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【終焉の絆】滅びを望むもの

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【終焉の絆】滅びを望むもの

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皆と生きたい

「皆と、“生きたい”……」
 ルシアが先ほどの白竜が言っていた言葉を呟く。
 その言葉はルシアの中で何度も反芻する。
 それまでざわついていたルシアの心に渦巻いていた波紋が、一つ、また一つと消えていく。
(何も恐れることはない)
『……私には上手く言えないですけど。
 あなたは、リファニーを助けたいのでしょう。だから、ここまできた。
 それを、皆さんは支えてきてくれました』
「皆が……?」
 ルシアは思い返す。

 ルース、弥十郎、八雲が先陣を切ってくれた事。
 セレン、セレアナが危険を顧みず内部へと駆けてくれた事。
 翠、ユーフェミア、スノゥ、ミリアが探検と称しながらも協力してくれた事。
 鈴、良玉、瑠璃、理王、屍鬼乃が情報の統制をして支えてくれた事。
 クエスティーナ、サイアス、天音、ブルーズ、尋人、雷號、羅儀が常に側にいてくれた事。
 丈二、ヒルダ、一寿、ダニー、ヴォルフラムが道を切り開いてくれた事
 ゆかり、マリエッタ、ジェイコブ、フィリシアが身を呈して敵を引き付けてくれた事。
 カル、惇、ドリル、トマス、テノーリオ、ミカエラが必ず退路を確保すると宣言してくれた事。
 ランダム、子敬、ジョンが洞窟の入り口を守りながら、自分たちの帰りを待っている事。
 白竜の言葉が自分の心の水面を這っていた波紋を鎮めてくれた事。
 コリマ、カケラが今も自分の背中を押してくれる事。
 今も尚、皆が黒き大樹と激闘を繰り広げ、倒そうとしている事
 リファニーのためにこれだけの人が、集まってくれている事。
 全てを、思い返した。

「……私も、生きたい。皆と、リファニーと一緒に。
 まだ怖くて、痛いけど。それだけは何にも代えがたい私の本音、なんだね」
『そうです。だから、行きましょう』
 カケラがルシアに手を差し伸べる。それを見たルシアは笑い、カケラの頬を拭った。
「ええ。でも、頬にチョコレートをつけてたら、かっこつかないわね?」
『こ、これはその……こ、この場の雰囲気を穏やかにするために』
 取り繕うカケラの頭にコリマが手をぽんと置いた。
(和むのはここまでだ。
 後はルシア、お前の叫びと彼等の叫びの強さがリファニーの心を取り戻す鍵となる)
 コリマはルシアと契約者達に目をやった。
 契約者達は静かに頷き、ルシアも頷きながら言葉を紡ぐ。
「わかっています、ファーストコントラクター」
(ならよい。頼むぞ、ムーンコントラクター)
「……ええ。私とリファニーの旅は、まだ終っていないんだから」
 ルシアは小さく拳を握り締めた。
 そして向かう。洞窟の最奥部へと。
 月で出会った大切な友達を取り戻すために、歩き出した――――