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なし

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神楽崎優子の挨拶回り

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神楽崎優子の挨拶回り

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 飲めや歌えや大騒ぎの宴会が始まり、優子はボロを出さないよう亜璃珠に付き添われながら、分校内外が見回せる窓際の席に座っていた。
「とにかく手がたんねぇんだよな。あたしと番長と、コイツで、パラ実生百人をシメておイタを防ぐのは、無理だって。立候補する気合のあるパラ実生には肩書くれてやるつもりだ。他校生でも、委員長代行とかで全部任せることにしてる。実力主義でな!」
 魅世瑠が優子と分校役員の集まる席でグラス片手にお節を食べながら話す。
「大変かと思うが頼む。あと、安定したら、神楽崎分校っていうのは変えて貰ったほうが助かるかもな」
 数の子を食べながら優子が言う。
「なら、サルヴィン川岸分校ってのはどう? 川の近くだしよ。設立前に川原でイロイロあったし」
「そうですねぇ〜。村名や地域名では気宇壮大でないですしぃ〜」
 キャラが魅世瑠に賛同する。
「ただ、少し長いな。ま、考えておいてくれ」
「番長のついた御餅です」
 歩が、つきたての餅と、餡、きな粉、のり、砂糖醤油を入れた皿をテーブルに並べていく。
「ありがとう。料理も美味しいよ。七瀬はいいお嫁さんになりそうだ」
 優子の言葉に笑みを浮かべ、歩はぺこりと頭を下げてトレーを持って他の分校生の世話に回る。
「さて、ここいらでオレの女に歌を聞かせてやらねェとな! ぼぉぉげぇぇぇぇぇ〜
「や、やめて下さい番長!」
「四天王のお耳に入ったら血の雨が……!」
 餅つきを終えた竜司が外で気持ちよく歌を歌おうとしたが、なんだか舎弟達に全力で止められている。
「なんだァ!? オレが気に入らねぇやつはいつでもかかって来いや!」
 竜司は声を上げて回りを見るも、シャツを血に染めた四天王が見ているこの場で挑もうとする者はいなかった。
「よぉ、暴れ足りない野郎共の為に、定期的に分校内で番長を決めるバトルロイヤルがしてぇんだが、構わねェよな?」
 舎弟を振りほどいて、竜司が窓に近付き優子に問う。
 優子は箸を置いて、布巾で口を拭いた後、外で騒いでいる活発なパラ実生達を眺める。
「武器防具、魔法の使用不可ならやっても構わない。1対1の試合形式の勝負なら、武具魔法の使用もアリでもいいかもな。勿論、建物や備品、無関係な人々に一切の迷惑をかけないことが条件だが」
「任せておけ! 開催日を決めるぞォ!」
 竜司は早速、書記をさせるためにブラヌの首根っこを掴んで引き摺り、パラ実の猛者達との相談を始める。

「おおー!」
 突如、外に歓声が響き渡り、室内にいた者も声のした方向を一斉に見る。
「ほらよっ!」
 カリン・シェフィールド(かりん・しぇふぃーるど)が棒を振って指示を出すと、パラミタ虎が走り火の輪を潜る。
 再び歓声が沸き起こる。
「どう、楽しんでる?」
 窓に近付いて、カリンが優子に問いかける。
「突拍子もないことをするな……。親御さんが驚くぞ。私も驚いたが」
「ふふ。私は……パラ実のカリン・シェフィールドだ。一緒にやんない?」
 近付いたパラミタ虎とカリンは抱き合って見せる。
「やってもよいぞぉぉ!」
 一際大きな歓声を上げていた野武が飛び出す。
「んじゃ、はいっ」
 カリンが毒蛇を野武の首にぐるりと巻きつける。
「うひゃひゃひゃひゃ、のはははははは」
 冷たい感触に襲われるも、野武はひたすら笑い声を上げていた。
「シャッターチャ〜ンス!」
 カリンがポーズをとると、カメラを持った仲間が写真を撮っていく。
「パラ実生か」
 優子の声が、カリンの耳に入る。
「うん」
 カリンはよく百合園に潜入をしている。百合園女学院で百合園生として優子と会話をしたこともあった。
「うーん。ノリがイマイチだね。顔も堅物そうだし」
 にっこり笑って、カリンは虎を離して、窓枠に肘をついた。
「あのさ……ここって犯罪行為にちょっと厳しいみたいだけど、今後、百合園に変装して忍び込んだら、退学っていうか、ここ追い出されるわけ?」
 カリンの問いに優子は怪訝そうに眉を寄せた。
「いや、百合園内で悪事を行なったりしなければ、追い出すようなことはしないが、百合園に忍び込まれては困る。どうしてそんなことをしてるんだ? 奇抜な格好じゃなければ、私の友人として学院の見学や友人に会いに来てくれる分には構わないぞ?」
「そっか、追い出されはしないんだな。うん」
 忍び込むことをやめるかどうか決めかねるカリンだが、百合園内で悪事を行なわなければ、変装して百合園生に紛れることは犯罪行為とはされないらしい。
「それじゃ、続きやるよ〜!」
 燃える炎の輪の方に、虎を走らせる。
「皆、生き生きしてるな」
 カリン、竜司、騒ぐパラ実生を見ながら、優子は微笑みを浮かべていた。

「よろしければ、自己紹介や抱負の発表お願いできますか?」
 給仕の手伝いをしながら、歩は分校所属希望者達に自己紹介を求めていた。
 歩からドリンクを受け取った青年、レン・オズワルド(れん・おずわるど)は歩の言葉に頷いた。
「レン・オズワルドだ。俺も今丁度、皆にこれからの1年の過ごし方や将来の夢について、聞いていたところだ。……とにかく楽しく過ごすことばかり考えていて、まだ皆未来は見えていないようだな」
 レンは軽く笑みを浮かべる。
「レンさんご自身の夢や抱負は?」
「俺の夢はお前たち学生が卒業後、冒険者として食っていけるような職業としての冒険者―「冒険屋」のギルドを作ることだ」
「おもしれぇじゃん」
「賊よりゃ、賞金稼ぎって思ってたけど、冒険者用のギルドで仕事にありつけんなら、冒険者もいいよなー」
 同席の少年達の言葉に、歩はにっこり笑みを浮かべて頷いた。
「サービスです。頑張ってね」
 そして、他のテーブル用に持って来た魚の煮物をレンに差し出したのだった。

「この野菜は何でしょう〜? 春の七草とは違うようですけどぉ〜。変わった味で美味しいですぅ」
「さあ?」
 メイベルが給仕をしている女性徒に尋ねると、作り主のロザリィヌが気づき近付いてくる。
「おーっほっほっほ! 名前は知りませんわ。食べられる野草ですわ!」
「そうですかぁ〜。農家の方が販売されている野菜と一緒に、こちらで購入できますかぁ〜?」
 メイベルは料理好きのパートナーの為に、採れたての野菜を買って戻りたいと思っていた。
「すぐに採って参りますわ! お買い上げいただけば、分校の運営資金になりますわね! おーっほっほっほ!」
 ロザリィヌは高笑いを響かせながら、野草の採取に向かうのだった。

「ここが新たな建設予定地じゃな。ぬあるほど、200坪くらいあるのう。まずは何から始めようか」
 野武は、分校生に管理を任されるという土地に来ていた。
 更に周囲を見回し、満足そうな笑みを浮かべる。
「水の便も悪くはない。あのあたりも譲り受けて防爆施設を。あそこには黒用の滅菌室。実験動物用の飼育ケージも必要じゃな……さて、何年かかるじゃろうか」
 新ラボ建設を脳内でイメージし、完成図を妄想していく。
 これだけ土地があれば、作りたい放題、実験し放題だ。……ただし、妄想の中なら。
「ぬぉはははははっ、ぬぉわははははははは!」
 野武の高笑いがのどかな大地に響き渡る。

 喫茶店の方も、笑みが溢れていた。
 ハロウィンのあの日。
 正門前の戦いを終えた後に、パーティに向かったパラ実生達も、こんな笑みを浮かべて。
 楽しく時を過ごしたのだろうな、と。
 優子は淡い笑みを浮かべながら、分校生達を見守っていた。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

妖精の子供達への優しいアクションの数々を、ありがとうございました。
……サルヴィン川岸分校には笑わせていただきました(笑)。

今回分校への所属を希望された方には称号を発行しておりますので、ご確認下さい。称号を表示していなければ、分校生として行動が出来ないわけではありません。この称号自体にはあまり意味はありません。称号のない方も、分校に通っていただいて構いません。
妖精の里親に立候補された方、預かりたい旨ご明記のあった方にはLC追加用アイテム『里親の証』を発行いたしております。
LC追加が可能になるのは2月です。申し訳ありませんが、しばらくお待ち下さいませ。

尚、今回の神楽崎優子の挨拶回りは、横山ミツエの演義(最終回)より前の話として書かせていただきました(多数のPCがパラ実生徒会の賞金首になる前の話)。
この件を深く突き詰めて続編を書くと、まだ安定していない神楽崎分校は消滅する道しか見えません……。
他のシナリオ同様シナリオ間のリンクについては気にしないで下さい。
ただ、深く他地域に干渉しようとすると、他地域の中心シナリオ(キャンペーン)の展開が無視できなくなっていき、1シナリオでは解決できないトラブルばかり発生していく恐れがあるかと思います。

★瓜生コウさん
美しき騎士マリザと契約の約束をしました。
次にキャンペーン『嘆きの邂逅』にご参加された後にLCとして追加させていただきます。ご参加は闇組織編でも離宮編でも構いません。
追加後はコウさんがLCをシナリオに参加させた場合を除き、マリザがシナリオに登場することはなくなりますが、元々NPCであった都合上、コウさんが参加されていないシナリオでも、マリザの名前がリアクション等に登場することはあるかと思います。ご了承下さい。

【百合園キャンペーンご案内】
百合園女学院キャンペーン『嘆きの邂逅』は2分割となっており、どちらか片方のみにご参加いただけます。

・嘆きの邂逅〜闇組織編〜
中盤まで1話で完結型、単発風になっております。
次回(第2回)は、2月12日(金)にガイドが公開できるよう、準備を進めております。
物語の舞台は神楽崎分校がメインです。分校役員の方は、なるべくこちらにご参加いただければ幸いです。
それ以降は、役員の方も理由付けが出来れば、離宮編をお選びいただいても大丈夫だと思います。無名分校生を数人従えて行動できるとさせていただく予定です。

・嘆きの邂逅〜離宮編〜
第1回は、1月29日(金)にガイドを公開できるよう、準備を進めております。
主な物語の舞台は、ヴァイシャリー、百合園女学院、シャンバラの離宮です。
対策会議や、離宮調査に加わるためには、人物審査を通過する必要があるかと思います(私がやらずとも必ずPCのアクションで提案があるでしょう)。
パラ実生(他学校でも素行に大きな問題がある人物)は普通に考えて離宮調査には参加できませんが、今回神楽崎分校に所属された方は神楽崎優子の推薦により、作戦に参加できるとさせていただきます。

それでは今後共どうぞ、よろしくお願いいたします。