し、死ぬとこだった…っ」
アルクラントはどうにか這い上がった先で四つん這いになったまま、ぜいぜい息をこぼした。
しかしこんなことでめげてはいられない。むしろ、身の引き締まった思いでやる気を燃やす。絶対ここから脱出してみせると。
それからは箱を持ち上げて移動させるのにも最新の注意を払いつつ、先へと進む。
箱を乗り越えようと上に乗ったとき、ひらひらと、何か紙のような物が落ちてきた。
「なんだ? 追加ルールか?」
敵が出てきたら穴に埋めるか、箱ですりつぶして進もう。
「ここ、敵がいるのか!?」
口にした直後。
どんっと何かが後ろから足に体当たりをかけてきた。
押される格好で箱から飛び下りる。
途端鳴り響く、どこかで聞いたことあるような軽快な音楽。
♪ あらあら まあまあ 死んじゃった ♪
暗点していく視界のなか、ピカピカとGAME OVERの白文字が浮かび上がる。
え、何これ。ちょっと待って、何これ。段差下りれないの? どうクリアするの?
「しんでしまうとは まじ すぺらんかーせんせい」
それがスペランカー、アルクラントの最期の言葉でした。
数カ月後。
アルクラント・ジェニアス氏が八甲田山で謎の箱に入って発酵した状態で発見されました、という新聞が発行されたとかしないとか。
――はっ! こ、これはもしや発光インクで書かれている!?
はーーこりゃこりゃ。