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七夕祭りinパラミタ内海

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七夕祭りinパラミタ内海

リアクション

 浜辺。

 フレンディス達やアルクラント達が賑やかに挨拶や雑談をしている最中。
「へへ、七夕だね、ポチさん! マスター達お話してるみたいだけど、ポチさんは大丈夫?」
 完全魔動人形 ペトラ(ぱーふぇくとえれめんとらべじゃー・ぺとら)はちょこっと他の仲間達がお喋りしている姿を確認してから本日獣人化している隣の忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)に訊ねたお喋りしに行きたいのではないかと。
「もう大丈夫なのですよ(離れていても繋がってるのです。だから僕は頑張らなければならないのです)」
 ポチの助は心配無用だと言った。まだフレンディスとは気まずいながらもそこそこ会話が出来るようになってきた事もありいつぞやのように隠れたり逃げたりする必要はなくなり多少は落ち着いており、こうして皆から少し離れた場所でも大丈夫。
「そっか、よかった」
 ペトラは安堵したようににこぉと笑った。フードで口元しか見えないが、ポチの助にはどんな顔をしているのか分かっている。
 それ故
「……そうです、短冊を書くのですよ。ペトラちゃんも」
 ポチの助は嬉しくて気恥ずかしくてたまらず慌てて短冊を差し出した。ペトラの自分を心配し大丈夫だと知ると安堵する。その優しさを知っているから尚更。
「うん」
 ペトラは短冊を受け取った。
「…………(まだまだ時間は掛かりますが、僕はペトラちゃんのために頑張るのです。だから僕のは願いじゃなくて……)」
 ポチの助は真っ白な短冊を見つめ書く事を考えていたが、すぐに書き始めた。家出をしてペトラ家で厄介になり早数ヶ月、ペトラのメンテ方法も覚えたり一歩ずつ前進中の頑張り屋。
「んーと、短冊は何書こうかなぁ……(ポチさんともっともっと仲良くなれますように? これだとお願い事って感じじゃないかな?)」
 ペトラも真っ白な短冊を見つめ軽く小首を傾げていたが、すぐに書き始めた。

 願い事を書き終えて
「ポチさん、どんなお願いを書いたの? よかった教えて、僕はね……ポチさんの夢が叶いますように! だよ!!」
 ペトラは優しい願いが書かれた短冊を見せながら笑顔を向けた。
「……ペトラちゃん、ありがとうなのですよ」
 ポチの助はそう言うなり自分の短冊に目を落とすなり
「……僕は短冊の願いが叶うなんて非科学的な事は信じないのです。だからこの短冊に書く内容は僕が必ず実現させる事なのですよ? 僕は超優秀なハイテク忍犬ですからね。それでも時間かかってしまいますが……約束するのです」
 長い前置きをしてからペトラに見えるように短冊を見せた。
「……超優秀なハイテク忍犬の僕は機晶技師になって、生涯ペトラちゃんの専属技師になるのです……」
 ペトラはポチの助の願い事を読み上げた。以前参加した未来の自分への手紙でも決意表明をしていたが、今回の短冊も同じようなもので。
 しかも今回は本人が目の前にいるこれは決意表明と言うよりは
「……僕の専属技師?」
 むしろ告白。
 聞き返すペトラに
「……僕が専属技師になるまでは答えられないのです」
 ポチの助は誤魔化して逃げた。ペトラに対する“好き”がどういう類の好きか本能で理解してきているが、恥ずかしくて認めていない状態だから。
「…………ありがとう、ポチさん」
 ペトラは照れるポチの助を見て嬉しさとちょっとした気恥ずかしさで胸がいっぱいになった。
「……いえ、当然なのです。それにお礼を言うのは早いのですよ」
 ポチの助は手に持つ短冊を見て視線を逸らしながら言った。
 ここで
「……そうだ、ポチさん。手続きとかはまだだけど僕、シルフィアから姓を受け継ぐ事になったんだ。だからこれからは僕はペトラ・レーンになるのです! 苗字なくて不便な事もあったし、何よりシルフィアの親から受け継いだ想いを僕も継いでいけるってすてきな事だよね!」
 ポチの助に報告しようと思っていた大事な事を言った。アルクラント達の結婚式の時にシルフィアにお願いされ受け取った事を。
「……ペトラ・レーンですか」
 ポチの助はペトラの新しい名前を口の中で繰り返してから
「とても素敵なのですよ。良かったですね、ペトラちゃん」
 祝福した。
「うん!!」
 ペトラの頷く声は弾んでいた。祝福して欲しい人にしてもらったからだろう。
 ここでペトラが名案を思いついたとばかりに手を叩いた後、
「そうだ、ポチさん、短冊、一緒に飾ろう! ポチさんの短冊のお隣に飾ったらお願いが叶いそう……ううん、叶うよ……だから、お隣同士に、ダメかな?」
 弾んだ声で提案をするが、急に控え目になった。
「……いいのですよ。でもこれはペトラちゃんのためなのですよ」
 ポチの助は恥ずかしさから少しツンと言った。
 ペトラとポチの助は仲良く隣同士に短冊を吊した。