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はっぴーめりーくりすます。

リアクション公開中!

はっぴーめりーくりすます。
はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。 はっぴーめりーくりすます。

リアクション



32.皆に幸あれ。


 クリスマスイブ。
 せっかくの機会だから、と冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)は勇気を出して美緒をお茶に誘ってみた。
 普段は、崩城亜璃珠を交えて会話する程度の仲である。
 だから、お誘いから了承の返事がくるまでの僅かな間にかなりドキドキしたし、今現在こうして美緒を待っている間もドキドキしている。
 色々な話をしてみたいという思いと、ちゃんと話せるかどうか、という思いで。
「小夜子お姉様!」
 もやもやしていると、前方から小夜子を呼ぶ声。
 美緒が急ぎ足で向かってきていた。
「急なお誘いでごめんなさい」
「いいえ! お姉様に誘っていただいて、嬉しいです」
 にこー、と笑う美緒に、こちらもにこー、となる。
 これなら、ごく自然に話せそうだと安堵して。
「お茶でも飲みに行きましょうか?」
「はい! あ、わたくし、お茶でしたら行きたいところがありますの。そこでもよろしいですか?」
「ええ、美緒さんのお好きなところへ何処へでも」
 にこり、笑って美緒の手を取って。
 向かった先は、大通りにあるカフェ。
 の、オープンテラス。
 しかしテラスはテラスとして機能しておらず、椅子やテーブルは端に避けられ。
 代わりにフェルトのマットが敷かれ、大きな和傘が立てられていた。
 それはまさに、
「茶会……?」
「揚羽が席主の、無礼講だらけの茶会へようこそ、お姉様方」
 小夜子が首を傾げると、二人に気付いた姫宮みことがぺこりと一礼した。
「お呼ばれしていたのです」
 美緒が微笑む。
「ラナも、呼ばれていたようですわ」
 言われて見たら、本能寺揚羽が茶を点てていた相手、それこそが美貌の吟遊詩人、ラナ・リゼット(らな・りぜっと)であり、思わぬ出会いに驚く。
 でも、お茶の席だし。
 妙に気張って疲れることはない。
「そうじゃ、リラックスせよ」
 と、見透かしたように揚羽は言ってきて。
「寒かろう、わらわの茶で暖まっていってくれ」
 つつ、と出される茶器。
 しゃかしゃかと手際よく点てられ、美緒の前にも器が置かれ。それからみことにも差し出され。
 五人で円を組むように座り、飲んだお茶は美味しくて。
 みことは、ラナと話しだし。
 揚羽は静かに茶を飲んで。
「……そういえば、聞いた話ですが」
 小夜子は美緒へと会話を投げる。
「美緒さんは肩凝りが悩みとか?」
「ええ、どうにも痛くて……」
 困ったように、美緒が肩を回した。
 大きな胸が、その動きに従いぷるんと揺れる。
「肩凝りの原因の一つは、サイズの合わない下着だそうですよ?
 ……まあ美緒さんの胸が大きいのも、原因かもしれませんが」
 言いながら、むにゅっと胸を揉んでみた。
「あっ、お、お姉様っ?」
「ぅー……同性ながら羨ましい大きさと柔らかさ……」
「お、お姉様だって充分っ、」
「それでも、大きい胸は魅力的です」
 ――でも私の胸、これ以上大きくなると、戦う時動き辛くなるんだろうなぁ……。
 ――今ですら重いし、たまに肩が痛くなるし……。
 ――揺れたら痛いし……。それで気が散るのも……。
 だけどやっぱり、大きい胸は憧れなのだ。
 なのでその分、むにむにと揉む。茶の席? みことがさっき、無礼講だと言っていたから許してもらえる……と、思いたい。顔を真っ赤にしてこっちを見ているけど、止めてこないし。ラナもくすくす笑っているだけだし。揚羽に至っては「ぬしら、仲が良いのぉ!」と豪快に笑っていた。
 ……注目されているとなると、あまり揉むのもどうか、というわけで。
「そうだ。肩が凝ってるなら美緒さんの肩を揉んでさしあげますわ」
 席を立ち、美緒の後ろに回って肩を掴む。
「そんな、お姉様にそんなことさせるわけには、」
「遠慮しなくてもいいですよ。優しくしますし、変な所も触りませんから。肩凝りの辛さはわかっているつもりですしね」
 親指に力を込めて、ツボを押しながら揉んでいく。
 かなり、凝っていた。
「気持ち良いですか?」
「ん、ぁ。はい……なんだか眠くなってしまいますね……」
 とろんとした声で、美緒は言う。
 それは良かった、と満更でもなく思いながら、ひたすら揉み揉み。
「あっ、そういえば」
 最中、ふと思い出した。
「この前美緒さんの妹さんに会いましたわ」
 泉美那に会ったことを。
「あら! お姉様もですの? わたくしもつい先日、久し振りに会えたんです」
 すると、美緒は嬉しそうな声で、楽しそうに言った。
「とてもよく似ているのですね。驚きました」
「ええ。本当、そっくりでしょう? つーぴーからー、って言われたこともありますの。どういう意味かはわかりませんけれど」
 確かに、2Pカラーだった……と美那の姿を思い出しながら、小夜子は笑う。
「……さて、肩も少し柔らかくなりましたね。
 どうでしたか? 痛くありませんでした?」
「ええ、気持ち良かったです。ありがとうございます、お姉様!」
 喜んで言ってもらえると、嬉しい。
 よかった、と微笑んでいたら。
「その……不躾なお願いなのですが、」
 もじもじ、言いにくそうに美緒が言う。
「なんでしょう?」
「また、マッサージして頂いても……よろしいでしょうか?
 小夜子お姉様のマッサージ、すごく気持ち良くって……」
 顔を赤くして言う彼女が可愛くて、小夜子は思わず抱き締める。
「ええ、いつでも……というわけにはいかないでしょうけれど、時間に余裕があったら、してさしあげますわ」
 可愛い後輩の頭を撫でて、存分に愛でながら。


*...***...*


 夜も暗くなった頃、如月 正悟(きさらぎ・しょうご)はようやく本日最後の仕事を終えた。
 世間がクリスマスイブだなんだと浮かれていても。
 ――俺、運送業者ですし。
 休みとか、リア充イベントとか、関係ない仕事だし。
 むしろ誰かの想いを誰かに届ける、そんな人の幸せを後押しできる素敵な仕事だ。
 選んだことに後悔なんてしていない、が。
 ――まったくなんですか今日は! リア充共の巣窟かよヴァイシャリーは!?
 いつからこうなった、どうしてこうなった、とぶつぶつ呟く。
 ああ、あの手紙。父親から娘に宛てた手紙。最後に回すんじゃなかった。配達先がヴァイシャリーだとわかった時点で最初に配達しておくべきだった。
 なんだかんだヴァイシャリーはデートスポットとして有名じゃないか。周りがこうなっていることくらい、予想はついた、はずなのに。
「はー」
 らぶらぶ、いちゃいちゃ。
 甘ったるいカップルが、正悟の脇を通り過ぎていく。
 ひとり、ぽつんと居ることがなんだか無性に寂しくなって、それが一周して、
「リア充爆発しろー」
 思わず呟いた。
 ――こんなにリア充居るなら、『大規模爆撃が行われます近隣リア充達はみんな避難してください、なおクリスマスは中止の運びとなりました』みたいなノリで映画作れちゃいそうだよな。
 そんなことを考えて歩いていたら、
「あら? 如月さん?」
 背後から声をかけられた。振り返る。
「美緒さん?」
 そこにはサンタ衣装を身に纏った美緒がにこにこ微笑んで立っていた。
 超ミニ、とはいかないまでも、それなりに短い丈のスカート。足元はロングブーツだが、サンタ衣装は薄そうだし、羽織るものもないしで、
「寒そうだな、その恰好」
 素直な感想を口にする。「ええ、まあ」と美緒が苦笑いした。
「貸すよ、コート」
 だから、着ていたコートを脱いで肩にかけてやる。
「ちょっとでかいかな? でもないよりはマシだと思うし」
「でも、これじゃ如月さんが」
「ああ俺? 大丈夫大丈夫、寒いの強いから」
 楽観的に笑って言った。実際、寒いのは苦手じゃない。
「何かあったの? そんな恰好で」
「あったというより、これからしに行きますの」
「しに?」
「ええ。広場に聖歌隊が来ているのはご存知ですか?」
「あー……見かけた、かも?」
 配達の最中、讃美歌が聞こえた気がする。うぃーうぃっしゅあ……なんたらと。
「そこで讃美歌を歌うんです。クリスマスイブですし、サンタさんの恰好で」
「なるほど」
 ――じゃあ、帰りはもっと遅くなるんだろうな。
 ――帰り道が心配だ。
 もしこの後予定がないというのなら、家まで送って帰ろうと思っていたのだけれど。
「そうだ!」
 その時、美緒が声をあげた。
「よろしければ、如月さんも聴いて行ってくださいませんか?」
「俺が?」
「お嫌でなければ……ですけれど」
 いかがでしょうか? と問うてくる美緒に。
 別に断る理由もないしなぁ、と正悟は頷く。
「行く。俺、今日ずっと配達しててさ、結局普段通りで……なんにもクリスマスらしいことしてないから」
 自分だって、ちょっとは楽しみたいと。
 クリスマス気分を味わいたいなと。
「ああ! クリスマスの配達だから、サンタさんの恰好なんですね」
「そう」
 今まで触れられなかったが、正悟の服装もサンタ衣装である。
「ふふ、わたくしたち、図らずしてお揃いだったんですね」
 二十歳目前なのにサンタ衣装とか浮かれてるよなぁ、とげんなりしていたけれど。
 美緒がそうやって楽しそうに笑うから、サンタ衣装でよかったとか。
 思ってしまったじゃないか。
「……あ、そうだ。これ、プレゼントってことで」
「え?」
「さっき使おうと思って買ったやつだから、ラッピングもされてないし地味なやつだけど」
 渡したのは、白のマフラー。
 これしかなくて、已む無く普段使わないような色のものを買ったが、それが幸いした。白なら美緒に似合うだろうし。
「ありがとうございます。だけどわたくし、プレゼントがなくて……」
「お返しなんて考えないでいいよ。俺がしたくしてしたことだから、気にしないで」
 それに、讃美歌を歌って聞かせてもらえるんだから。
 ――それで十分。


*...***...*


 毎年、クリスマスの夜には讃美歌を歌う。
 それが、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)の持つ昔からの習慣。
 だけれど、キリスト教とは無縁なこのパラミタの地においては、讃美歌を歌うことはただの催し事でしかない。
 ただ、歌うことを楽しむために。
 メイベルは、フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)ステラ・クリフトン(すてら・くりふとん)と共に聖歌隊に入った。
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)は、衆人環視の中で歌うことこそしないものの、その代わりに暖かいコーヒーや紅茶の用意をして。
「毎年の恒例行事とはいえ、戸外で歌うには寒いね」
 聖歌隊のメンバーに、配って歩く。
 お茶菓子やクッキーも用意して、「寒さ対策だよ、食べて飲んであったまってね」と気遣いの声もかけて、歩く。
 歌の合間の休憩時間。
 メイベルも紅茶とクッキーをもらい、紅茶で身体を温めて、クッキーで糖分を補給した。
「緊張、しますねぇ。やっぱり」
 セシリアの言うように、毎年の恒例行事ではあるけれど。
 厳粛な雰囲気の中、注目されながら歌を歌う。
 歌い始めは、喉も出来上がっていないし、緊張から上手く歌えないけれど。
 そこで挫けず、想いよ届けとばかりに歌い続ければ。
 段々と、歌う喜びを味わえるようになる。
 楽しめるようになる。
 それは、とても素晴らしいことだとメイベルは思う。
「サンタクロースの英霊も、今頃は配達を終えているのでしょうか?」
 ステラの呟きに、
「どうだろうね? 案外、まだまだ終わりそうになくて休憩してるかもよ」
 セシリアが答え、
「どこかで聴いていてくださっているのかもしれませんね」
 フィリッパが空を見上げる。
 今この瞬間、同じ世界で。
 誰か一人でも多く、幸せを感じられていたら。
「争い多き世界ですが、今この時だけはそれを感じさせない……そんなひと時を過ごしてほしいです」
 フィリッパの言葉に、メイベルは強く頷いた。
「きっと、訪れますよ。幸せが」
 胸に飾った青い薔薇を見ながら、言う。
 雪が、降り注いでいた。
「ホワイトクリスマスとは、また素敵ですよね」
「ねえメイベル、積もったら雪合戦しようね!」
「いいですね。雪遊び、楽しみです」
「あまり降り積もると大変ですけどね?」
 メイベルがふっと笑って言うと、セシリアがはしゃいだ声を上げ。
 それに肯くと、フィリッパが笑った。
「メイベルさーん!」
 そこに、美緒が現れた。
 四人とお揃いになるように、サンタ服を着て、青い薔薇を胸に飾って。
「遅くなりましたっ……、歌いに、来ましたよ」
 ああ、きっと彼女も今日一日を幸せに過ごせたのだろう。
 そう思わせるにこにこ笑顔。
 聴衆として来てほしいと誘ったら、一緒に歌いたいと言われていまこの瞬間が生まれた。
 そんな祝福にも感謝して。
「では、休憩はそろそろ終わりにして。
 行きましょうか、歌いに」
「……僕も歌おうかな。美緒さんも来てくれたし。あ、あー、あー。うん、声も出るしね!」
 セシリアも給仕の手を止めて、声を出す。
 壇上、お揃いの恰好の五人が上がり。

 街中に歌声を響かせんとばかりに、お腹の底から声を出すステラ。
 聖夜の奇跡が起こりますように、と優しい気持ちを乗せて歌うフィリッパ。
 とにかく楽しそうに歌うセシリア。
 ――神の祝福が、皆さんの許に訪れますように。

「We Wish You A Merry Christmas
 We Wish You A Merry Christmas
 We Wish You A Merry Christmas
 And A Happy new year」

 誰もが一度は耳にしたことのあるクリスマスソングを。
 一人でも多くの人に聴いてもらえるようにと。
 心を込めて、声を大にして。
 喜びの便りを届けられますようにと。

 皆に幸あれ。

 Merry Christmas!


担当マスターより

▼担当マスター

灰島懐音

▼マスターコメント

 お久しぶりです、本当にお久しぶりです。あるいは初めまして。
 ゲームマスターを務めさせていただきました灰島懐音です。
 参加してくださった皆様に多大なる謝辞を。

 クリスマスから大きく出遅れましたが、クリスマスシナリオです。
 出遅れたっていうか、ガイド公開が遅かったんですよねー。うん、でも後悔してないです。
 24日にガイド来るとか、クリスマスプレゼントみたいじゃないですか。違いますか、そうですか。だよなぁ、24日にリアクション来た方がプレゼントだよな。
 というのは既にもう後の祭りなので置いておいて。

 今回クリスマス恋愛シナリオでした!
 ……にも関わらずあんまデートしてない……気がする……。
 もうね、あれですね。ジャンル恋愛では、予約枠をカップルさんたちに譲ってもらうようにお願いするべきなんでしょうね。
 なんだかいろんな人にごめんなさいな結果になってしまいました。
 リアクション? そっちは全然ごめんなさいじゃないですよ、文字数以外は。

 はい、文字数。
 酷いことになりました。ページも30超えました。なので目次を作りましたー。
 30ページ超えたら作ろうかなと思っていたので。自キャラ登場シーンを探し辛くなっても嫌でしょうし。
 そうそう、『30.雪降る夜の、静かな話。』で一度夜が明けていますが、『31.あなたと。』でクリスマスイブの夜に戻っています。
 時間軸把握し辛くてすみません、それでもあのアクションは最後に持って来たかったんだ……っ!

 さて、今回もあとがきが長いですね。
 灰島のリア充的クリスマス話もしたかったのですが、そんなのはマスターページやブログでやれって話ですし。
 というわけで、締めの挨拶に向かいましょう。
 今回もご参加いただきました皆様。
 素敵なアクションをくださった皆様。
 スペシャルシナリオなのにありがとうございますですよ。そしてアクション欄に余裕があるからと私信を下さったあの方やこの方。いつもありがとうございます、灰島は文通をしている気分になってきました。

 とかく、去年の締めで今年初めのリアクションはこんな感じになりました。
 今年もよろしくお願いしますね。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


※1/28 修正を行いました。ご迷惑をおかけして申し訳御座いません。