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リアクション
 未来の幸せ2人で
 未来の自分と佐保――ミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)は真田 佐保(さなだ・さほ)を誘い、未来への時間旅行へ向かった。ミーナが望むのは、佐保とのラブラブで幸せな未来――
 ◇   ◇   ◇
 ミーナと佐保は、とあるお店の前に居た。
「ここが、拙者とミーナの未来……」
「あ! 佐保あの看板、『尻尾美容室』うわぁ、本当にお店構えられたんだ」
 ミーナの喜ぶ姿に佐保も自分の事のように喜んだ。しかし、店の前で騒ぎ過ぎたのか、前触れなく美容室の扉が開いて未来の佐保が姿を現した。
「……? 変でござる、賑やかな話し声が聞こえたから予約のお客殿がいらしたと思ったのでござるが……」
 頭にハテナマークを浮かべた佐保はそのまま美容室へ戻った。やや暫くして佐保が忍術で咄嗟に姿を隠した2人は姿を見せたが、未来の自分達と鉢合わせる事は何とか避けた。
「あ……危なかったでござる」
「でも、未来の佐保もとっても可愛かった♪」
 素直に顔を赤くする佐保をギュッと抱き締めたミーナは、その勢いで頬擦りもしてしまう。
「ミ……ミーナ、通行人が見てるでござるよっ」
 言いつつも、ミーナの好きにさせてしまう佐保であった。
 ミーナの夢であった『尻尾美容室』は佐保と結婚して間もなく、構える事が出来た美容室である。特に少女達には人気で、ミーナは女の子を可愛くするためのあらゆるスキルを身に付けた一流の美容師になっていた。
「うわあ、女の子が一杯! 結構繁盛してるね、未来のミーナと佐保も忙しそう……」
「でも、あの……ミーナ、お腹が大きいでござるが……まさか?」
 裏手に近い窓から美容室の中を覗けるらしく、ミーナと佐保は並んで見ていたがミーナのお腹がやけに大きいのだ。佐保が疑問に思って口を出すのと同時に店内の佐保がミーナに怒り出した。
「ミーナ! あれ程お店に出て来てはいけないと言ったはずでござるっ何かあってはいけないでござるのに……」
 佐保の怒った様子と、ミーナのお腹を大切そうに撫でる仕草に窓から覗いていた2人も(主に佐保が)目を丸くしてしまった。怒られているはずのミーナも、どことなく幸せそうな様子で佐保の言う事を聞いて店の奥へ引っ込んだ。
「……拙者達は、女子同士で……赤ちゃんが出来るのは、その……」
 口篭もってしまった佐保の言いたい事はミーナもすぐに察すると、悪戯っぽく笑みを浮かべて佐保に向き合った。
「実は……この未来、ミーナが願った形なんだもん。ミーナは、佐保の赤ちゃんを全力で望んだら、出来ちゃったの」
 確かに、時間旅行へ出る前に魔道書達からそんな話は聞いた気がする佐保であったが、実際目の当たりにした佐保は少々混乱気味であった。
「ミーナが佐保の赤ちゃん作って、佐保がミーナの赤ちゃんを……って、思ったの。えへへへへ……」
 若干、思考停止気味の佐保であったが未来の自分もミーナも実に幸せそうに笑っている、そんな姿を見るとミーナの願いはもしかしたら現実になるのかもしれない――そんな錯覚さえ起こすラブラブっぷりであった。
「ミーナと、拙者の赤ちゃん……それなら、拙者はミーナに似た明るくて可愛い子が欲しいでござる」
「……うん! ミーナは佐保みたいに優しくて純粋な赤ちゃんが欲しいです」
 幸せな未来のミーナと佐保――ラブラブに想い合う2人だからこそ、叶えたい願い。
「ミーナは、佐保が大好きです。愛しています。ずっと、ずっと一緒にいたいです」
 ミーナの言葉に佐保は笑みを浮かべてミーナの手を取り、両手に包んだ。
「それは、拙者も同じでござる……赤ちゃんのいる未来には驚いたでござるが、ミーナの願いなら拙者も叶って欲しい……そう思うでござる」
 ミーナと佐保が旅した未来は、いくつもの選択肢が辿る未来の1つ。将来、同性同士で子供を宿す事があるかもしれない。
 ◇   ◇   ◇
「でも、もし叶わなくても……ミーナは、佐保が傍にいてくれてずっとラブラブでいたいです♪ 赤ちゃんは、佐保の赤ちゃんだから望んだの」
 現代へ戻ったミーナは、改めて佐保に告げる。赤ちゃんはラブラブで大好きな人との赤ちゃんだから欲しいのだと――
 ミーナ・リンドバーグと真田 佐保の未来。
 願った未来を見た2人のこれからは、紡ぎ始めたばかりであった。
 
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