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リアクション
「なんか……やってる」
外見2歳のシアちゃん(シア・メリシャルア(しあ・めりしゃるあ))が、雪合戦をしている子供達に近づいてきた。
「たのしい?」
シアちゃんの声は、遊んでいる子供達の耳には届かない。
「えっと、あの……」
自分も混ざりたいなあと思うけれど、中に入っていくことが出来ずにいた。
仕方なく、しゃがみこんで雪を集めて一人でまるめていく。
「ちっこい雪だるまかわいいなー」
そこに、黒髪おかっぱ頭の外見8歳のウェルちゃん(ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど))が近づいてきた。
「でも、みんなとは遊ばないのか〜?」
「あたし、ちっちゃいから。じゃまなの……」
シアちゃんは俯いて、一人で雪の玉をせっせと作っていく。
「そうか〜。しかたないから、いっしょにつくってやるぜー」
ウェルちゃんは「しかたなくだよしかたなく」とつぶやきながら、シアちゃんを手伝って雪の玉を作っていく。
「りょうてでぎゅっぎゅっとにぎるんだー。そうするとくずれないんだぞ〜」
「こう、かな……」
シアちゃんは教えてもらったように、一生懸命雪を固めていく。
「そうそう、あまり大きくしてもだめなんだぜー。なげにくいからなー」
ウェルちゃんは、丁寧にシアちゃんに教えた。
「できあがったのは、こっちなー」
そしてシアちゃんが、持ち来れないほどの雪の玉を作り上げたところで、一緒にハンカチを広げて、雪の玉を包んだ。
「それじゃ、みんなのところいくぞー」
「えっ? でもあたし……」
「じゃまなんてことないぞ。いろんな子がいた方が楽しいんだぞ〜」
そう言って、ウェルちゃんはシアちゃんの小さなお手てをとって、雪合戦をしている皆のところに連れて行く。
「よろしくな〜。この子、雪の玉作り、うまいんだぜー」
ウェルちゃんは、シアちゃんの背を押して、雪の玉と一緒にコウちゃんに預ける。
「はい、いっしょにがんばりましょ」
「うん!」
コウちゃんとシアちゃんは雪だるまの後ろに一緒に隠れながら、雪の玉を投げて、悪ガキチームの子供達に当てていく。
目をきらきら輝かせ、楽しそうな笑みを浮かべる子供達を、にこにことウェルちゃんは見守った後、そっとその場を後にした。
「てきのゆきをくずせー!」
「おー!」
「あっ」
あおいちゃんは、雪の玉を作りながら、雪うさぎも一緒につくっていた。
しかし、だーじゅくんのチームの男の子が、あおいちゃんと、あおいちゃんが作った雪の玉と雪うさぎめがけて雪を投げ込んできた。
「よくも、やったなぁ!」
途端、あおいちゃんも立ち上がって、自ら雪合戦に参戦!
「ばいにしてかえすんだもん!」
ゆきを両手につかむと、一番強そうなだーじゅくんに向かって投げつけていく。
「じゃ、その10ばいにしてかえすぜー!」
「わたしは、ゆきのたまねらうよー!」
だーじゅくんがあおいちゃんめがけて、雪をたくさん投げつけてくる。
みわちゃんも、喧嘩のあと謝りあって、そのままだーじゅくん達のチームの一員として遊んでいた。
「つぶせーつぶせー」
「いくよー!」
「こわせーこわせー」
だーじゅくん、みわちゃん達が、あおいちゃんに集中攻撃。
「こらー! やりすぎやねん! ウチがあいてしてやるけんこっちむきなー!!」
ちゅっぴりおかしな言葉で叱りながら、テレサちゃんが大きく振りかぶって雪の玉をだーじゅくんに投げた。
「ぶぐっ」
顔にひっとして、だーじゅくんはぽてんと転ぶ。
すぐに起き上がって、顔をごしごしこするが、その目には涙が浮かんでいた。
「なかしたー」
「やりすぎーやりすぎー」
「いーけないんだいけないんだ!」
だーじゅくんのチームの子供達がテレサに向かって雪を投げてくる。
「一回しかなげてないのに〜」
テレサはあおいちゃんを庇いながら、雪を拾って今度は顔には当たらないように子供達に投げる。
「よわいものいじめ、だめです……っ」
コウちゃんが、転んだだーじゅくんの元に駆け付ける。
「けがしちゃった?」
シアちゃんもそのあとに、とてとて続く。
「だいじょうぶですか?」
「いたくない?」
「おれはよわくないぞー。ちびたちはうしろにさがってろ〜」
心配そうな顔のコウちゃんとシアちゃんにそう答えて、だーじゅくんは立ち上がる。
「してんのーにおれはなるんだ〜! このこのこのこのぉ!」
そして、雪を掬っては、投げ、掬っては投げ、乱発していく。
「わちゃ、ふくの中に入った」
「つめたいっ。おかえしおかえしー!」
「よーし、いったるで〜」
テレサちゃんはちょっと下がり、あおいちゃんと並んで、一緒に反撃を始める。
「……うん、もうだいじょうぶだね」
こゆきくんは皆の顔が笑顔であることを木の上から確認して、微笑を浮かべると雪合戦には加わらずに、ゆうこちゃんたちの元に戻っていく。
「ちょうとくだいおおだまこうげきー」
「ゆきふぶきー、えいえいえーい」
次第に、子供達は勝ち負けはもちろん、敵味方も忘れて、夢中で雪を投げ合っていく。
そして、くたくたになるまで遊んだあと、みんなで一緒に笑顔を浮かべながらログハウスに戻るのだった。
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