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DIE8章 何をどうしたらこうなった

「……散々だったわ」
 病院の談話室、流れているテレビを眺めつつ香菜が疲れ切った表情で呟く。その顔には絆創膏が痛々しく貼られていた。
 流れている映像は、今回の事件に関してのニュースである。様々な言い方をしているが、要は『とんでもない大事件が起こった』という事を知らせていた。
「けど凄かったね! まさかの劇場版の展開だよ!?」
 ルシアは興奮したように香菜に言う。まだ頭に包帯を巻いているというのに、矢鱈と元気である。
「劇場版って何よ……」
「え、大体劇場版って舞台となった場所を破壊するじゃない。ほら、今回みたいに爆弾で」
 そう言ってルシアがテレビを指さした。そこには丁度宿泊していたホテルが映っていた。
 だが最初に観た姿は全く面影を残していない。爆発の痕跡である大穴が刻まれており、如何に被害の規模が大きかったのかが解る。
「……よく生きていたわね、私達」
 香菜が小さく呟いた。
「そ、そうですね。あの爆発で死人が1人も出なかったのは凄いですね」
 やはり包帯や絆創膏で痛々しい姿の千明が苦笑した。

――香菜達も、あの時爆発に巻き込まれていた。いや香菜達だけではない。他の契約者達も何人もが、爆発に巻き込まれ、瓦礫の下敷きになっていたのであった。
 何故か千明を除いた一般人は被害に遭わず、見事に契約者達だけが被害に遭ったのである。
 規模が大きすぎる状況で絶望的であったが、その後すぐに吹雪が止み、救急隊員が駆け付けた為奇跡的にも死者が出なかったのである。

「そう言えば、キロスさんはどうなったんですか?」
 千明の問いに、「ああ」と香菜が答える。
「まだベッドから降りられないけど、命に別条はないそうよ」
「凄いね、あんな酷い有様で心臓も止まってたっていうのに……」
 キロスの酷い有様を思い出したのか、ルシアが顔を強張らせる。

 何だかんだで、救急隊員が間に合ったのかキロスも一命を取り留めていた。
 キロスだけではない。今回の件で死んだと思われていた面々も、皆この病院で現在も入院している。

「そう言えば、最初の殺人事件ってどうなったのか知ってる?」
 ふと、思い出したように香菜が言う。唯一死者が出たが、無関係な事件だ。
「ああ、アレも解決したようですよ。ほら」
 千明が指を指すと、殺人事件も犯人が捕まったというニュース映像が流れていた。本筋に関係ないので詳しくは述べないが、『田中さんは殺せなくても、鈴木さんは殺せたんじゃないかな?』というような事件だったらしい。
「とにかく、これで終わったみたいね……何かどっと疲れたわ」
 香菜が溜息を吐く。
「また温泉行く、香菜ちゃん?」
 ルシアに言われると、香菜はげんなりした表情で「もうこりごり」と首を横に振った。
「あははは……確かに大変でしたね……でもあんなこと、そう何度も起きるわけが……え゛」
 笑っていた千明が、ルシアと香菜を見て表情を凍らせる。
「どうしたのかな?」
「……何か、とても嫌な予感がするんだけど」

――この後病院で殺人事件が起き、更に件の探偵達も偶然にも同じ病院に居るという事を、香菜達はまだ知る由も無かった。

担当マスターより

▼担当マスター

高久 高久

▼マスターコメント

 御参加していただいた皆様お疲れ様でした。リアクションを担当しました高久高久と申します。
 長い間お待たせして本当に申し訳ありません。まさかの私が死亡フラグが立った状態になってしまいました。
 その上まさかの全滅エンド……予想はしていましたが皆様よく訓練され過ぎでしょう。
 ここまでお付き合い頂きありがとうございました。またの機会がありましたらよろしくお願いいたします。

▼マスター個別コメント