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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!
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『臨時保健室』

 合宿所でも、出し物や展示が行われていた。
 中でも多くの人が集まっていたのは、臨時で設けられた保健室。
 という名の休憩所だ。
 室内には穏やかな曲が流れており、安らぎを感じるアロマの香りが漂っていた。
「環菜、疲れていませんか? 少し賑やか過ぎましたね」
 御神楽 陽太(みかぐら・ようた)が、妻の御神楽 環菜(みかぐら・かんな)を気遣う。
 2人は臨時保健室のソファーに、並んで腰掛け、休憩をしていた。
 鉄道事業の仕事ではなく、今日は純粋に学園祭を楽しむために訪れた2人だったが、やはり環菜は変わらず有名人であることから、気づかれて注目を浴びたり、挨拶をしてくる者や、握手を求められたりしてしまい、プライベートを満喫というわけにはいかなかった。
 でもそれも護衛もつけずに、2人だけで訪れることが出来ている今は、昔より随分楽になったともいえる。
「大丈夫よ。ためになる出し物も、結構あったわね」
 環菜は陽太が持ってきてくれた緑茶を飲みながら、学園祭の感想を語っていく。
「特に生徒会の展示は、なかなか興味深かったわ」
「そうですね。桜井校長の企画も素敵でした」
 語り合いながら、環菜が学園祭をとても楽しんでいるのだということを、陽太は感じ取っていく。
 自然と意識せずに、2人の手は重なり合う
 この部屋にいるのは2人だけではなく、休憩に訪れた若者達の姿や、臨時保健室のリーダーである、錦織 百合子(にしきおり ゆりこ)の姿もあった。
 学生達がのんびり休憩する様子や、語り合う様子を陽太は環菜と共に微笑ましげに見ていた。
「錦織さん」
 百合子に声をかけたのは、環菜だった。
「はい。お代わりのお飲物をお持ちしましょか?」
「飲み物はいいわ。……あなたは、地球の百合園女学院の理事長の娘、なのよね?」
「はい。跡取りといわけではありませんけれど」
「地球の百合園じゃなくて、パラミタの百合園が欲しいのかしら?」
 環菜の問いに、百合子は微笑んで首を左右に振った。
「願いのことでしたら、悪戯心で言ってみただけです」
「そう、あなたが理事長になったら、それはそれで面白そうだとも思ったのだけれど」
 百合子と環菜は軽く微笑み合った。
 こんな時――。陽太は話しに割りこんだりはしない。
 まるで良妻のようなポジションで、環菜を見守って、環菜が楽しそうであれば、その楽しみを自分の楽しみとしていた。

 数十分、休憩をとった後。
 再び陽太は環菜と共に、沢山の展示を見て回った。
 そして、帰途につくとき。
「今日は楽しかったですね」
 と、陽太は環菜に微笑みかけた。
 以前なら、悪くなかった。のような表現で笑いもせずに答えた彼女だけれど。
「有意義な一日だったわ」
 環菜はそう、陽太の目を見て軽く微笑んだ。
 凄く楽しい一日だったようだ。
「そうですね、環菜」
 陽太は環菜の数十倍の笑みを浮かべた。
 そして、休憩後に見た展示のことを話しながら、2人は一時も離れることなく、2人の家へと帰っていった。