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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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シクニカ戦 桐生円とアルコリア
 
 ひなの策を容れアルコリアが700、桐生 円が200の死霊兵をそれぞれ率い打って出たのであった。100をひなの守る本城の防備に残している。
 これに対し帝国の兵力は龍騎兵1,800にそれを率いる龍騎士は9騎。そして神龍騎士のラスタルテである。包囲は成っていたものの、帝国軍はエルジェタ密林を越えてくる援軍の龍騎士3騎の率いる600を待って攻撃を開始する予定であったので、その態勢が整う前に桐生組らは攻勢をかけたわけである。
 部隊は、西側に陣取る帝国勢に奇襲を仕掛けた。各パートナーたちも空・陸に分けた死霊兵を小隊規模での指揮を預かるが内、オリヴィア、ミネルバ、シーマ、ナコトらは敵部隊の指揮官(龍騎士)を見つけた場合、討ち取るよう命ぜられた。アルコリアが到着までに行った遭遇戦で、彼女らの戦闘能力ならば通常の龍騎士とならば打ち合えると判断されたからである。皆、それを聞いて殺る気を漲らせたが、神龍騎士とだけは危険であるためあたらぬよう注意された。
「神は、私が殺す……ふふ」
 アルコリアはこれまでにない冷たい恐ろしさを秘めた微笑をもらした。
「殺し合い、はじまるの? ……殺して……ねぇ、ラズンを殺してぇ? きゃふふふ……」
 ラズン・カプリッチオ(らずん・かぷりっちお)、それにアリウム・ウィスタリア(ありうむ・うぃすたりあ)は龍騎士にはあたらず支援を中心に行い、鎧化して各々の主を守ることに専念する。
「円様。彗星のアンクレットで皆様の素早さを上げてまいりました。あたしはもう、円様の鎧に戻らせて頂きますね」アリウムは藤色のゴシックロリィタとして、円の体に纏われた。レースの手袋、ブーツ、ニーソックスに、アリウムのコサージュが装着される。
「さてと。龍騎士団のトップ・神を撃破できればうじゃうじゃといるこいつらも自ずと四散するはずなんだよね。ボクは、牛ちゃん(アルコリア)が神と闘うためのステージ作りに指揮を振るわせてもらうかな」
 円も同じく西側に打って出たが、東から援軍が到達すれば対処に向かう心積もりである。
「そう来る前に、できるだけ龍騎士らを殺害しておきたいね」
 
 
vs龍騎士
 
 ナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)は、まず空を抑えるべく、打って出るや骨の翼を広げ舞い上がった。
「例え神だろうと、千の軍勢だろうと全てマイロードへ供物として捧げますわ。ああ、マイロード……」
 空飛ぶ魔法で死霊兵を共に上空に上げ、奇襲に驚く龍騎兵たちにまつわりつかせていく。「うわーっ」「な、なんだ」
「おぬし……!?」
 見上げれば、高度をとって奇襲を避けた飛龍が一匹。古参らしき将が騎乗している。
「ああっ、貴様が龍騎士ですわね。うふふ……討たせて頂きますわ」
「おのれ!」龍騎士は、ランスを構え直し降下してきた。
「アシッドミスト!」
 飛龍ごと酸の霧に包まれ、龍騎士は目標を見失う。ナコトは血のインクを羽根ペンに付け魔方陣を描くと、銃を構えた。「……開け冥界の門」大魔弾タルタロスを発射。龍騎士は地上に落下して果てた。
「ああマイロード。ああ、ご覧ください。まずは一匹、ですわ」
 


 
「ナコトが一騎、やったか」
 地上部隊を率いる、シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)。落下してくる敵を死霊兵たちがたかってとどめを刺している。基本的には守りつつ、じわじわと削っていく姿勢だ。死霊兵の脆さはオートガードとオートバリアを重ねて強化している。
「来た、か」
「将か……!?」龍騎士の一騎だ。
「戦果は騎士の誉れ。シーマ・スプレイグ、いざ、参る……!」
 水晶の剣シュトラールを抜き放ち突撃する。
「強い……!」
 龍騎士もするりと剣を抜き放つと剣撃を見切り返してきた。シーマはそれを剣で受けて一歩退いた。ぎんっという音が耳に残る。
「はっ」シュトラールの刃に欠けが。
「くっふっふ。シャンバラ製の剣……脆いな。帝国の剣の切れ味を知るがいい」龍騎士はその場で構え直した。
 そこへ、空中から一騎が呼びかけてくる。
「おおっ。敵将か、加勢致す!」
「待て。これは騎士の一騎打ち。加勢は無用である」
「そうか……うっ!?」
 飛行している龍騎士の横合いから得物が飛んできてその首に突き立った。騎士はそのまま落下し死霊兵どもの牙にかかり息絶える。
「不意打ちとは卑怯な。どこだ! あっ」
 その一瞬を突いて、シーマはシュトラールの光線で相手の眼を打った。踏み出し、一撃を加える。「ぎゃぁぁ」
「龍騎士……! 手強かった。今の力ではこれでぎりぎりか」
「シーマ!」
「オリヴィア」
 雲隠れの衣から出てきた。不意打ちの主は、オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)であった。打って出た際にも同じく不意打ちで一騎倒したというが、初撃だけでは無理であった。
「これで私は二騎! ノルマは達成かな」龍騎士の死骸に刺さった妖刀金色夜叉を抜き取る。
「オリヴィア。強いな。ミネルバは?」
「私が雲隠れで不意打ちして装甲を飛ばすという方法で、あの子も一騎。今、同じようにしてやったもう一騎とやり合っているわ。騎士も装甲がなければさほどは。あの子一人で、まあやれるでしょうね。不意打ちも効果はあるねぇ」
「しかし、龍騎士は一対一では割合に強いな。騎士相手に、不意打ちはしたくないとも思うのだが……」
「そんなこと言ってられないわよぉ〜。早くけりつけなくちゃ。じゃあ、私は東の側へ」
 オリヴィアは走り去っていった。
「うん。……むっ」
 大きな影がシーマの頭上を覆う。
「あれは……? まさか神龍騎士、か?」
 

 
「勝ち戦だと思って来てる人たちってもろいよねー 死ぬ気がないんだもん」
 サクサクと敵兵を切り倒していくミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)。こちらもオートガード・バリアで強化しておいた死霊兵をぞろぞろと連れていく。
「あれっ 円交戦中だー行くよー!」
 龍騎士の強烈な斬撃を交わす、円。
「焦りすぎなのかなーと少し、後悔してみたり。わっ」両手にレーザーガトリングスを装備しているのだが、相手は距離も間も与えてくれない素早さだ。神速で避ける。軽身功で蹴りを入れるが装甲が厚くて効かない。
「リロードの時間が……アムリア!」……「円様のりろーど時にはあたしもお手伝いします。練習したから一人でやるよりは早いはずですね」と言っていたのだが。
「えいっ」さくっ。
「ぐぉわぁぁぁ」
 ミネルバが背後から首狙いライトニングランスで貫いた。円のレーザーガトリングが撃ち抜く。
「はぁ、はぁ……うっ」
「あれ、円。なんだ苦戦してたのー」
「ち、違う。ボ、ボクは二騎一緒に相手にしたからだよ! 最初の一騎を狙撃した後、りろーどが、アムリアとの連携がまだ上手くいかなかったからだよっ!」
「そ、そんなぁ円様〜〜……うえーん」
「ちぇっ。これで、ボクの持ち分三騎の内、二騎。あと一騎……」
「わたくしが、片付けましたわ」
「あっ。ナコトくん強い……」
 ナコトが葬った二騎を死霊化して引き連れてきた。「ここにも二騎ですわね。この方々も死霊として甦らせてあげましょう」
 すでに、西側の龍騎兵の姿は空にちらほらとしか見えなくなっている。それも死霊兵たちに追われて散っている。ただ、数は多く、東側からまだ兵が続々回ってきているという。アルコリアは対神龍騎士のため力を温存させていたのだが、なかなか出てこないので、神龍騎士を討たんと探し回りつつ龍騎兵を殺しまくっている、らしい。反対側にはオリヴィアが回って防戦指揮を執っている。
「半分くらいは殺したってことかなー?」
「シーマくんは?」