2月14日。
真一郎は、ルカルカと共に遊園地に来ていた。
様々なアトラクションを楽しんだり、ルカルカの友人たちの結婚式をカフェから見たり。
その時に感じた、『いつか』への想い。
今は恋人として居たいと言った、ルカルカの気持ち。
そのことに思いを馳せながら、ゴンドラで川を流れていた。
「真一郎さん、見て」
ルカルカが空を指差した。
空には満天の星が輝き瞬き、月はまんまるい。
「うさぎとか見えるかな」
「それはお月見の日でしょう?」
「あら、月にうさぎが居るなら、今日居てもおかしくないわよ」
「そういうものですか」
「そういうものよ」
ルカルカ独自の発想に、ふっと笑みながら月を見上げた。銀色にも金色にも見える、不思議な光。
不意に、指先に熱を感じた。月から視線を外して自分の手を見ると、ルカルカの白く細い指が絡まっていて。
「寒いですか?」
「ううん、寒くないよ」
「じゃあ」
「うさぎさんも嫉妬しちゃうくらいのラブラブを見せつけちゃおうかなって☆」
ルカルカはにこりと笑んでから、空を見上げた。真一郎 もそれに倣う。
「綺麗ですね」
「月が? 星が? それとも……」
もちろんどれも綺麗だけど、
「綺麗な月や星に照らされるルカが」
――それらに照らされて、神秘的に輝く貴女が、一番。
くすり、ルカルカの唇が妖艶に歪んだ。普段見せる無邪気な笑みも好きだけど、こういう煽情的な表情も、好きだ。
繋いだままの手を取って、口付けた。
「月に忠誠を誓ってるみたい」
「月にでも、星にでも」
誓いますよ。
貴女への愛を。
この気持ちに嘘や偽りがないことを。
「この一瞬は、二人だけの永遠ね」
「年月が経っても変わらぬ一瞬ですよ」
「そう。だから、永遠」
なるほど、と微笑んで、赤い唇にキスをした。
「Happy Valentine」