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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

リアクション

 同時刻 ジャタの森 某所

 降り立った濃緑色の六機が見守る中、真一郎と“犀”は真正面から相対する。
「……」
「……」
 互いに無言のまま、二人は同時に拳をそっと突き出す。
 拳と拳をそっと合わせると、二人はやはり同時に踵を返してそれぞれの道を歩き出す。
 
 一方その頃、“犀”の相棒の少女は可奈と言葉を交わしていた。
「……もう一枚」
「え……?」
「さっきのクッキー、まだあるんでしょ? もう一枚ちょうだい」
「ふふ……。はい、どうぞ」
 クスリと笑い、チョコチップクッキーを手渡す可奈。
 それを受け取り、少女もまた漆黒の“フェルゼン”へと歩き出す。
 
「鷹村真一郎だ」
 去り際の背中に向けて、真一郎はそれだけ言う。
「……岩崎享」
 対する“犀”……もとい享も同じく言葉少なに言う。
 
 可奈は少女に向けて手を振っている。
「ばいばい。えっと……」
「……舞衣よ。四ツ谷舞衣」
「うん。ばいばい、舞衣ちゃん」
 微笑みながら再び手を振る可奈。
 対する舞衣はぶっきらぼうながらも小さく手を振る。
 
 そして二人は漆黒の機体へと乗り込んだ。
 やがてハッチもしまり、漆黒の機体は濃緑色の六機とともに撤退していった。