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ドグマ教の襲撃

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ドグマ教の襲撃

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「そうくうけん……だったか。申し分ねえ一撃だったぜ」
ゴワンは額を手の甲で擦った。
「相手がそこらの雑魚なら今頃はあの世行きだろうよ。勇敢な奴だ。俺の一撃に逃げるどころか突っ込んできやがった。
敵にしとくのが惜しい奴だぜ。てめぇならドグマ教の幹部でも十分やっていけただろうに」
「巽は悪に加担しない!」
ザカコは睨み付け武器を構えた。
ゴワンは一歩一歩足を進める。
足が止まった、咄嗟にスコップで防御した。しかし飛んできたそれの衝撃に耐え切れず倒れてしまった。
敵を転倒させたそれは回転しながら、投手のもとへと戻っていく。
巨大な手が柄をキャッチする。

遠くの枝の足場に金槌を握った大男がいた。
上半身を露にして腰布を巻いた男はこちらの足場へと跳躍した。
ズシリと着地しゴワンに向かって歩いていく。

■■■

男がゴワンと取っ組み合いをしているうちに騎沙良 詩穂(きさら・しほ) が契約者の元に駆けつけた。
「びっくりだよ、あのスコップも相当頑丈みたいだね。まさかミョルニルの一撃に耐えるなんて」
「ミョルニル!するとあの巨人は……」
「そう、察しの通りトールだ」
現れた涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)が言う。
「北欧神話最強の神よ。いくら丈夫だからといってもミョルニルの攻撃を受けたらただじゃ済まないはず――あっ!」
涼介の隣に立つクレア・ワイズマン(くれあ・わいずまん)は驚いた。

スコップの柄を咥えたゴワンがトールの両脚を腕でつかんでグルグルと振り回していたのだ。
遠心力のままに投げ飛ばすと枝を突き抜けてイルミンスールの外へと放りだされた。

「スキル『斥候』の情報通り反則的なパワーだね。
イルミンスールに一体何の用があるのか知らないけど、捕まえて聞き出さなきゃ」
「あなたたちは身を隠していてくれ。敵は私たち3人で倒すぜ」
涼介はエリザベートたちを後方へ非難するように指示した。
「ここから先は私たちが相手よ。さあ、かかってきなさい」
「2人共気をつけてね。相手は接近戦の達人だよ。ここは距離をとって戦おう」
「確かにあなたのいうとおり接近戦を挑むのは危険だ」 
「詩穂が相手を引き付ける。隙ができたところに全力の攻撃をぶつけちゃって!」
「お喋りはその辺にしとけ!ぬおりゃああッ!!」

詩穂はスコップの攻撃を回避して間合いをとる、『行動予測』を発動させていた詩穂に攻撃は当たらないのだ。
「甘い甘い、攻撃は読めてるよ!」
『エンドレスファイア』を放ち行動範囲を限定させる。
続けて魔銃ケルベロスを二丁取り出す。スキル『魔弾の射手』を発動させてゴワンへ向かって無数の弾丸を浴びせる。
「まだまだ!『連射体制』!」
さらにスキルの『連射体制』を発動させ攻撃を更に激しくさるとゴワンは鬱陶しそうにガードを固めた。

涼介はスキル『禁じられた言葉』を唱えている。足元に魔方陣が現れ青いオーラが浮き上がる。
クレアも辺りを警戒しつつ魔力を溜めるていた。
「イルミンスールで好き勝手やってくれた負債を苦痛を持って払ってもらおう。これは重負債だ!」
「危ない!」
涼介の頭の枝から突如ペステソルジャーが飛び出してきた。
クレアは『エンシェント・ブレス』をペステに向かって放つ。全力の攻撃が頭部に当たって頭蓋骨が砕ける、残った体は地に落ちた。
「これが払いきれるかな!」
涼介は『トリニティブラスト』を放った。
炎、冷気、雷撃が一気に放たれる、真っ直ぐ進みゴワンの額に直撃した。
「ぬおおおおッ!たかがこれしき!」だがゴワンは負けじと踏ん張っている。攻撃を額で受け止めている。
「はああああぁぁッ!!」涼介も負けるわけにはいかない、魔力を上げ『トリニティブラスト』を押し込んでいく。
その場に踏ん張っていたゴワンだったが、『トリニティブラスト』の勢いに耐え切れなくなり吹き飛ばされ
そのままイルミンスールの木の幹にぶつかって足場をぐらりと揺らした。

「涼介さん、大丈夫!?」
「っく……ああ、少し力を使いすぎたみたいだが大丈夫。だが私の攻撃は確実に効いたはず……何!?」
しかし、ゴワンは立ち上がったのだ。
「はっはっはっはっは!俺も運がいい。今日の契約者どもはどいつもいい腕をしてやがる!まったく倒すのがおしいぐらいだ」
「ど、どうしよう。しほさん。涼介さんの攻撃に耐えるなんて……」
「むむむむ……いけると思ったのに。これには詩穂も予想外だよ」」
「残念だったな!ちっーと驚いたが、この俺を倒すにはパワーが足りね――ぐっ!」
一歩足を進めたときゴワンがよろめいた。
額にヒビが入っている。
強がりを言っているようだがダメージはあるようだ。
膝をついた彼は「クソッ!」と言い捨てる。
そのとき、ゴワンの頭上から弾丸が飛んできた。

「ほらほら、どうしたの膝なんかついちゃって!」
拳銃を持ったセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)だった。
ゴワンの頭上の枝に乗ったセレンは再び発砲する。
だが、もちろん攻撃はゴワンに効かず弾き返される。
「うるせえ!チマチマした攻撃しやがって降りて来い臆病者!」
セレンは笑いながら攻撃を続け木の上へ上へと進んでいく。
「ヤロウ舐めやがって……逃がしゃしねえぜ!」
挑発に上手く乗せられたゴワンは木の枝に飛び乗ってセレンを追いかけていった。
残された契約者たちは一先ずピンチを切り抜けることができた。

「ふぅ……助かりましたね。セレンさんは大丈夫でしょうか。何か策があるように思えますが……。
大ババ様。一体ドグマ教とはなんなのですか」
ザカコがエリザベートに訊いた。
「うーん。ドグマ教。私も教団がまだ残ってるとは思ってなかったですぅ」


ドグマ教は鏖殺寺院から生まれた組織ですぅ。
むかしむかし、鏖殺寺院の幹部が鏖殺寺院から抜け出したですぅ。
その幹部は新しく組織を造ったですぅ。それがドグマ教ですぅ。
ドグマ教は契約者たちにやられて壊滅したって聞いてたですぅ。
でも生き残りがいたみたいですぅ。
ドグマ教もネフェルティティ……いえ、ネフェルティティが呪われた姿ダークヴァルキリーを信仰しているようですぅ。
でも、呪いは解かれネフェルティティは真の姿を取り戻し、今、女王として表舞台に出てくることができたですぅ。
もしかしたらそのことが影響してるかもしれないですぅ。