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栄光は誰のために~火線の迷図~(第1回/全3回)

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栄光は誰のために~火線の迷図~(第1回/全3回)

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 教導団の生徒たちが樹海に入ってから、数日後。
 あーる華野 筐子(あーるはなの・こばこ)とパートナーの剣の花嫁アイリス・ウォーカー(あいりす・うぉーかー)、そしてエドワード・ショウのパートナーであるファティマ・シャウワール(ふぁてぃま・しゃうわーる)は、エドワードはじめ遺跡を探すと言って学校を出たまま戻って来ない蒼空学園の生徒たちを心配して、教導団の本校を訪れた。二人は金鋭峰との面会を希望したが、
 「樹海で怪我をして保護されたり、教導団に対して攻撃を仕掛けるなど敵対的な行動を取ったため、やむなく拘束した他校の生徒が数名いるとの報告を受けています。怪我から回復した後、現地に残って我々に協力したいと申し出ている方も、何名かいらっしゃるようです。
 当校は当該地域において作戦行動中であり、戦闘に巻き込まれる危険性もあることから、負傷者及び拘束された生徒についてはとりあえず現地で保護させて頂き、作戦終了後に解放することになると思われます。拘束と言っても、外部との連絡の禁止、行動の制限及び監視をする程度で、虐待等は一切ありませんのでご安心下さい。
 なお、今作戦において、教導団側から先に、他校に対して武力行使をすることはございません。ただし、攻撃された場合は自衛のために応戦させて頂きます。また、当該地区においては作戦行動中である旨を告げ、退去勧告を繰り返しておりますので、それでも退去せずに戦闘に巻き込まれて怪我などされても、それは退去しなかった方の自己責任です。樹海内部で作戦中に、蒼空学園の生徒側から先に攻撃を仕掛けられたという報告も受けておりますが、個人的な行動であったことを確認しており、現在の所、蒼空学園に対して報復措置を取ることは、当校は考えておりません」
 という、あたりさわりのない回答を広報担当者から得ただけに終わった。筐子は、遺跡と、そこから発見された物の平和的利用及び、個人的な調査の自由、そして、自由競争の推奨を訴えたが、
 「例えばですが、蒼空学園の生徒が教導団を攻撃してくれば、教導団は応戦のために遺跡から発見されたものを使うこともありえます。が、それは自衛のためであり、致し方ないことでしょう。無論、平和的に利用できる技術は民間に公開したり提供したりすることもあり得ると思います。また、自由競争の推奨を訴えるのであれば、最初に発見した我々にまず遺跡を探索する権利があるのでは? もし、逆に、蒼空学園が遺跡を発見した場合に、あなたがたはその遺跡を後から来た教導団が自由に探索することを許すのですか?」
 と反論されてしまい、校舎を追い出されてしまった。

 「つまりは、いかに『教導団は悪者ではない』と主張して行くか、ということですな……」
 筐子たちに対する広報担当の回答を聞いて、ミヒャエル・ゲルデラー博士(みひゃえる・げるでらー)はパートナーの吸血鬼アマーリエ・ホーエンハイム(あまーりえ・ほーえんはいむ)に言った。
 「力を持つ者はそれだけで恐怖を抱かれてしまう。悲しいことですわ」
 アマーリエは目を伏せる。
 「……それだけに、今回の鏖殺寺院という敵の出現は、教導団にとっては都合の良いものになるでしょうな」
 ミヒャエルは顎に手を当てた。
 「なにしろ、誰にはばかることなく叩いて良い敵です。倒して感謝されこそすれ、非難されることはない。遺跡から発見される物や技術も、テロリストと戦うために使うのだと言えば、先程のような難癖をつける者も居ないでしょう。それらを対外的に宣伝するのが、我々の仕事かも知れませんな」

 そして、本校の技術科研究棟では。
 「実に面白いわね……」
 ソフィア・クロケットが送って来た円盤状の防衛メカを分解し、教導団開発科主任教官である楊明花(やん・みんほあ)が微笑を浮かべていた。
 「動作するメカニズム自体は、機晶姫とほぼ同じ。でも攻撃する武器の方は、光条兵器の応用のようだわ」
 「そうですねえ、生徒の報告からしても、ただの光線兵器ではなく、魔力を弾丸として撃ち出しているものと思います」
 明花の片腕であるパートナーの守護天使・太乙(たいいつ)が、楓たちが書いたレポートをめくりながらうなずく。
 「それにしても、こんな形で暴走も起こさずに安定しているなんて、相当技術レベルが高いのね。他に眠っているものも期待できるわ……」
 明花の浮かべる笑みが深くなる。
 「遮蔽が少ない地形であることを考えると、とりあえず、魔法防御力の高い防具、特に盾は必要そうね。量産を急がせましょう。……ああ、それから、探索が再開されたら、私も技術科の生徒を連れて遺跡に行くわ。どうやら、技術科の力が必要になりそうだから」
 「それは、私にもついて来いと言うことですね……」
 早口でまくし立てられて、太乙はがっくりと肩を落とした。

 この日、シャンバラ教導団は、遺跡を襲撃して来た敵を鏖殺寺院と断定。
 生徒たちは、テロリストとの戦いに身を投じることになったのである……。

担当マスターより

▼担当マスター

瑞島郁

▼マスターコメント

 担当マスターの瑞島です。お待たせして申し訳ございませんでした。「火線の迷図」第一回をお届けいたします。

 最初に全体的なことですが、まず、NPCの行動を判断、決定するのは基本的にマスターです。NPCに何かをしてもらいたい場合は、説得するなどのアクションをかけてください。説得アクションをかけずに、NPCの説得に成功したことを前提にアクションをかけていた場合、説得が成功するような内容でなければ、当然ですが、それ以降の部分はすべて失敗となります。
 また、『このシナリオのシナリオガイド及びリアクションに名前が出ていないNPCから、何らかの依頼があった、情報を聞いた』など、NPCが自分の都合の良いように動いてくれたことにしてあるアクションは、その時点ですべて失敗とします。特に他校の校長など教導団以外のNPCに関しては、このシナリオでは扱いませんので、名前を出した時点で失敗扱いです。

 そして、既にお断りしてあります通り、このシナリオでは他に比べてアクション成功の判定を厳しめにしております。ですので、プレイヤーが知っている情報の範囲とPCが知っている情報の範囲は別ものと考えてください。自分が所属する以外の勢力の内部事情等は、それを知るNPCまたはPCが教えてくれない限り知っていると認められませんので、ご注意ください。(リークする側も、アクションに『誰々に教えた』と書いてください。よろしくお願いいたします)

以下は、学校別の注意事項となります。

●教導団の生徒の皆さんへ。

 メール機能が実装されていないので、プレイヤー間の相談もなかなか大変だとは思いますが、ソロプレイでも活躍の道はあります。多数決で展開が決まるわけではないので、プレイヤー間の相談やグループアクションは必須ではありませんし、出来なくてもアクションがかけられるように配慮はして行きます。
 ただ、あまりアクションが一つのポイントに偏りすぎると、他の場所が手薄になって危険です。実際、今回は遺跡内部の探索に人数が集中し、それ以外のアクションが不足する結果になりました。
 ですので、プレイヤー用の掲示板を覗いて、誰も居なさそうなポジションへ行くのも一つの方法です。後方任務や哨戒任務でも、きちんとシナリオに絡んでいるアクションであれば、ちゃんと描写はしますので。
 それから、活躍したPCは教導団内での階級が上がって行く予定ですが、これは他のプレイヤーに対して命令ができる、という意味ではありません。プレイヤー同士はあくまでも対等ですので、誤解のないようお願いいたします。
 今回、特に称号がなかったMCには、所属する科の士官候補生の称号を付与してあります。既に他の称号がついている方はこの称号がありませんが、年齢・学年等の設定に関わらず、PCはとりあえず全員が士官候補生からスタートです。今回士官候補生の称号がついていない方でこの称号を希望される方、所属兵科に誤りがあった方、転科を希望される方は、次回その旨お申し出下さい。

●他校生の皆さんへ。

 今回、個別メッセージに「あなたは逮捕されました。次回は義勇隊で行動してください」と書いてあるPCは、次回は自動的に義勇隊で行動することになります。本文にもありますが、事実上懲罰部隊送りと同じですので、それ以外のアクションをかけて来ても、強制的に義勇隊に回されます。希望があれば、装備は一般的なものであれば教導団から貸与しますし、食事も教導団から提供されます。また、義勇隊での行動で教導団に対する忠誠心が認められれば、義勇隊内でですが昇進したり、ある程度の行動の自由が認められる可能性もあります。
 「逮捕された」という個別メッセージがなかった方は、次回のアクションの制限はありません。今回逮捕されなかった他校生も、申し出れば義勇隊に入ることが出来ます。ただし、志願入隊でも強制入隊でも、監視つきで、自由に携帯が使えないなど、行動の自由が制限される点は同じです。
 なお、教導団以外のPCについては、あくまでも個人の立場及び個人の意思でこの件に関わっているものとします。学校の代表である、学校及び他校のNPCの援助を得ているなど、学校の力を借りることはできません。(個人の立場でグループを作るのは構いません)

 このシナリオの結果が続編シナリオの展開を左右しますし、これから始まるグランドシナリオにも影響を与えます。教導団の生徒はもちろん、他校生の皆さんも頑張ってください。
 それでは、次回も戦場にてお待ちしております。