リアクション
07 デウス・エクス・マキナ03 そして、そんな気が抜ける雰囲気のまま、物語は続かざるを得なかった。 「え? なに??? コリマ校長が、みんなを解放して夢から帰ってきたらしばらく休眠させてやるから早く帰ってくいるように? だって? だってよ、リリー」 「う……でも………」 ちょっと誘惑に負けそうになるリリーの脳裏に浮かんだのは、セリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)のパートナーであるマネキ・ング(まねき・んぐ)とその周囲にいるマイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)とメビウス・クグサクスクルス(めびうす・くぐさくすくるす)だった。 考えてみて欲しい。今まで何回もマネキやマイキーはやられては、そのたびに新たな役割を得て再登場していたことを。 それは、即ち、何度も現実世界に帰還してはそのたびに確信犯的に夢の世界に再突入していたことを意味する。 そして、マネキはリリーととある裏取引を結んでいた。 それは、リリーの回想。 一番最初の夢より帰還したマネキは、それがリリーの夢だということに何故か気が付き、コリマとともに眠っているリリーに接触をしてきた。 「フフフ……リリーよ…つるっパゲなどに尽くすより、我らとともに面白おかしくOVAを作っては見ないか?」 「へ?」 あっけにとられるリリーに、マネキは言葉を続ける。 「我らは、君の能力を高く評価している……そうだな……タイトルは「架空大戦」と題し、君の力で夢の世界を作り上げ、物語を作るのだよ……夢の中の出来事は、常時撮影し続けOVAとして編集するのだ」 そう、この架空大戦はマネキの発案によるものだったらしい。 「おいおい、マネキ、大丈夫かい?」 マイキーが心配そうに訊ねる。 「大丈夫。これは愛にあふれた事業だよ」 「なるほど!」 マイキーはそれだけで丸め込まれてしまった。 「完成すれば、きっと皆々、感動の涙にボクらに愛ある絶賛が送られること間違いなしだね!」 そんな感じで丸め込まれたマイキーは、積極的に動画の編集うソフトや機材を買い集め始めたのだった。 そして、第一回目の編集が終わり、サンプル動画がアップロードされる。 「第一回のサンプル動画は、ネットで好評ですよ! 師匠の宣伝広告活動の成果ですね! 役者としても輝いてます! 流石演技派ですね」 弟子のメビウスにそう言われてマネキは照れた。 「そうであろうな! もっと褒めるがいい」 それからしばらくして。 「あっ、でも予定の本来のシナリオとは少し違ってきましたね〜中で書き換えがあったのかな? でもシナリオの大幅変更もOVAの醍醐味ですよね〜師匠!」 「そうでなそうだな」 マネキはほめられていい気になっているが、この頃にはすでに夢のなかがひどいことになっていたりすることにマネキは気づいていなかった。 そして、シナリオが大幅に書き換えられて今現在、マネキは現実世界で編集作業をしているためにその危なさに気がついていなかったのだが、メビウスは何らかの方法で状況を把握していたらしく 「そろそろクライマックスだから片付けしないとね! 師匠、一足お先に帰りますね〜。お土産にOVAのサンプル品は貰っていきますね〜」 そう言って一人だけ逃げ出すちゃっかりした娘であった。 「おうおう、おつかれなのであーる」 そうとはつゆ知らず満面の笑みで弟子を送り出すマネキは、このあとに待っている惨事を知る由もなかった。 |
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