校長室
ミッドナイトシャンバラ6
リアクション公開中!
★ ★ ★ 「あれれ? しまったあ、来週だった!?」 ラジオを聞いていた、御神楽 陽太(みかぐら・ようた)が、思わず天井を仰ぎました。 「どうかしたの?」 「い、いや、なんでもないよ」 御神楽 環菜(みかぐら・かんな)に聞かれて、御神楽陽太がごまかしました。 御神楽環菜は、来週のミッドナイトシャンバラのゲストに呼ばれています。御神楽陽太はその時のサプライズにしようと思ってこの投稿をしたのですが、ちょっとタイミングがずれてしまったようです。 「まあ、今聞かれるよりは、よかったかな。来週は、ちゃんと環菜をスタジオに送り届けなくちゃな」 「ふっ、また気恥ずかしい投稿をしていますね」 とぼけようとした御神楽陽太の前に、しっかりと放送を聞いていたエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)がラジオを片手に現れました。 さっきまで、御神楽陽太と御神楽環菜の娘である御神楽陽菜を寝かしつけていたはずなのですが、しっかりとラジオの方は聞いていたようです。 陽菜の方は、今はノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)と御神楽 舞花(みかぐら・まいか)が見ています。 「いや、今聞かれても意味が……。どうか御内密に……」 「ふふふふ、どうしましょうか」 エリシア・ボックが、勝ち誇ります。 「まっ、今は見逃してあげますわ」 懇願する御神楽陽太に、とりあえずは内緒にすると約束したエリシア・ボックでした。 ★ ★ ★ 『続いての投稿は、ペンネーム、氷の精霊さんからです。先ほどの車窓さんといい、お久しぶりですね』 『わたしの最近のマイブームは、お家で作る『冷やしぜんざい』だよ。 こし餡を冷やして白玉だんごを浮かせて食べると、甘くて冷たくてとっても美味しいよ! わりと簡単に作れるからおススメだよ!』 『美味しそうですねえ。 今度私も食べてみましょうか』 ★ ★ ★ 「あら、ノーン、あなたのハガキ、ラジオで読まれてますわよ。よかったですわね」 続いてラジオから流れてきた投稿が、ノーン・クリスタリアの物だと見抜いたエリシア・ボックが、隣の部屋に声をかけました。 「えっ、ほんと!? あ〜ん、聞き逃しちゃった」 ラジオをエリシア・ボックに持っていかれてしまったので聞き逃してしまったノーン・クリスタリアが、悔しげに言いました。 「大丈夫、来週、陽太がスタジオに行きますから、そこで録音された物をもらってくればいいのですわ」 ニヤニヤしながら、エリシア・ボックが言いました。 「ほんと? わーい、おにいちゃん、お願いね♪」 「えっ、あ、ああ、任せておいてくれ」 喜ぶノーン・クリスタリアにお願いされて、御神楽陽太は安請け合いするしかありませんでした。 ★ ★ ★ 『さあ、続いては、番組のメインコーナー、ふつおたコーナーです。 このコーナーでは、ごくごくフツーのお便りを御紹介しちゃいます。 最初のふつおたは、ペンネームちっぱいは希少価値」さんからです。いつもありがとうございます』 『先日、妹が「男の人って大きい胸が好きなのかな?」なんてきくんですよ なんでも思い慕ってるお兄ちゃんがそんな本を持ってたらしい…というか持ってきてて… 見ればモデルはバスト85センチのCカップで、そんなにいうほどの大きさじゃないと思って 「これくらいなら普通じゃないかなぁ?」っていうと「…お姉ちゃんもやっぱり大きいほうが好きなんだよね…」 やばっ、自分と比べてたのかって…まぁ、わたしと同じで妹も小さいもので… あわてて「ば、ばかばかばか!おっぱいに大小の貴賤なしだよ。それぞれに良さがあるんだから」 ってフォローしたんですが… これでよかったんでしょうか? ていうか、小さくたって良さありますよね、ね!?』 『うんうん、そうですよね。 だいたい、男の人って、なんでそう比べたがるんでしょうか。 まあ、女の子でも、たまに比べっこはしますけれど……。 あっ、えーっと、こほん。 とりあえず、女の子はおっぱいだけじゃないと断言しますよ、うん』 ★ ★ ★ 「あらら、投稿読まれちゃった♪ って、もしかして、これってまずかったかなあ」 ラジオで投稿が読まれたことに最初は単純に喜んだ芦原 郁乃(あはら・いくの)でしたが、ちょっとよく考えて、だんだんと顔が引きつってきました。 ミッドナイトシャンバラには何度も投稿していますので、ほとんど常連です。そのため、パートナーたちには、もう芦原郁乃のペンネームはバレバレなのでした。 それ自体は何も問題はないのですが、投稿者が芦原郁乃だともろバレだということは、投稿で言っているのが誰かということももろバレだということです。 Hな本を持ってきて相談しに来たのが荀 灌(じゅん・かん)であることも、そのHな本の持ち主が彼女の思い人であるアンタル・アタテュルク(あんたる・あたてゅるく)であることも、バレバレです。 「うーん、まずいなあ、どうしようか。これじゃ、荀灌がひた隠しにしている二人の関係が……あっ!」 そこで、芦原郁乃が、肝心なことに気づきます。 「二人の関係って、もう周囲にはバレバレだよね……」 知らぬは本人たちばかりなりということで、二人は秘密だと思っているようですが、実際には知らない者はいないという状態です。 「なあんだ、ということは、何も問題ないじゃない」 勝手に、自己完結して、芦原郁乃が安心します。 まあ、投稿が家族の犠牲の上に成り立っているのは、この業界ではいたって普通のことです。 あまり反省はしていない芦原郁乃でした。