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リアクション
第13章 イルミンスールの祭典 Story6
カフェでの封魔術の第2工程の一巡が終わり、指輪の宝石の光が消え去ると二順目にさしかかる。
一巡目と同じくセレンフィリティ、そしてベルクがアークソウルの大地の気を宝石へ送った。
やはりというべきか、詠唱を終えるとぐったりとした様子だった。
「2人でも負担が大きいのね。ペース配分を考えないと…」
琥珀色に灯ったのを確認し、セレアナとメシエがホーリーソウルを行使する。
「(―…これが、半々の分担だというのかい?いやはや…、先に駆動している動力に適合させるというのは、理解できるけどね)」
媒体へ流すためのイメージに加え、二順目で結合作用の反応を起す手順も増えている。
平静を装いながらも、重い疲労感がずっしりとメシエにのしかかる。
「はぁ……っ、予想以上のものだね…」
「次がくるまでしっかり休息を取らないとね」
セレアナはスポーツタオルで汗を拭い、配給のボトルを手にする。
「冷たい紅茶が飲みたい気分だよ」
「ボトルのならあるわよ」
クーラーボックスのお茶をメシエに渡す。
「淹れたてのほうがよいのだけど、…まぁいいかな」
誰も給仕する暇などはないため、しぶしぶボトルの蓋をあけた。
「なぁ、もうちょいペース落とさないか?」
「うん?生憎と今はホーリーソウルのみなんでね、頑張りたまえベルク」
ぜぇぜぇ息を切らせるベルクから視線を外し、メシエは悠々と紅茶を飲む。
「裁きの章ならオイラの番だね!」
その元気がいつまで続くのやらと、床で休んでいるベルクが目をやる。
「えぇーっと、5人でいいのかにゃ?」
「ルカたち入れるとそうね♪」
「わーい、早くお仕事回せそうだねっ」
人数が多ければその分、負担も軽くなるだろうとクマラがはしゃぐ。
栄養の元のお菓子を頬張り、シュワッと炭酸水を飲み干す。
「ふーーっ。これで活力全快、準備おっけーにゃー」
意気揚々と裁きの章のページを開き、ルカルカたちに目を向ける。
「(こっちもいつでもいいわ♪)」
準備完了の合図を貰い、指を鳴らしたタイミングで声を合わせて唱える。
「(いつもより、軽ーくあてればいいんだにゃ?)」
魔性のたぐいの対象でもないから、“溶かす”心配もない。
行使する力も今のところほんの少しでよさそうだ。
付き合いの長い気心の知れた仲間内だったためか、スムーズに済ませることができた。
その様子をエースはイスに腰掛けて眺めているだけだった。
「にゃ…何も頼まれていないんだね?」
「今日の工程には組み込まれていないな」
「エースの分も、今日はオイラが頑張るにゃ!」
「ははは……それは頼もしい…」
仲間たちが懸命に媒体のコーティングを行っているのに、ただ見ているだけなのは退屈でしかたなかった。
大変な作業であっても、やはり横で見ているだけなのはどこか物悲しい。
「マスター、暇なら遊んであげてもいいのよ」
「う、うーん、また今度ね…アーリア」
「いやっ!だって、つまらないんだもの」
エースに構ってほしいアーリアは彼の袖をぐいぐい引っ張る。
「お店もまだみたいだし。いやったらいやーーーっ」
「わがままいわないでおくれ」
騒ぎ立てるアーリアを大人しくさせようと、淡いピンク色の髪を撫でてやる。
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