リアクション
第1ターン ゲームスタートと同時に、赤チームの数少ないメンバーである黒崎 天音(くろさき・あまね)とブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)は、あらかじめ決めておいたポイントで合流した。 一対多数になってこちらが不利になるのを防ぐ為である。 旗の防衛には緋柱陽子が残り、緋柱透乃が中央から切り込んで行く。 天音とブルーズは、左サイドから回り込んで青の陣地を目指した。 一方青チーム最後尾では、セレアナが『防衛計画』を発動させて、効果的な防衛ポイントを模索する。 青チームの人数は多い。攻撃は、セレンフィリティ達に任せて、セレアナは防衛に専念することにした。 「ちぇー、暇だな。やっぱ人数的に、敵に会わずに終わりそうか?」 ブラブラと敵陣に向かっていたリョージュは、早速飽きていた。 「よし、じゃあ突発ライブと行くぜ! 俺の歌を聴け!」 周囲には、敵は勿論味方の姿も見えなかったが、リョージュはノリノリで派手なロックを歌い始める。楽器かスピーカー付マイクを持ってくればよかったぜ。 「……リョージュくん……何やってるの……」 後方に控えていた忍とコハクの耳に、その歌が届いて、二人は顔を見合わせ、忍は赤面する。 コハクはくすくす笑って「合流しようか?」と訊ねた。 「いえ、私は後退します……。旗護りますし」 「そっか。じゃあ、旗はよろしくお願いします。僕は進むね」 コハクは前進して、中央から美羽達との合流を図る。 また、リョージュの左を抜けるヒルダ・ノーライフ(ひるだ・のーらいふ)にも歌が聴こえていたが、とりあえずスルーして前進していた。 「……歌?」 一方、赤チームの右サイドから青チームの陣地を目指すルカルカは、聞こえてきたリョージュの歌に首を傾げた。 「よくわかんないけど、青チームの誰かがいるってことよね……。無駄な戦いは出来るだけ避けたいのよね」 なるべく力を温存する為に、大外から敵陣に向かう作戦を取ったルカルカは、リョージュとの対戦を避け、横に潜んですれ違う。 後でルカルカのルートを知ったリョージュは、命拾いしたとほっと胸を撫で下ろすこととなったのだった。 そして、陣地の中央を突破する、ニキータ・エリザロフ(にきーた・えりざろふ)と透乃にも、アカペラのロックが聴こえていた。 「あらまあ?」 「へへっ、面白い演出だね!」 二人はそれぞれ、一瞬その歌に反応するが、すぐに目の前の敵に注意を戻す。 ニキータは後方から、サンダーショットガンを手に、シャープシューターを使って狙い撃った。 「効かないっ!」 インビンシブルで防御力を上げ、透乃は正面から突っ込んで行く。 勿論、全く効かないということはないが、多少のダメージは無視だ。 「堅いわねぇ」 とニキータは苦笑しつつ、距離を詰める透乃を待ち受ける。 「もらっ……!?」 掴みかかろうとした透乃の攻撃が防がれた。はっ、とそこにいる存在に気付く。 「フラワシ!」 不可視のフラワシ、ニキータの大熊のミーシャに防御されるも、一瞬で判断して、透乃は構わず、そのままニキータに突っ込んだ。 フラワシへのダメージはニキータへのダメージとなるが、気配もなく、何処にいるのか判別できない。 ならば勢いを殺すより、ダメージを受けてもこのまま突っ込んで、ニキータを投げ飛ばす、と判断した。 「こっちの台詞だったわね!」 「しまっ……」 だが当然、透乃の攻撃は読まれていた。 透乃の動きに、ニキータはアブソービンゲングラブを合わせる。 透乃の攻撃を吸収し、ニキータは、それを瞬時に放出した。 「負けたぁ。対策されてた?」 透乃はがっくりと肩を落とした。 「まあ、中央を真っ先に突破してくるのは、正攻法の力自慢かしらと考えてはいたかしら」 吸収しきれなかったダメージで、ニキータも無傷とはいかなかったが、何とかこの戦闘を勝利した。 「じゃあまた後でね」 と、回復もそこそこにニキータは先に進み、手を振ってそれを見送った透乃は、ちぇー、と残念がる。 「もー、主力が負けちゃった。皆ごめんー」 |
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