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昔を振り返り今日を過ごし未来を見よう

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昔を振り返り今日を過ごし未来を見よう
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リアクション

 現在、2024年。空京の自宅、爽やかな朝。

「今日も良い天気だ」
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)はホースで広い庭に咲き誇る植物に水やりをしていた。
「今日も元気に綺麗に咲いて庭を華やかにしてくれてありがとう」
 植物愛好家はただ水やりをするだけでなく『人の心、草の心』で花達に話しかけていた。
 その中で
「ここの所忙しかったけれど君達を見ていると心が癒されるよ」
 薔薇や百合や花色が多いペチュニア達にも話しかける。
「……春からずっと咲いてくれてありがとう」
 エースはペチュニアの花がらをこまめに取りながら話し掛けていた。そうやって手をかけると春から秋までと言う驚くほど長く咲き誇るのだ。
「……あぁ、君は……」
 エースはまた別の花の様子を確認したり話しかけゆっくりと花達と過ごすこの時間を楽しんでいた。
 その時、
「……君達が朝日を求めてテラスで転がる季節になったかな」
 エースの視線がちらりと足元の小さな生き物に注がれた。
「……朝なのに眠たそうだね。そこがまた可愛いけど」
 朝晩少し寒くなって来たため日向ぼっこを楽しみたいらしく日が差す庭に姿を現し、エースを発見するなり近付き頭をスリスリしてきた。
「……可愛いね」
 エースはわずかに屈み込み、猫の頭を優しく撫でて可愛がると猫は気持ちよさそうに鳴いた。
 しばらくして
「……そうだ」
 猫を見ている内に何かを思いついたのかエースはホースを止め、
「……少しだけ待っていておくれ」
 花達に断りを入れて水やりを中断するなり、近くのベンチにブランケットを敷いた。
 すると猫達が集まり、気持ちよさそうに寛ぎ始めた。
「……」
 エースは猫達と花々を心底愛おしそうに眺めた後、
「……猫達と花を眺めながら外で朝食を取るのも良いな。そうしよう」
 とっておきの名案を思いついた。善は急げでエースは水やりが行われている別の場所に行った。

 一方。
「……いつもの事ながら広いですね。芝生はスプリンクラーですが」
 庭の広さ故にエースと手分けをしてエオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)はホースで水やりをしていた。
「……こちらは後もう少しですが、向こうはまだまだ掛かりそうですね……猫達は何か眠そうですね……先に朝食を済ませてお腹一杯だからですかね……本当に平和です」
 エオリアは随分離れた所にいるエースを見やりつぶやいた。相変わらずの植物愛好家と猫愛好家ぶりだと。エオリアの言う通り猫達はすでににゃんこ部屋でカリカリを平らげ済みで少しおねむなのだ。
 しばらくして
「エオリア!」
 水やりを少し中断してやって来るエース。
「どうしました、エース?(何となくこの先の展開に予想はつきますが)」
 呼ばれたエオリアは水やりを続けながら対応した。これまでの事からエースが何を考えているか分かるが一応訊ねた。
「朝食を外で取りたいんだけど、いいかな? 水に濡れ太陽に輝く花々とまったりと寛ぐ猫達を眺めながららゆっくりと。ここ最近忙しかったし」
 エースはエオリアが水やりをする花々を愛おしそうに見ながら我が儘を言った。
「……分かりました。この水やりが終わり次第準備しますね」
 エオリアはいつものように即答した。
「じゃ、頼むよ!」
 エースは期待しながら嬉しそうに水やりに戻って行った。

 エースが去った後。
「……元々、朝食は簡単な物でそんなに手間はかからないですが、予想通りでしたね」
 予想通りの事に軽く溜息を吐きながらエオリアは水やりを続けた。
 そして
「……さてと朝食の準備を始めましょうか」
 水やりが終わるなり朝食の準備を開始した。

 エオリアが朝食の準備をしている間。
「……水やりも終わりと」
 時間を掛けた水やりを終わらせたエースは
「これで猫達と遊ぼうか」
 庭に咲いている天然猫じゃらしエノコログサを取って猫達と遊び始めた。

 朝食準備中。
「……朝食はさっと食べられるように」
 エオリアはオムレツ、ハムとサラダ、パン。コーヒーとオレンジジュースを準備してから庭にテーブルと椅子を用意し、テーブルにさっとクロスを掛ける。
 それから
「……朝食を運びましょう」
 出来立ての朝食をワゴンで運び、テーブルに次々と並べながら
「……すっかり猫と遊ぶ技術が上級者になっちゃいましたね……やっぱり沢山の猫を保護したおかげでしょうか」
 エオリアは子猫と遊んでいるエースの姿を見ながら笑みを洩らしていた。
「……これで準備は完了」
 朝食の準備が整った所で
「エース、朝食の準備が整いましたよ」
 いつものように声をかけると
「あぁ、今行く」
 猫とのお遊びを中断し、いそいそとエースがやって来た。その後ろをちょこちょこと猫が付いて来たり。
 気付かないエースは席に着き
「さすが、エオリアだね。美味しそうだ」
 テーブルに並ぶ朝食をざっと眺めて満足そう。味は『調理』を持つエオリア作なので保証済みだ。
 その時
「にゃー」
 可愛らしい鳴き声と共に猫がエースの膝にちょこんと乗って来た。
「よしよし、食べたらまた遊ぼう」
 猫のあまりの可愛らしさに顔を綻ばせながら猫を撫で撫でするエースに
「食事の前にちゃんと手を洗って来て下さいね」
 エオリアは笑顔ですかさず言葉を挟んだ。
「あぁ、そうだね。すぐに洗って来るよ」
 エースは席を立ち、急いで手を洗いに行った。その後ろを膝から降りた猫が鳴きながら付いて行った。
 エースが無事に手を洗い終えるなり朝食が始まり
「……猫に花達に美味しい朝食……贅沢だねぇ」
 エースはすぐさま朝食を食べながらまったりと愛しき平和な時間に蕩けてしまう。
「……そうですね。こんな平和な時間がずっと続くといいですね」
 エオリアもまたまったりとゆるりと流れるこの時間を楽しんでいた。