校長室
王子様とプールと私
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九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)は長曽禰 広明(ながそね・ひろあき)と一緒にプールへ遊びにきていた。ローズは水着を着た上からパーカーを羽織って、売店の近くを歩いていた。 「案外色んな種類のものを売ってるんだな」 「そうですね……」 ローズは売店を眺めていて??ふと、ひとつの看板に目を止めた。 「あれ、ちょっと待ってください……」 「ん、どうした?」 足を止めたローズの視線の先には「ラーメン」の文字があった。 「特盛らあめん……寄って良いでしょうか?」 「ああ、ちょうど腹も減ってきたところだしな」 ローズと広明はラーメンの売り場にやってきた。 「ラーメン、好きなのか?」 「いえ、実は私、らあめんを食べたことがないんですよ」 ローズはラーメンのメニューを見ながら答える。 「実家では家族が、らあめんは体に悪いとうるさかったし、パラミタに来てからは手料理だけで外食はほとんどしなかったんです」 ローズはメニュー表に乗ったいくつかの種類のラーメンを眺める。 「迷いますね。どれを食べてみましょう」 「初めて食べるんだったら、この特製ラーメンってのにしてみたらどうだ?」 「そうしてみます」 ローズと広明はそれぞれラーメンを頼んだ。できあがったラーメンを前にして、ローズは物珍しそうにラーメンを眺める。 「これがらあめんですか……では、早速いただきます」 「いただきます」 手を合わせて、ローズはラーメンを口にした。 「……! こ、これは……」 途端、ローズの表情が驚いたようになり、そして綻んだ。 「美味いか?」 「はい! 家族が止めるのも頷けます。美味しすぎて箸が止まりませんね!」 ローズはスープを飲み、嬉しそうに麺を食べていく。 「麺のもちもち感に濃厚なスープが絡まり、具材の色々な食感や味がそれに見事に華を添えています。旨味の宝石箱ですね。スープも全部のみたい所です」 先ほどまで、どこか照れた様子だったのはどこへやら。急に饒舌になったローズは、あっという間にラーメンを一杯食べ終えた。 「ええと……もう一杯食べたいです。今度は違う味で」 「おう、いいんじゃないか? どれもきっと美味いぞ」 もう一杯ラーメンを注文してきたローズは、嬉しそうに二杯目のラーメンに手をつける。 「広明さんと食べるからでしょうか? すごく美味しいです!」 「そんなに気に入ったんなら、今度ラーメン食いに行くか?」 広明の提案に、ローズは目を輝かせた。 「はい、是非!」 ローズと広明は、プールそっちのけでラーメン談義に花を咲かせたのだった。