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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

リアクション

 同時刻 ジャタの森 某所

 焼きアナコンダを味わう奇妙な会食も、時を同じくして終わりを迎えていた。
 濃緑色の六機が降下してきたのだ。
「休戦もこれで終いだ。次に戦場で会った時には遠慮なくブッ殺してやらァ」
 剥き出した犬歯の間を串代わりにした枝で掃除し、立ち上がると同時にそれを放り捨てる“蛇”。
 
「待てよ……何で、オレを助けた……?」
 まだ痛む身体に顔をしかめながら問いかける垂。
「休戦協定は守らねェとなァ。ソレだけだ」
 犬歯を剥き出す笑顔を見せ、“蛇”は亜美と共に漆黒の機体へと歩いていく。
 途中で“蛇”はふと何かを思い出したように足を止めると、踵を返してローザへと歩み寄った。
「ほらよ。焼きアナコンダの礼だ」
 おもむろに彼はポケットから長方形のバブルガムを取り出すと、それをローザの迷彩服のポケットへと滑り込ませた。
 そして今度こそ“蛇”は漆黒の機体へと乗り込む。
 
 ハッチが閉まる直前、ローザは彼に声を懸けた。
「名前を教えていきなさい」
「“蛇”だっつってんだろ」
「暗号名じゃなくて本名よ」
「ケッ! 何の為だってんだよ」
「私が貴方を撃墜した後、墓碑銘が無いのは可哀想だから。せめて刻む時に困らないようによ」
「ハッ! 言うじゃねェか! ――法二だ。浅間法二。テメェの名前……は知ってからな。だったらスペルだ。教えていきなァ」
 それには答えず、ローザは自分のドッグタグを放り投げる。
 ボールチェーンが通ったドッグタグを法二が掴んだ瞬間、漆黒のハッチが閉まる。
 
 そして漆黒の機体は、どこかへと撤退していった。