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リアクション
第2章 あの人からの手紙
そのころ、
宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)と
ヴェロニカ・バルトリ(べろにか・ばるとり)は、
ゲルバッキーへの手紙を届けるために、ゴーストイコンからの護衛を行っていた。
「ゲルバッキーを倒してしまおうという者もおろうが、
穏便に解決できる手段があるのであればまずそれを試すべきだ。
無闇に力でねじ伏せることなど、我が女王陛下はお望みにはならないだろう。
怨讐を超えて新たなるパラミタのために、シャンバラのために。
そしてアイシャ女王のためにも手紙を届けさせなくてはならない!」
【女王の騎士】ヴェロニカは、古王国時代からの想いと、
アイシャ女王への忠誠心から、
手紙の護衛を成功させようと願っていた。
「何を企んでいるかわからないけど、
この期に及んで邪魔をしようとする以上は容赦しない!」
祥子も、三賢者を警戒しつつ、イコンを操縦する。
手紙を運ぶ、
グレン・フォルカニアス(ぐれん・ふぉるかにあす)は、
バーストダッシュを使って、距離を一気に稼ごうとしていた。
ゴーストイコンが迫ってくるが、
それは、祥子たちが迎撃する。
「さすがに、もう、動けないようだな……。
頼んだぞ、アルマー」
グレンが、その場に膝をつく。
グレンも手紙の効果で気持ち良くなってしまっているはずだが、
声は出さないタイプだった。
いうなれば、温泉につかって、おまけにマッサージも受けて、
起き上がれないような状態になっているというところだろう。
「わかったわ。気をつけて」
アルマー・ジェフェリア(あるまー・じぇふぇりあ)がグレンから手紙を受け取る。
グレンが無防備な状態にさらされているのは確かであるので、
アルマーは注意を促したのだった。
「ああ、わかってる」
グレンがうなずいた。
「それにしても、気持ちよくなる呪いとか、ふざけてるわよね……」
三賢者のしわざに憤りを感じつつ、
アルマーは、地道に距離を稼いでいく。
(だいたい、人前で変な声出すとか恥ずかしいじゃない?)
アルマーも、気持ちよくなったからといって、
声を出したりはしない。
ただ、黙々と、手紙を運んでいた。
「……襲い掛かってきたら、魔法で対抗しようと思ってたけど、
さすがにゴーストイコンが相手じゃあね」
アルマーが、空中にいるゴーストイコンを見上げつぶやく。
「戦闘になったら、かえって気がまぎれるとも思ってたけど。
じゃあ、みのり、お願い」
ついに動けなくなり、アルマーはみのりに手紙を渡す。
「……わかりました」
菊花 みのり(きくばな・みのり)は、表情を変えずに、手紙を受け取った。
(……英雄……とか…正義とか……興味、あり……ません……。
ワタシは……頼まれた……事を……成す…だけ……です……。
本当に……彼が……望んでいるのか……確かめる……ために……。
ニビル……さん……この手紙……誰のものか……知ってます……か?)
心の中で、ニビル……ゲルバッキーへと問いかける。
その言葉を、直接、ゲルバッキーに届けることはできない。
しかし、多くの仲間とともに、みのりは、手紙に想いを乗せて、
ゲルバッキーに届けようとしていた。
静かな性格のみのりも、また、気持ちよくなっても声を出すことはない。
「……」
それでも、だんだんと脱力はしてしまう。
やがて、動けなくなったところで、次の人へとバトンタッチする。
「お願いします……これを、ニビル……さんに……」
「ああ、任せておけ!」
コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)が、胸を張って、みのりに答えた。
「行くぞ、龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)!」
「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」
鋼鉄の恐竜型ロボットが咆哮をあげる。
「龍帝機キングドラグーン!」
機体を呼び寄せ、
ハーティオンが叫ぶ。
「黄龍合体! グレート・ドラゴハーティオン!」
「心の光に導かれ、勇気と共にここに見参!」
グレート・ドラゴハーティオンが、
ポーズを決めて現れる。
……しかし。
手紙を受け取った瞬間。
「オオオオーッ!?」
ハーティオンがその感覚に思わず叫ぶ。
「ガオオオオン!?」
ドラゴランダーも叫び声をあげる。
「くっ、なんという力……。
これが、三賢者の持つ、闇の力なのか……!?
だが、私は屈せぬ!
必ずや、ゴーストイコンをかいくぐり、
手紙を届けてみせ……オオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!?」
「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!?」
ドラゴランダーも身もだえするような声をあげる。
(ウオオオオオン?!
我は魔鎧発電所がどーたらこーたら?!
この手紙捨てろハーティオン!
明らかに戦いの邪魔にあああああああん!!
ハーティオンお前凄いな?!
めっちゃ真顔で悶えてるとかちょっと意味が判らないいいいいいん!!
捨てろって頼むからああああああん!!)
「この手紙は、みんなの想いがこもった手紙……。
なんとしてでも届けさせていただく……オオオオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!?」
その様子を、ラブ・リトル(らぶ・りとる)は、
実況中継しようとしていたのだが。
「やほやほー♪
蒼空学園のNO1アイドル(自称)のラブちゃんよ〜♪
今回はハーティオンが「気持ちよくなる手紙」を届けるんだって。
なんで、まぁ手が必要になるかも知れないからって一緒に来たんだけど
……さてさて、合体したハーティオンは……あ、あれかな?」
ラブは、悶えまくりながら戦うハーティオンを発見した。
「……」
そして、一言。
「殴りたい、あの真顔」
「おお、ラブ、手伝ってくれオオオオオオオオオオオオオオーーーーーッ!?」
「絶対、嫌」
ハーティオンの申し出を、ラブは全力で拒否した。
「くっ、しかたない、
だが、私はこの手紙を届けるため、全力を尽くす!
必殺ウウッ?!
一刀オオオオーッ!
両だアアアッん?!
斬りイイイん!!」
「ガオオオオオオオオオオオン!」
(いやああああああああああん?!!)
グレート・ドラゴハーティオンは、
ファイナルイコンソードでゴーストイコンを蹴散らしつつ、
なんとか進んでいくのであった。
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