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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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4)

創世学園都市にて。
風馬 弾(ふうま・だん)は、
友人であるアゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)を誘って、
買い物を楽しんでいた。
「興味深い品がいろいろとあるようだね」
アゾートは、冷静な態度ながら、様々な市場の品々に目を輝かせていた。
「うん、珍しい書物や鉱物がいろいろあると思うんです」
「賢者の石」を作ることを目標とするアゾートが、
いつも研究熱心なことを、弾はよく知っている。

「あれとこれと……これも買っておこう」
「うん。荷物持ちなら任せてください!」
ニルヴァーナの珍しい物を次々と購入するアゾートに、
弾はにっこりと笑いかけた。

(喜んでくれてよかったなあ)
弾は小型飛空艇に荷物を積みながら、アゾートの横顔をみつめていた。



夜になり、創世学園都市の夜景を見るために、
アゾートは弾に連れられ、小型飛空艇に乗っていた。

「綺麗ですね」
「ああ、そうだね」
地上の夜景の様子は、天井の星々にも負けない、まばゆい光を放っている。

弾が、アゾートと夜景を見たかったのは、
錬金術について、いろいろなおしゃべりをするためだった。
尊敬する先輩であるアゾートと、ゆっくりと話がしてみたかった。

「僕も錬金術について色んな本を読んだりしてみて、凄いなあって思ったんです。
錬金術に取り組むたくさんの人が、「賢者の石」を創り出そうとした。
その過程で、科学に大きな発展をもたらし、現代の科学へと繋がった。
だとすれば、夜景に見える灯火のきらめきや、
街で過ごす人々の笑顔も、ある意味、錬金術が生み出した「賢者の石」とも言えるのかなって……」
弾は、はにかむような笑みを浮かべた。
「そんな途方も無いことを考えてしまいます」
「たしかに、そうかもしれない。
ボクが、目指すもので、皆が笑顔になれるのなら」
アゾートが、夜景の街を見下ろしながら言った。
「キミは、なんというか……ロマンチストだね」
「いやいやそんなっ!」
アゾートにじっと見つめられ、弾はぶんぶんと首を振った。
それを見て、アゾートは、ふっと笑みをこぼす。

(ああ)
その様子を見て、弾は思う。
(こんな、アゾートさんの力になりたいな。大きな目標を持っているアゾートさんの……)

「アゾートさん。
これからも、僕は、
途方も無い夢に進むアゾートさんを尊敬するし、応援したいなって思ってるんです。
冒険でも、なんでも、もし必要なことがあったら、いつでも声をかけてくださいね」
「ありがとう。
ボクの「賢者の石」という目標は大きなものだけれど、
それは、地道な一歩一歩から進んでいくと思う。
ニルヴァーナの開拓が、こうして、着実に進んできたようにね。
これからも、どうぞよろしくね」
「はい、こちらこそ!」
アゾートの微笑に、弾は、大きくうなずいたのだった。