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リアクション
■七夕祭り・3
「……祭りとは絶好の稼ぎ時であるな」
イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)はたこ焼きなどを中心に売る屋台を経営していた。端から見たら蛸がたこ焼きをしているようにしか見えない。大量にある手足を使って手際よくたこ焼きを作り出していた。
「この祭り、主催はあの双子。何も起こらない訳はないでありますよ!」
葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)はイングラハムを手伝いながら双子の発見に努めていた。ちなみに接客を主に手伝っていた。
営業開始後。
「いらっしゃいであります!」
吹雪の声が響いた。
来たのは
「たこ焼き二つ」
リアトリスだった。アルトゥーロは付近で不一致に吠えていた。
「了解であります。たこ焼き二つでありますよ!」
吹雪は注文を受け、イングラハムに伝えた。
「すぐに作る」
イングラハムは手早くたこ焼きを生み出し、容器に詰めて渡す時、
「触手など入れて無いから安心しろ」
たこ焼きを渡しながら蛸な店主イングラハムは言った。
「ありがとう。美味しく食べるよ」
リアトリスはにこやかにたこ焼きを受け取るなり、アルトゥーロの所に行き、不一致を説明し落ち着かせつつ美味しそうにたこ焼きを食べていた。
その後も
「いらっしゃいませであります!」
吹雪は元気に客を迎えては稼いでいた。
しばらくして吹雪の標的がやって来た。
「ここか、たこ焼き売ってる所か」
「やっぱり、祭りの定番の一つだし食べておきたいよな。ロズはどうする?」
美味しい匂いに誘われた双子はイングラハムの屋台に遭遇するなりすでに食べる気満々。ちなみにエース達と食事をした後である。
「いや、いい」
ロズはまだお腹が満たされているため断った。
そして
「たこ焼き……」
双子は注文しようとした時、店員達を確認した途端言葉を失った。
なぜなら
「おお、来たか」
「いらっしゃいであります!」
店員は恐ろしき仕置き人イングラハムと吹雪だったからだ。
「!!」
二人の顔を見た瞬間、注文の言葉が迷子になってしまった。
双子が何か言う前に
「稼ぎ時故に商売をしておる最中だ」
「自分は手伝いであります」
イングラハムと吹雪は双子が回答を求める事を口にした。
「……」
双子はゆっくりと前を向いたまま、後ずさろうとするが
「待て、たこ焼きだろう。すぐに作る故、待っていろ」
イングラハムが止め、凄味のある顔を向けた。
「……」
逃れられないと無意識で悟った双子は大人しく待つ事に。
「暴れるのはいいが、また我の屋台を壊す事はないようにな」
イングラハムは大量の触手で手際よく二人分のたこ焼きを作りながらいつぞやのパラミタ内海での出来事を持ち出した。
イングラハムの話を大人しく聞いているかと思いきや
「……後できちんと直しただろ」
「……それに壊したのはオレ達じゃなくてゴーレムだろ」
双子は口を尖らせ反論。
しかし、
「……それを作ったのは二人であります」
吹雪の一言で看破され、
「……」
言葉を失った。
しかし、たこ焼きの最後の仕上げを見ながら
「蛸がたこ焼きって……」
「……シュールだよな」
イングラハムの料理を見ながら双子は思った事を素直に口にした。
「シュールか。大丈夫だ触手など入れて無いから安心しろ。しかし……」
イングラハムは箱に詰めたたこ焼きを渡しながら客達に言っている事を口にした。ただし、双子に対してはまだ言葉は続く。
「しかし?」
凄味をきかせたイングラハムの顔を恐る恐る見ながら聞き返す双子。
「以前それで営業停止食らったことがあるのでな……」
イングラハムは何気なく大量の触手をうねうねと二人に見せつけながら双子限定の余計な一言を付け足すのだった。
予想通り
「!!」
相手が相手だけに嘘だとは思えず双子はびびり、たこ焼きを受け取るのを躊躇う。
「どうしたのだ、返す事は無いぞ、全てのたこ焼きに忘れずに蛸は入っておるからな」
イングラハムは双子がびびっているのを知りながらわざと見当違いな事を言ってたこ焼きを二人に押しつけた。
「……」
双子は優れぬ顔色でたこ焼きを手に去って行った。
「く〜くっく、新しい記憶を作るであります」
そう言うやいなや吹雪は屋台を離れ、双子をストーカーではなく尾行を始めた。
たこ焼きを買った後。
「……キスミ、これどうする? もしかしたら大丈夫かもしれねぇし」
「……大丈夫って言っても……もし……」
双子はじっとたこ焼きを見つめていた。イングラハムの発言の真偽に惑い、食べるかどうか苦悶していた。
その時
「食べるでありますよ」
吹雪の声が双子に降りかかる。
「何でいるんだよ、屋台はどうしたんだよ」
「オレ達を尾行してんのか?」
勢いよく振り向くなり不満を含んだ調子で訊ねる。
「屋台は心配無いであります。自分はただ短冊を持っていくだけでありますよ」
にやりとしながら吹雪は見た人に恐怖を与えようとおどろおどろしい赤文字で『リア充爆発』と書いた短冊を取り出し見せた。
見た双子は
「うわぁぁ」
軽く恐怖。
「何だよ、それ怖いじゃねぇか」
「何でわざわざそんな文字で書くんだよ」
不満ごうごうの双子。
しかし、
「早く食べるでありますよ。蛸以外は何も入っていないでありますから」
吹雪は短冊については言わず、たこ焼きで双子を攻める。
「……だから、その蛸が」
「……この状態まずいな」
双子は文句をいじいじ言おうとするが、吹雪の監視の下無駄だと悟り一つ口に放り込んだ。
結果、
「……美味しい」
美味しかった。
「当然でありますな。どんどん食べるでありますよ」
にこやかに勧める吹雪の元双子は大人しくたこ焼きを完食したという。
双子は全ての笹に願い事を吊すを達成するために浜辺に戻った。
吹雪は短冊を吊すために双子が監視出来る適当な笹に行った。
しかし、浜辺で双子を待っていたのは怖くて愉快な催しであった。
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