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一寸先は死亡フラグ

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一寸先は死亡フラグ

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「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

 九条の7p半にも渡るラッシュを叩きこまれ、アルベールの身体が扉を吹き飛ばし、廊下の壁に叩きつけられる。ゴミ収集車、とまでは言わなくてもゴミ箱があれば完璧だったのだがその辺りが悔やまれる。
「勝った! 第何部になるかわからないが完!」
 九条が崩れ落ちるアルベールに叫ぶ。いや終わらせるな。
「……パパ、仇は取ったよ」
 リルが小さく呟いた。その肩にシオンがそっと手を置き「ツカサも安心して逝けるわ」と微笑む。多分安心して逝ってないと思うが。
「犯人死亡、か……嫌な結末だ……」
 甚五郎が顔を顰める。その横では吹雪たちが悔しそうな表情をしていた。尤もこちらは「強請れなかった……!」という意味だが。
「……竜斗さんにフィリス君! 無事だったんですね!?」
 騒ぎを聞きつけてきたユリナとリゼルヴィアが竜斗達を見つけ、駆け寄る。
「ああ……終わったんだ、何もかも……」
 竜斗がユリナを抱き締め、安心したように呟いた。

「……アイツら、どうなったかしらねぇ」
 ホテルの廊下、コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)がジュースの缶から口を離して呟いた。
 コルセアが言う『アイツら』とは、吹雪とイングラハムの事である。
 同室である2人(正確には1人と1匹)の会話をコルセアは聞いていたのだが、彼女は強請りには参加しなかった。率直に「ああ、死んだわこいつら」と思ったからである。
「まあ多分碌な目に遭ってないだろうけど……私だけでも生き残って見せるわ」
 ばれないようにジュースを買いに逃げ、難を逃れていたのである。
「……ん? 何か騒がしい……げっ!?」
 部屋に戻る最中、コルセアが角を曲がるとそこには吹き飛ばされたアルベールやら感傷に浸る者達の姿があった。その中にはしっかりと吹雪とイングラハムの姿もある。
「じょ、冗談じゃないわ……!」
 このまま鉢合わせたら碌な目に遭わない。そう判断したコルセアは急いで引き返す。

 だが、手遅れだった。

――直後、轟音と共に凄まじい衝撃が起こる。
 ホテルの壁が、窓が破壊され、その衝撃はその場に居た者達をも吹き飛ばした。
 爆発であった。何かが爆発し、ホテルの一部を吹き飛ばしたのである。
 だが余りにも唐突な出来事に、彼らは皆何が起こったのかを理解する事無く意識を失ったのであった。