天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

蒼空学園へ

星座の闘衣を纏いし戦士達!

リアクション公開中!

星座の闘衣を纏いし戦士達!
星座の闘衣を纏いし戦士達! 星座の闘衣を纏いし戦士達!

リアクション



星座の光に導かれ〜ゾディアック伝説〜

 それは、不意打ちだった。
ジャッジメント
 物陰から飛び出した、黄道ではなく太陰道に存在する陰天秤座のリッター宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)の必殺の一撃。相手を行動不能にする必殺技だった。
 それの攻撃は傭兵の一人を打ち倒し、ルミーナの警戒をひく。
「フリューネと闘衣を守れと星座が告げている……ルミーナ、あなたに星座の導きはあるの?」
「無論、ありますわ」
 祥子はそれで戦う決意を決めた。
「いいでしょう、ならば私が立ちはだかりましょう! 龍飛牙突
 地を這うような超低空跳躍からの刺突。
 それがルミーナに襲いかかるが、虎子が身を呈して庇う。
 祥子の【双龍刀【一閃爪】】が虎子の大鎌、にゃんこサイズによって受け止められていた。
「甘いじゃん。これでも傭兵じゃん。傭兵は依頼主を守るんだし〜」
 虎子がにやりと笑う。そして目配せをする。
ワイルドヴィーグル
 それを受けてベルセヴェランテが放つ大鎌が祥子に襲いかかる。
 避け切れない!
 直撃を受け、闘衣の一部が砕ける。
「さて、降参したらどうですぅ?」
 ベルセヴェランテがそう告げるが
「甘いわね……私はただの時間稼ぎ。フリューネが逃げるまでの、ね」
 祥子は笑いながら倒れる。その顔には満足そうな表情が浮かんでいた。
「しまった!」
 ルミーナが叫ぶ。突然の闖入者に気を取られてみれば、かなりフリューネに引き離されている。
「追いますわよ!」
 そう言って駆け出す。

 やがて開けた場所でフリューネ一向に追いつく。
「さあ、闘衣を渡しなさい」
 ルミーナの言葉に
「わけがわからないのよ! 何がなんなのか説明しなさい!」
「それはね、星座の導き、そして大きな陰謀。フリューネはそれに巻き込まれたの!」
 突如聞こえる声。懐かしい、温かい声。大切な友人、リネン・エルフト(りねん・えるふと)の声だった。
「リネン!」
 そして、「お待たせフリューネ、助けに来たよ!」と飛んできて目をやればそこは木の上。小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
が枝に立って見得を切っていた。
「美羽!」
 嬉しくなって鼓動が跳ね上がるフリューネ。
「わ、私もいます……」
「ベアトリーチェ!」
 ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が、木の下に佇んで、はにかみながらあらわれる。
「さーて、いっくよ! 友情の名のもとに、友を助ける女小鳥遊 美羽! 装着!」
 そう言うと美羽は匣を空中に放り上げた。そこからイルカの形をした闘衣が飛び出し、分解され装着されていく。この間わずか0.05秒である。
 そしてそのまま木から飛び立ち、必殺の蹴りを放つ。
ドルフィンキック
 激しい冷気を放ち、敵を凍らせてから、思い切り蹴り飛ばすイルカの蹴りは、虎子を遠くへ蹴り飛ばす。
「数が多いですね……眠らせます」
 そういうとベアトリーチェは、守護星座である琴座の竪琴を取り出し、それを奏で始める。それが奏でるのは懐かしき旋律。子供の頃に聞いたことがあるような、遠い昔を思い出すような、人を安らかにさせる旋律。
 それは、多くの敵の闘争心を奪い、更に抵抗力の弱いものは眠りに至らしめる。ベアトリーチェのフェアリーハープであった。
「さあ、今です!」
 ベアトリーチェの声に、リネンが反応する。
「了解! 一緒にいくわよ、フリューネ! 私はペルセウス座のリネン! 元祖天馬騎士のペルセウスの闘衣を纏う私は、天馬座と連携することで、その真価を発揮するのよ!」
「この感じ……そうか、私は……行こう! リネン!」
 星座に導かれるままに本能的にリネンの言うことを悟ったフリューネは、戦う覚悟を決めた。
「あれをやるわよ!」
「ええ! いいわよ!」
 そして二人が、息を揃える。シンクロする闘志、放たれる一撃。
ダブル、流星穿!
「あれは! 天馬と天馬騎士の放つ流星! その効果は二倍どころじゃない。二乗だ!」
 フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)がそれらしく解説する。
 その言葉通り相乗効果を持った無数の流星は、並み居る敵をなぎ倒し、戦場を広くする。
 だが、それを受けてなお立っているものこそ、真のリッターだった。
「ふふふ……なかなかやるな」
 不敵に笑うのはリブロ・グランチェスター(りぶろ・ぐらんちぇすたー)。レチクル座のリッターだった。
「私は闘衣には興味が無いが、色々と気になることがあるのでね……それに、アレがフリューネに復讐をしたいと言っているから、さ」
 と言って動かした視線の先にはアルビダ・シルフィング(あるびだ・しるふぃんぐ)がいた。かつてフリューネに敗れたアルゴ座のリッターである。
「ひさしぶりですね、フリューネ。あんたに会いたかったわ」
「私はキミに会いたくなかったわ……」
 熱っぽい口調で言うアルビダに対して、フリューネは冷たい。
「ふふ……そうつれないことを言わないでよ」
 そう言いつつ予備動作無しに必殺技を放つ。
獅子王流星陣銀河大爆破
 突然の攻撃。極限まで燃やされた闘気が放つ宇宙開闢のごとき大爆発。しかし不意をつくために予備動作を抑えたので、威力が若干足りない。
ダブル、流星穿!
 それをフリューネとリネンは協力して支える。
 フリューネたちを襲う爆発が、流星の盾によって防がれる。そして全てが終わった時、そこには蒸気が立ち上っていた。
「これを防ぐとは……」
「しかたがないよ、アルビダ。こちらも連携していこう」
 リブロがそう言うと、アルビダは頷き闘気を高めた。
「リブロは私が守るよ」
 レノア・レヴィスペンサー(れのあ・れう゛ぃすぺんさー)がそう言う。レノアはおおいぬ座(ケルベロス)の闘衣を纏った瞬間、リブロへの親愛が高まってまるでリブロの忠犬のようになってしまった。そのため、どんなことをしてでもリブロだけは守る覚悟で会った。
「ふっふー! じゃ、いただき!」
 鷲座の闘衣と航空戦闘飛行脚【Bf109G】を纏ったエーリカ・ブラウンシュヴァイク(えーりか・ぶらうんしゅう゛ぁいく)が上空から急襲して、フリューネから射手座の闘衣の入った箱を奪う。
「戦場の黒い悪魔は伊達じゃない!」
 エーリカはそう叫びながらそのまま戦場を離脱しようとする。だが、直感が危険を完治して回避行動を取ろうとした瞬間
クイーンズ・アタック
 どこからともなく飛翔した鎖が戦闘飛行脚の欠点を直撃し、エーリカは飛行不可能になり墜落してしまった。
「星座の導きできてみれば……暴力で人から物を奪おうとするなんて美しくないね」
 それは、カシオペア座の堀河 一寿(ほりかわ・かずひさ)だった。
「美しいとか美しくないとか、そんなの関係ないね!」
 アルビダが叫ぶ。
「あたしが援護する! リブロ、レノア、エーリカ、一気にいけ!」
『了解!』
 アルビダの言葉を受け、全員が一斉に闘気を燃やす。
460mm三連装砲龍聖拳
「炎と風と雷を拳に圧縮して砲弾の様に高速で撃ち出されて、弾幕を張っている! これでは、こちらの行動が制限される!」
 フェイミィの解説。それに続いてリブロの攻撃が繰り出される。
ジェノサイド・ヘル
 背中から、重火器となった翼が出現し、それらが一斉に火を噴く。弾幕に次ぐ弾幕。圧倒的な火力。
ケルベロス・ファング
 レノアの紅蓮の炎を宿した拳が、刃のように連続して繰り出される。
アードラー・ファング
 それとは対照的に、エーリカの拳は雷と風を宿している。
 それらの連携攻撃がフリューネたちを襲う。絶体絶命の危機。そのように思われたが
クイーンズ・ガード
 一寿のチェーンが円陣を描きそれらの攻撃のこと如くを防御する。
「カシオペアはアンドロメダの母……だから攻撃には向かないけど、その分大切な物を守る力は強いよ」
「なっ!」
 そしてリブロ一行が驚いているところへ
ラクリモサ・ティアーズ
 一寿の背後からのヴォルフラム・エッシェンバッハ(う゛ぉるふらむ・えっしぇんばっは)の攻撃がレノアとエーリカを襲う。
 連続で繰り出される打撃は、レノアとエーリカの神経を侵食し、二人は体が麻痺して、身動きがとれなくなる。
「くうう……」
「うごけない……」
 二人が悔しそうに呻く。
「悪いとは思いますが、許容者はしません」
 南十字星座のヴォルフラムは、卑怯なことを嫌い正々堂々にこだわる。だが、だからこそか、理不尽に暴力を振るうルミーナ一行が許せなかった。
「ふん! それくらいで勝ったとは思わないことね! もう一回行くよ、アルビダ!」
「おう!」
 そして、二人の闘気がさらに高まり
460mm三連装砲龍聖拳
 アルビダの弾幕が展開される。
「甘い! クイーンズ・ガード
 だがその弾幕を一寿のチェーンがすべて防ぐ。
「かかったね!」
 リブロはニヤリと笑うと、必殺の一撃を繰り出した。
インフィニティ・サーチ・シーュティング
 レチクルとは天体望遠鏡の照準を意味する。それ故、レチクル座の索敵能力と命中力は随一であった。
 光弾が一寿のチェーンにぶつかり……いや、すり抜け、一寿の肩に命中する。砕ける闘衣。そして、その隙を見て攻撃を繰り出すルミーナ!
サウザンドフェザー!!
 孔雀の羽のような闘気が毎秒数千発繰り出される。
ダブル、彗星穿!
 それに対してリネンとフリューネは流星を圧縮して彗星として撃ちだし、数千発の攻撃をすべて防ぐ。
ユニコーンフィート
 そしてそこに繰り出されたのは一角獣座のレン・オズワルド(れん・おずわるど)の驚異的な蹴りだった。
 アルビダを、リブロを、ルミーナを……戦場のすべての敵を貫く、一角獣の強烈な脚力。
「ぐっ……」
 倒れるルミーナ達。
「俺は、星座の導きなんか関係ない。ただ、フリューネを守るそれだけだ」
「やるわね……でも、ここでやられる訳にはいかないの。女神よ、我は紡ぐ地の讃頌! 女神よ、我等を守護し給え!」
 ルミーナが女神に祈ると、ルミーナたちの傷が回復していく。
「それは……女神の加護! まさか、ルミーナの行いは女神の意図に沿うものなのか?」
 レンが驚愕の声を上げる。
「私は、星座に導かれている。ただそれだけよ」
 ルミーナはそうとだけ答える。
「まあ、そんなことはどうでもいいのだ……レノア、レノア、エーリカ!」
 リブロの呼びかけに応え、三人が再び戦闘態勢に入った時、無数の拳による連撃がルミーネ一行を襲った。
ブレードネット
 一斉に倒れるルミーネたち。
「まさか、もう一人レチクルが居るなんて……わたしはレチクル座の郁乃。義によりフリューネにつく」
 それは、リブロと同じレチクル座の芦原 郁乃(あはら・いくの)だった。
「闘衣は、一つだけではありませんから……」
 ルミーネが、ポツリという。そして、再び女神に祈り傷を回復させる。
「そう……でも性能は違うみたいだね」
「そうね」
 リブロに同意する郁乃。
「それじゃあ、どっちがレチクルとして上か、勝負しようか?」
「関係ないし興味ないわ。わたしはフリューネを守るだけ」
「お姉ちゃん、私もやってやるです!」
 そう叫ぶのは郁乃のパートナーのかじき座のリッター荀 灌(じゅん・かん)
 無数の拳の郁乃と、一点集中の破壊力を持つ灌のコンビは、リブロ一行とはまた違った味わいを持つチームだった。
「さて、もう一度行くわ!」
 ルミーネが闘気を集中させる。
「何度こようとも、フリューネは」
「私達が」
「守るんです!」
 レンと郁乃、灌が、フリューネを守るように配置につく。
「あたしも!」
 そう叫ぶのはアンドロメダ座の朝野 未沙(あさの・みさ)
「アンドロメダ座と天馬座って、秋の四辺形を共に形成し、昔は同じ星を共有してたんですって。だから、あたしとフリューネさんは(秋の四辺形的な意味で)一心同体! それに、あたしはフリューネさんに跨るより、跨って貰いたいの!!」
「な、何を……」
 そんな未沙に、当惑気味にフリューネはつぶやく。
「さあ行くよみんな! フリューネさんを守ろう!」
 未沙がそう叫んで闘気を練り上げたその時だった。