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ホワイトバレンタイン

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ホワイトバレンタイン
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 マナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)たちに部屋から追い出されてしまったクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)は、久しぶりにビュリ・ピュリティア(びゅり・ぴゅりてぃあ)に会いに行くことにした。
「こんにちは、ビュリさん」
 ケーキをお土産にクロセルが訪ねると、ビュリは喜んで迎えてくれた。
「これはうれしいのう。では、茶を入れてやろう」
 2人は近頃あったことなどを話し、クロセルが持ってきてくれたケーキを食べた。
 そして、クロセルはビュリを空飛ぶ箒でのツーリングに誘った。
「ちょっと冷える時期ではありますが、空をかける爽快感は楽しいものですよ」
 クロセルの勧めに、ビュリは素直に頷き、2人はバレンタインに賑わい街を、空から眺めに行った。

 一方、その頃。
 シャーミアン・ロウ(しゃーみあん・ろう)マナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)のエプロン姿の可愛さに悶えていた。
「ああ……可愛いです、マナ様」
 しかし、悶えてばかりでは役に立たないので、シャーミアンは自分もエプロンをつけて、びしっとした。
「それがしは、それがしは……全身全霊をもってマナ様のお手伝いをさせていただく所存です!」
「ありがとうー。それではこれをかき混ぜて欲しいのだ」
 マナに頼まれ、シャーミアンは喜んで生クリームをかき混ぜ始めた。
 今回作るのはチョコレートケーキだ。
 チョコをもらえないであろう哀れな……しかし、どんなに哀れでも暴れるなどと言うことはせず、健気に過ごすヒーローのクロセルのために、マナはチョコケーキを作ることにしたのだ。
 でも、ただ渡してはつまらないので、クロセルを追い出し、こっそり作ることにしたのだ。
「んー……」
「どうかしましたか?」
「蜂蜜用意しようかなあ」
 甘いものが得意でないクロセルのために、今回はビターチョコケーキなのだが、マナは辛いものも苦いものも得意ではないのだ。
「お任せください! それならばマナ様のために生クリームを二つに分けて泡立てましょう!」
 一つは混ぜるために、もう一つはマナが食べるときに苦くなく食べられるように。
 シャーミアンは調理器具をふるってマナを危険にさらさないように……と大げさに思いつつ、気を引き締めて取り掛かった。
 クロセルのためだけだと少々気に入らないが、マナのためとなればやる気が出る。
 ケーキ作りは順調に進んだ。

「ただいま……えっ?」
 戻ったクロセルはいきなり視界に飛び込んできた大きなチョコケーキに目を丸くした。
「ハッピーバレンタインー☆」
 ご機嫌なマナと、ちょっと複雑そうな顔のシャーミアンが迎える。
「バレンタインと言うことでマナ様がおつくりくださったのだ。ありがたく食べるように」
「シャーミアンに手伝ってもらったんだけどね」
「……2人とも」
 クロセルは一緒に来たビュリを振り返り、ニコッと笑顔を見せた。
「それではご一緒にバレンタインしましょうか」
 四人は仲良くバレンタインの日にチョコを楽しんだのだった。