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海で触手でスライムでキノコ!?

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海で触手でスライムでキノコ!?

リアクション


4.触手スライムは好き放題

 無人島のやや奥まった所にも、絶好の遊泳ポイントがあった。
「ほらほらぁ、やっぱりこっちだと波も少なくって泳ぎやすいですよぅ。あちきの言ったとおりじゃないですかぁ」
「レティの言った通りって……今回も、変な事にならなければイイんですけどねぇ」
 地形のおかげか波も少なく、穏やかな海。
 そこに訪れたレティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)は水着になって海を楽しんでいた。
 しかし、ミスティはどこか心に引っかかる部分があるらしい。
(いつもだとレティの巻き添えになってあ〜んなことやこ〜んな事になってるんですけどね……)
 今回も、なんだか嫌な予感がして仕方がない。
 それが、ミスティの心に影を落とし、結果、いまひとつ海を楽しめないでいた。
「どうしましたぁ? なんだか暗いですねぇ。ほら、あちらにも楽しんでる方々はいるじゃないですかぁ」
 レティシアが指差した先には、蚕 サナギ(かいこ・さなぎ)紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
 2人ともいい青年男性だったが、各々1人だけでこの無人島に遊びに来たらしい。
 似たような境遇の2人は何故か意気投合したのか、2人してビーチバレーをしたり、きゃっきゃと海で遊んでいた。
「ほら、あんな風にもっと楽しく……」
「あれはあれで切ないものがあるわよね……」
 ミスティがため息をついた、その時だった。
「んんっ!?」
 ミスティの足に、何かが絡んだ。
「やだ、海藻…… って、えぇえええっ!?」
 ミスティの足に絡みついたもの、それは触手だった。
 触手にしてスライム、触手スライム。
 それがぐりぐりとミスティの体に絡みつき、自由を奪って行く。
「や、やだ、やだー!」
「あらあら、歓迎かしらぁ?」
「そんなワケないでしょー!」
「ほら、触手もスライムも親戚みたいなもんだし……」
「そんなワケないでしょー!」
 ミスティの必死のツッコミも応えることなくレティシアは嬉しそうに水着を取り出す。
 それは触手ビキニとスライムビキニ。
「持って来てよかったわぁ。ほらぁ、お仲間ですよー」
「ピ!?」
 それを見た触手スライムたちは一瞬驚きの声を上げたかと思うと、次の瞬間レティシアに向かって突撃する。
 どうやら仲間と……もしかしたら父母と認識したらしい。
 触手とスライムにもみくちゃにされながら、レティシアは甘い声をあげる。
「やぁあ、んっ、甘えて、るぅ……?」
「そんなワケないでしょー!」
 ミスティの声が響いた。

 一方、サナギと唯斗の方にも分け隔てなく触手スライムはその魔触手を伸ばしていた。
「ん、んん、何ですか、コレは……っ」
「ひゃぁあ、バケモノやっ、早く、逃げな……あぁあっ」
 慌てて逃げ出そうとする唯斗の足を、サナギの腕を、触手は掴む。
 そのままずるずると本体の方へ引き寄せて行く。
 唯斗は早々に触手を体に巻きつけられ、自由を奪われる。
「ぐ……うぅうっ」
 触手とスライムが唯斗の体を這う。
「ひ、ひぃいっ、う、くぅ……っ」
 もう少し抵抗を見せたのはサナギだった。
 なんとかして逃げようと腕の触手を振り払おうとするが、手を伸ばせば伸ばしただけそこに触手が絡みつき、いつの間にか全身に触手が絡みついている。
「ひっ!」
 サナギの頬に、触手が触れる。
「あ……あぁ……あ……れ?」
 その感触に、サナギは驚くほど嫌悪感を感じなかった。
 おかしい。
 何故だか、体が熱い……?
 サナギは気付かなかった。
 それが、先程食べたキノコのせいだと。
(わ、わしは……こんなコトされて喜ぶヤツだったっちゅーことやろか……?)
 じわりとした諦めと共に浮かぶ、僅かな期待。
 視界の端では唯斗が身を震わせ、声を押えている。
「あ、ぁ……」
 自身に迫る触手とスライムに、サナギは熱い息を漏らした。

   ◇◇◇

「行くわよー、セレアナ!」
「やったわね、セレン!」
 波打ち際に健康的なビキニが躍る。
 迷彩柄ビキニのセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)と白いバンドゥビキニを着たセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)
 2人は海で泳ぎ、水を掛け合い、たっぷりと海を満喫していた。
「ふぅ……ちょっと疲れたわね。休憩しましょうか」
「そこにビーチパラソルを立ててあるわ」
 ほどよく疲れた2人は共に日焼け止めを塗りあい、上半身裸でうつ伏せになって目を閉じる。
 波の音。潮の香り。
 それらが、2人を心地よい眠りへと誘う……
「……ん」
 セレンフィリティは最初、その刺激を恋人からのものだと思った。
 つつ、つ、と足を這う柔らかい感触。
「……あ、だめよ、セレン……こんなところで……人が、見てるわ……」
 セレアナもまた、自分の腰を這いまわる艶めかしい感触は、セレンフィリティの誘いだと勘違いしていた。
「……んん、ん……」
「は……あぁん……」
(やだ、セレアナったらあんな声だして……って、えぇえ!?)
 気が付いた時には既に遅かった。
 セレンフィリティとセレアナの体には、既に逃れようのないほどの触手が絡みついていた。
「あぁあっ、やっ、触手が、こんな所にも……」
「うぅん、スライムが、ぬるぬるして、だめえ……っ」
 もがけばもがくほど触手スライムの拘束は深くなる。
「はあっ、セレ、ン……っ」
「セレア、ナぁ……」
 触手とスライムに行動の自由を絡め取られ嫌悪と快楽を行き来しながら、セレンフィリティとセレアナは少しずつ互いの距離を縮めて行く。
 そして。
「ん……」
「んぅ、ん……」
 2人は触手とスライムに絡まれたまま濃厚なキスを交わした。

   ◇◇◇

(すっごく、嫌な予感がします……)
 秋月 桃花(あきづき・とうか)はビーチで遊んでいる芦原 郁乃(あはら・いくの)芦原 揺花(あはら・ゆりあ)荀 灌(じゅん・かん)らを残して飲み物を買いに行っていた。
 しかし心の奥にモヤモヤと立ち込める、不安。
 あの3人を残して行って、果たして大丈夫だったのだろうか。

 そして桃花の予感通り、3人は大変なことになっていた。

「きゃぁ〜」
「やったなぁ〜」
「きゃあっ、もう、やった……やぁぁんっ!」
 郁乃と揺花、そして灌の3人は波打ち際できゃっきゃうふふと水を掛け合って遊んでいた。
 そんな最中、ふいに響き渡る揺花の悲鳴。
「んん? どうしたの?」
「あっ、なんか、ヘン……あぁあんっ!」
 思わず揺花の口をついて出たのは、嬌声。
「ひっ、あ、あぁあああ!」
 続いてしゃがみ込んだのは灌だった。
「や、嫌ぁ……んぁぁ! ……です、いや……あぁあ!」
 びくびくと身を震わせる灌のその水着の中には、何者かがもぞもぞと蠢く気配。
「や……筍灌ちゃん、たすけ、……」
「や、あぁっ! そんなとこ……ダメ……です……」
 揺花は灌に助けを求めるが、その灌ももう立ってはいられない状態で。
 そうこうしている間にも、今度は郁乃にも魔の手は迫っていた。
「2人とも、どうしちゃったの……ん?」
(さわさわ)
「んんっ」
(すりすり)
「はぁんっ」
(はむはむ)
「ふぁぁ……あぁあん!」
 お尻を、胸を、太腿を、ありとあらゆる所を刺激され、郁乃はあられもない声をあげる。
 郁乃たちを襲った犯人、それはもちろん、触手スライム。
 触手スライムは郁乃たちの体をどんどんと蝕んで行く――

「なにしているんですかぁっ!」
 そこに響き渡る桃花の大声。
 だが郁乃たちは触手スライムに絡みつかれ、とろんとした目を桃花に向けるだけ。
 急いで桃花は駆け寄ると郁乃たちを助け起こす。
「桃花……」
「郁乃様、ちょっとそこに座ってください」
「あ、はは」
「郁乃様……どういうことか説明してくださいますよ……ね?」
 そろ〜り。
 そんな桃花の後ろを、灌と揺花はそっと離れようとする。
「荀灌ちゃん、揺花ちゃん」
「「はいっ!」」
「ちょっと、いいですか?」
「「は、はい!」」
 にっこり笑顔で2人に話しかける桃花に、2人は硬直したまま笑顔を返すしかなかった。

「郁乃様、恥ずかしいとは思わないのですか?」
「うぅ……」
 くどくどくどくど。
「荀灌ちゃん、揺花ちゃんもいいですか、公衆の面前であのような声を上げるようなことをするなんてよくないですよ」
「あぅう……」
「はい……」
 その後しばらく桃花のお説教タイムが続いた。

   ◇◇◇

「海よ、海海海っ!」
 買ったばかりの水着を身に纏い、綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)はビーチへ走る。
「さゆみったら、水着もビーチもこの夏何度も経験しましたのに」
「そ・れ・は、全部お仕事! もー夏は<シニフィアン・メイデン>の活動でロクに休めなかったんだから」
 アデリーヌの言葉に、さゆみはやれやれと肩を竦める。
「ということだから、今! この時が今年のファーストサマー! このまま海やプールとは無縁のまま夏が終わると思っていたから、サニーには感謝感激よ!」
 走りながら、さゆみはビーチの波打ち際へ。
 そのまま止まることなく足を踏み入れる。
「きゃっ、つめた〜い! ほらほらっ、アデリーヌも、それっ!」
「きゃあっ、やりましたわね!」
 お互いに遠慮なく水を掛け合い、はしゃぎまくる。
「きゃぁ……って、何コレ?」
 水遊びの最中に、さゆみは自身の足に絡まる何かを見つける。
 手に取ってみると、それは触手の生えたスライム状の物体。
 さゆみの手の中で、にゅるにゅると触手を伸ばしている。
「あぁっ!」
 さゆみの足に、再び違和感が走った。
 触手スライムは捕えた個体だけではなかった。
 海の中、たくさんの触手スライムがさゆみの、そしてアデリーヌの足に纏わりついていた。
「こら、駄目よ……」
「もう、せっかく2人っきりの世界だったのに……」
 悪意は感じられなかったので、なんとか諭そうとするさゆみとアデリーヌ。
 しかし。
「あっ」
「んん……っ」
 触手スライムの動きは子供とは思えないほどねっとりと甘くしつこく、次第に2人はその感触に溺れていく。
「あ、あぁん……アデリーヌ……」
「えぇっ、さゆみ……!」
 先に耐え切れなくなったさゆみが、触手スライムと共にアデリーヌを襲う。
 そのまま2人とスライムたちは、ずぶずぶと溺れて行った。

   ◇◇◇

「あら? 白花さんがいませんね?」
「トイレか何かかしら?」
 羽切 緋菜(はぎり・ひな)羽切 碧葉(はぎり・あおば)は揃ってビーチでバーベキューの用意をしていた。
 しかし、ふと気づけば同行していた羽切 白花(はぎり・はくか)の姿が無い。
「迷子にでもなったのでしょうか……心配です」
「まあ、白花だから何かあっても大丈夫でしょ」
 気遣わしげに周囲を見回す碧葉に、緋菜はのんびりと答える。
「そうですか? 緋菜さんがそう言うのでしたら……」
 緋菜の言葉に一応納得したのか、バーベキューの準備へと戻る碧葉。
「それじゃ、帰ってきた時の為に白花さんの分を取っておきましょうか……あの人たくさん食べるからある程度は確保しておかないと……」
 早速白花の食べる分を取り分けておく碧葉だった。

 さてその白花は、森の中で迷子になっていた。
 若干キツい去年のモノキニの水着に身を包み、森の中で美味しそうな果物やキノコを見つけては取って食べながら、白花は進んでいた。
「あっ、あそこのキノコも美味しそうですね〜」
 と、次から次へ新しい獲物を狩っているうちに、気が付けば森の奥深くまで迷い込んでしまったのだ。
「ん?」
 そんな白花は、ふと自身の胸に手を当てる。
「なんか、ムズムズします……」
 体の奥底に火が付いたような、くすぐったいようなそんな変な感じに戸惑いながら、それをなんとかしようと白花は水着に手をかける。
「ん……まだ……」
 生まれたままの姿になった白花に、にょろりと絡みつく細い物体。
 触手スライムがその触手を白花に延ばしていた。
「あっ、うん、それ、かも……」
 体を這う触手に、しかし白花は満足そうに身を委ねる。
 自身の求める何かを、それが与えてくれると本能的に分かっているかのように。
「あ……」
 触手が、スライムが白花を包み込んだ。

 白花が帰ってきたのは、そろそろ日も傾く頃だった。
「もう、いったい何してたのよ」
 土や砂やその他よくわからないもので全身ボロボロになった白花を、緋菜と碧葉は2人で拭いて綺麗にしていく。
「もう、これは後で温泉にでも行った方がいいわね」
「……気持ちよくって楽しかったですー」
「……もう、温泉に行ったのかしら?」
 緋菜と碧葉の心配を余所に、白花は終始ニコニコと笑っているのだった。