リアクション
02 国軍の意地 そして、国軍司令部。 司令部の中ではオペレーターのリーダーであるルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)が演説をしていた。 「皆、今までよく俺についてきて来てくれました。この戦いが最後です。今まで勇者の影に埋もれてきて納得できなかった人もいるでしょう。けれど今回は総力戦です。俺たち国軍も最前線に……表舞台立ちます!! いきます!!やつらを……蹂躙せよ!!!!」 その言葉とともに、全軍が鬨の声を上げる。そして、中将の葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)を司令官とした空母機動部隊を始めとした各部隊が、最後の戦いに挑もうとしていた。 「損害は気にするな。とにかくあのふんどし生命体から敵主力を切り離せ!!」 艦隊は勇者達の突入路を切り開く為、笠置 生駒(かさぎ・いこま)の艦載機部隊と連携して艦隊を囮にして敵主力艦隊を総帥から引き剥がすことを試みていた。 生駒の率いる艦載機部隊が突出と撤退を繰り返し、じわじわと敵を焦らす。何しろ突撃してきた敵に反撃をしようと思うタイミングで撤退されるのを繰り返されるものだから、ヘルガイアの将帥たちはかなりイライラしていたのだ。 「敵から通信入りました」 そしてヘルガイアのオペレータからの報告を受けた将帥は、繋げと命令する。 すると回線越しにシーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)が現れた。 「やーい! XXXXなヘルガイアのXXXXXXX野郎! お前たちはXXXXのXXXXでXXXXXなのか?」 とても表現できない伏字だらけの罵倒による挑発に、ヘルガイアの幹部たちは一気に頭に血が上る。 「おのれええええええ! 全軍突撃!!」 そして思惑通り、ヘルガイアの艦隊はこちらに突撃をしてきたのだった。 「敵、突撃してきます!」 コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)の報告に、吹雪はニヤリと笑う。 「中央後退。右翼と左翼は前進。ただしゆっくりであります」 「了解」 コルセアは吹雪の司令を全艦隊に伝えると、戦況を中央のモニターに映しだした。 突撃してきた敵艦隊に押されて、国軍の艦隊の中央部分が下がり、一見中央突破されるかのように見える。ヘルガイアも 「何だたいしたことないな」 とか考えていたりするのだが、、それこそが吹雪の狙いだった。 そして勢いづいて前進してくる敵艦隊を、吹雪は麾下の部隊を柔軟に動かしながら次第に敵艦隊を半包囲の態勢に持っていく。ヘルガイアの幹部が気づいた時には遅かった。 「全艦、艦首荷電粒子砲発射用意!!」 そして、反撃の時は来た。 「対ショック、対閃光防御」 コルセアの支持で艦橋スタッフが防御姿勢を固めると、荷電粒子砲のトリガーが引かれる。 包囲したすべての艦艇の艦種荷電粒子砲が一斉に発射され、戦場が真っ白な光でうめつくされる。 そしてヘルガイアの幹部が気がつくと、艦隊は八割以上が壊滅していた。 そして基地内部、一人のパイロットが戦線に出ようとしていた。それは、復帰した天才パイロット『告死舞姫』綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)大佐だ。 「……状況は以上です」 「了解。出撃前にシャワーを浴びてくるわ。いきましょう?」 そしてさゆみはパートナーのアデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)に声をかける。 「ええ、わかりましたわ」 そして、二人はシャワーへと向かう。 「おかえりなさい、さゆみ」 アデリーヌは、負傷による長期療養から帰ってきたパートナーをねぎらいながら、彼女の服を脱がせる。 さゆみはそれに黙ってしたがって、服を脱がせられるままになっている。 「ひどい傷……」 さゆみの背中には、傷口を縫い合わせたあとがはっきりと残っていた。 「でも、綺麗……」 アデリーヌは、恍惚の表情でその傷をなぞる。 「さ、シャワーを浴びてらして?」 そして、一糸まとわぬ姿になったさゆみがシャワーにいくのを見送りながら、自身も衣服を脱ぎ捨ててゆく。 水音が響くシャワールームに入ると、さゆみは鼻歌を歌いながら肩からシャワーを浴びていた。髪を乾かしている暇はないので、髪は濡らさないのがパイロットとしての心構えであり、そのために髪にはタオルを巻いている。 「復帰して初めて臨むのが最終決戦ってどんな気分ですの?」 「そうね、複雑だわ……」 そう答えるさゆみに、アデリーヌは語り始める。 「二階級特進して少将だの中佐だのになるのは真っ平御免ですわ。生き残ったら二人ともパイロットを引退して、教官として後進育成に力を入れたいですわね」 「そうね」 さゆみは頷くと、シャワーを止めた。そしてアデリーヌに視線で訴える。 それを受けてアデリーヌはシャワールームの仕切りの上からさゆみの頭を引き寄せる。 「んっ……」 「はぁっ…………」 そして交わされる口づけ。 「……続きは帰ってからね」 アデリーヌはそう言うとシャワーから出て行く。そして、さゆみもそれを追ってシャワールームを後にする。 そして軍服に着替えると、姿見の前で己の姿を確認する。 「素敵ですわ」 「ありがとう……」 それから格納庫に移動し、愛機に乗り込む。 出撃をしたさゆみの目の前には一面の敵、敵、敵。その中をさゆみは愛機を駆って、一心不乱に進んでいく。死を呼ぶ舞姫は踊るような流麗な動きで絢爛なる破壊を生み出す。 剣が振るわれるたび、銃爪が引かれるたびに破壊が想像されていく。 そして、さゆみは艶かしい真っ赤な唇を舐めた―― |
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