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全学最強決定戦! ~ラストバトル~

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全学最強決定戦! ~ラストバトル~

リアクション

 パラミタ内海。
 現在、ここには多くの大型飛空艇が浮遊している。
 その中心には一つのリングがあった。

「それでは皆さん、準備はいいですか?」
 卜部 泪(うらべ・るい)がそう言うと、観客が拍車と大歓声で答える。
「……そちらもよろしいでしょうか?」
「うん、平気だよ。ちゃんとお仕事しないとねぇ♪」
 泪から密かに連絡を受けたのはミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)
 今回、リングの周りにいる大型飛空艇への護衛を担当している。
 リングからは距離を取っており、安全にも配慮はされているものの、今回の参加者たちは強きものばかり。
 威力が高く広範囲の攻撃も次々と出ることが予想される。
 その流れ弾がないとも限らない。
 それを見越したミルディアは万一を考え、今回の護衛に立候補してくれたのだ。
「こっちのことは気にしないで! 思いっきり戦ってくださいねー、って感じだよ」
「ありがとうございます」
 お客さんの安全は十分に確保されている距離と、
 ワイバーンに乗っているミルディアによって万全を期す。
 それを受けて泪も安心し、心置きなく叫ぶことができた。

「それでは最強決定戦、本当にラスト……開始!!」

 と。

「んじゃま、ささっと先手を打つとしますか」
 隠密技巧を駆使して自身の気を周りと同化させ隠蔽しつつ、
 持ち込んだ自在の紙片をばら撒こうとするのは紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
 この初手でできるだけの相手を倒そうと考えていた。
 実際に紙片をばら撒くことにも成功するが、それは他の参加者に認知されることはない。
 その刹那に、他の参加者たちが開幕攻撃を行ってからである。一際派手に。
 その筆頭がルカルカ・ルー(るかるか・るー)たちだった。
「ダリル、淵、行くよ!」
「了解だ」
「任せてくれ!」
 ルカルカの声にダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)夏侯 淵(かこう・えん)が返事をして、
 三人は同時に、火門遁甲・創操焔の術、風門遁甲・創操宙の術、水門遁甲・創操瀑の術を使用する。互いに互いの技が引き立てあいその威力は増す。
 その攻撃に自分たちが巻き込まれないよう飛行する。
 更に対抗するかのように鳴神 裁(なるかみ・さい)、裁の鎧であるドール・ゴールド(どーる・ごーるど)もウィザーフレンズで攻撃。
 風の力を操り、ツイスターを発生させ全体への攻撃を行う。
 全体攻撃により、唯斗が考えていた紙片による攻撃は上手くいかない。
 暴水と暴炎、そして暴風の中では何ものも飲み込まれんとするばかりだった。
「……とりえあず、潜んでおくか」
 唯斗は隠密技巧を継続させつつ、周囲へと溶け込む。
 リング場では多かれ少なかれ参加者たちが傷を追うものの、誰一人として倒れることはなかった。
 一方、派手に攻撃を行ったルカルカと裁のバトルが開始されていた。
「ごにゃ〜ぽ☆ 派手にやるもんだね!」
「そっちこそ、いい風じゃない!」
 二人の空中戦は拮抗するが、ルカルカたちはカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)も含めて四人。対して裁はドールをいれても二人。
 後の二人であるアリス・セカンドカラー(ありす・せかんどからー)蒼汁 いーとみー(あじゅーる・いーとみー)は先ほどの攻撃でダメージを受けているため、全力で戦えるのは実質裁のみである。
 それでも裁が引くことはない。強者との戦いに心は躍る。
「さぁ、この暴風(ボク)の動きを捉えることはできるかな?」
 先に動いたのは裁だ。四人相手に果敢に飛び込む。
 無謀とも思えるこの行動だが、ちゃんと考えがあってのこと。
「ちょっと混ぜてくれないかしら?」
 そう言いながら二組の激闘に割って入ったのはリネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)だった。
 彼女もまた策を考え空中にいた。そのテリトリーを荒されるわけにはいかない。
「なんだなんだ、次のお客さんか?」
 カルキノスが指をぽきぽきと鳴らす。
 そして拳を突き出すと、それは覇王の神気と竜皇気の組み合わせにより格闘技が放出される遠距離攻撃となる。
 その攻撃をひらりとかわすリネン。攻撃から見てもそれが小手調べなのは明らか。
 だがここからラッシュが続く。
 リネンは隙を窺いつつラッシュを捌いていく。
 そこへ淵が近づき、リネンの人形を狙う。
「いただき!」
 自分の武器である宿儺を本来の姿に戻し、リネンの人形を狙う。
 それをバーストダッシュを使い切り抜け、反撃に転じるかと考えるリネンだが相手も並ではない。
 更に今はカルキノスが遠距離砲台と化している。
 下手に攻めれば手痛いダメージを負うなり、人形を破壊されるなりするだろう。
 それでも、リネンは攻めに転じた。
「今度はこちらからいくわ!」
「負けないぜ!」
 二人の熟練者がもたらす攻撃の打ち合い。
 研ぎ澄まされた一撃一撃がその身を狙い、人形を狙うが決定打にはならない。
 と、そこへ気まぐれな暴風が参戦する。
「淵っ!」
 ルカルカが叫ぶよりも早く淵も裁の存在を感知し、暴風が突き出したジャガーナートを受け止める。
 その隙をリネンが狙わないわけもなく、終焉のアイオーンの銃口を人形に向けて発射。
「ちっ!」
 二人の猛攻に少し辛そうな表情をする淵。
 裁を押し退け銃弾をかわし距離を取ろうとするが裁とリネンが追いすがり離さない。
 だがそれを見てるだけのルカルカたちでもなかった。
 カルキノスが遠距離から淵をカバーしつつ、ルカルカとダリルも応援に駆けつけようとする。
「おっと、あちらさんはボクが.の相手だよね」
 ここで裁が離脱し、近づいてくるルカルカたちへと戻る。
 リネンは淵との攻防を続ける。だがこれでまた二対一の形。
 そう思われた。
「……そこですわっ!」
 声と同時に、淵の背後にはエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)の姿が。
「見え見えだぜ!」
 その攻撃を『受けようとする』淵。しかし、エリシアの狙いはそれではない。
 淵の人形が狙いであり、その攻撃は成功する。
 エリアシアの真空切りの対象は、あくまでも淵の人形だった。
「ああっ! 俺の人形がぁ!」
 淵の人形が破壊される。カルキノスの援護もあったが、距離が遠くフォローに入りきれなかったのだ。
 更にダリルやルカルカたちにも別の者から攻撃が注がれていた。
「確実に当てさせていただきますわ」
 セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)がサイドワインダーとダブルインペイルを併用し、神威の矢を使ってダリルを攻撃する。
 対するダリルも天破を二丁銃にして対応、矢を打ち抜くと同時に大量の弾幕でセルフィーナを圧倒せんとする。
 だが騎沙良 詩穂(きさら・しほ)の妖刀【時喰】の一閃がそれを許しはしない。
 弾雨の一部を時空の果てへと斬り消して、僅かにできた弾雨の途切れにセルフィーナと二人で撤退。その間、清風 青白磁(せいふう・せいびゃくじ)はスローギアを発動させる。
 発動までに数秒がかかるスローギアだが、乱戦の今ならば入る可能性もある。
 しかし、ダリルとルカルカがそれに気づき、すぐさま撤退。
 青白磁はアクセルギアを使用するが、空中を動く相手に対して決定打を作ることができない。
 遠距離の武器があれば、と考える青白磁だが時は待ってくれない。
 スローギアが発動し、周囲のものの思考・肉体速度を著しく低下させる。
 その範囲にいたのはアリスといーとみー。
 お互い裸拳の使い手であり、「気持ちよーく逝かせてあ・げ・る☆」「いーとみ〜」等意気込みたっぷりに、全裸に近い形でリングに立っていた。
 更に開幕の全体攻撃に巻き込まれ服の布地部分は限界ギリギリまで減っており、ダメージを追いながらも強さに磨きがかかっていたものの、
 真面目に戦闘をする気はなかったため、このスローギアに気付けず巻き込まれてしまった。
 そこへ加速する青白磁が現れ、二人を一蹴。
「あら、まだ魂まで吸い尽くしてあげてないわよ? いいのかしら?」
「いーとみー!」
 と不敵な笑みを浮かべながら海へと落下していった。
 その後、救助に入った運営チームにお礼と称してあんなことこんなことでお礼をしたが、それはまた別の話であり今は置いておこう。
(……二人がやられたようです)
「えちぃのはいけないからね。少しは懲りるといいけど……無理そうだ」
「よそ見して会話なんて、随分と余裕だね!!」
 ルカルカが裁に迫り武器を振るう。しかし、風のような素早さで際はひらりとそれをかわす。
「ははっ☆ 色々と余裕は出てきたよ。あれだけ派手にやったんだ、お互いに攻撃の的になりやすいだろう?
 そっちのほうが派手だったから、ボクなんか忘れられてるかもだけど」
「それが狙いだったわけね?」
「さあ、どうだろうね?」
 含み笑いをする裁に、ルカルカも不敵に笑い返した。

 一方、カルキノスはエリシアとの戦いに臨んでいた。
 熾烈な二人の空中戦は激しくもあり美しくもある。
 相手の踏みこんだ一太刀をギリギリでかわし、カウンターを見舞う。
 だがそれは受け止められ、ギリギリと武器同士が鍔迫り合いをして、両者の視線が絡み合う。
「やるな、ちび魔女」
「そちらもですわ」
 強者との戦いに二人も心躍らせる。と、エリシアが武器を引き、再度真空切りを見舞う。
 だが二度も同じ手は通用しない。カルキノスは上昇することで確実にかわし、
 アガリアレプトを使用して美少年を実体化させる。
 そしてその美少年はエリシアに一瞬だけ触れる。
「なんですの?」
 怪訝な顔つきになりながらも美少年を切り払うエリシア。
 それと同時にカルキノスがエリシアに向かう。
「真正面……よほど自信がおありなのです。ではそれも切り払います!」
 三度の真空斬り。たとえこれが防がれ自分がダメージを被ろうとも、それは彼女の戦略だった。
 しかし、エリシアは愕然とする。真空斬りが発動しないことに。
「……まさかっ」
「ああ。技、封じさせてもらったぜ!」
「きゃあ!」
 カルキノスの痛烈な一撃がエリシアにヒットする。
 刀と盾での防御をするも間に合わず、エリシアはリングに叩き落された後意識を失った。
 後、パートナーである御神楽 陽太(みかぐら・ようた)から
「結果は残念でしたが、いつものように全力で戦うエリシアがとても格好良かったです。お疲れ様です」とメールをもらい、喜んでいたそうな。

 エリシアとの戦いを制したカルキノスだが一難去ってまた一難。
 リネンがカルキノスへと差し迫る。
「おうおう、次はどんな戦い方だ?」
「それは見てからのお楽しみよ!」
 リネンが力場を生み出し、高速ダッシュで近づく。
 空中を弾丸の様に直角に曲がりながら、カルキノスを翻弄する。
 しかし、カルキノスとてそれだけで動揺はしない。
 先ほどの淵がやられたようにリネンは何かをたくらんでいる、そう直感していた。
 その矢先だ。

 ドガァン!

「んな!? こりゃ、機雷か」
 カルキノスはリネンを警戒するあまり、無防備に後ろへ下がった。
 エリシアとの戦闘中、その後方に仕掛けられていたのだろう。
 これでバランスを崩した、というより身体が硬直するカルキノス。
 そこへ現れるのは上からリネン、そして下から酒杜 陽一(さかもり・よういち)だ。
「ちっ……ならそっちからだ!」
 カルキノスは瞬時に陽一を標的にして、降下する。
 先ほどよりも速く、洗練された拳打に蹴技。
 その全てを余すことなく振るい陽一へと襲い掛かる。
「とても大きく見えるね。でも大きさなら負けないよ!」
 使い手の恋人の名を与えられた大剣。
 超重量のソード・オブ・リコを振るい、カルキノスの攻撃を鮮やかにいなしていく。
 相手が相手、出し惜しみはなしに自分の潜在能力を開放する。
 そのまま二人は激しい攻防を繰り広げながらリング床面へと向かい、やがて着地する。
 いや、衝突と言ったほうがお似合いだろう。
 互いに一歩も引かず、拳を突き出しそれを剣の平が受け、同時に斬りかかりそれを紙一重でよける。
 見事なまでのやりとりに、観客は思わず息を呑む。
 だがやがてカルキノスが優勢に立ち始める。そしてトドメの一撃と言わんばかりに右拳を突き出す。
「……!」
 受けてはまずいと考えた陽一がポイントシフトで脱出。
 だが。
「甘いっ!」
 カルキノスもまたポイントシフトで追いつき、そのまま陽一を吹き飛ばす。
 その僅かに大振りな攻撃にできる隙。
 それにリネンが放った銃弾が滑り込む。狙いは当然、カルキノスの人形。
 だがカルキノスとてリネンは警戒していた。すぐさま防御の体勢に入ろうとする。
 しかし、今度は足元から直にダメージを受ける。またもの硬直。
 防御の体勢に入ることを妨げられ、カルキノスの人形は破壊されてしまう。
「……なるほど。いい戦い方だな」
「少し卑怯かもしれないけど、これが空賊らしさよ」
 リネンの言葉を聞いて「ははっ、天晴れだよ」とカルキノスは笑った。
 一方の陽一はというと。
「ごほごほっ。危なかった……」
 カルキノスの強烈な一撃で吹き飛ばされて、海面への着水の危機にあったが、
 とっさにソード・オブ・リコをリングの側面に突き立て、落下を免れていた。
 その傷を愛の結晶で治しつつ、再度リングへ向かおうとする。
 その行く手にリネンが差し迫る。
「ごめんなさいね。このような戦い方で」
「いいえ。全てを相手にしようとする姿勢、気高いと思うよ」
 お互いの顔を見やってお互いに笑い、二人は空中で戦闘を再開した。
「お兄ちゃーん! がんばれー!」
「前回は運に助けられていたが、今回は好敵手との本気の戦い。どうかな」
 その様子を熱く見ていた酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)と冷静に状況を窺いながら見ていたフリーレ・ヴァイスリート(ふりーれ・ばいすりーと)
 だが二人の思いは一つ、陽一に勝って欲しい、その一心だった。