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インベーダー・フロム・XXX(第3回/全3回)

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インベーダー・フロム・XXX(第3回/全3回)

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【5】 GUARDIAN【1】


「た、大変なことになったであります!」
 葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が今回の事件に巻き込まれたのは、海京のイコプラ屋にある限定品を購入するため、マニア達に混じって列に並んでいる時だった。
 突如、世界から色が失われ、同好の友が石のように静止する。更に、上空を凄まじい速さで飛び去り、海に飛び込む巨大なガーディアンも目撃した。
「よう。遅かったな、お邪魔させてもらってるよ」
 並んだ列への未練をかなぐり捨て、機動要塞伊勢に戻った彼女を迎えたのは、三船 甲斐(みふね・かい)だった。
 要塞の操舵手コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)と砲術担当鋼鉄 二十二号(くろがね・にじゅうにごう)、タコ型ポータラカ人のイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)と人型ポータラカ人のエメラダ・アンバーアイ(えめらだ・あんばーあい)と仲良く食卓を囲んでいる。
「俺も甲斐に毒されてきたな。まさか余所様の船の晩餐を作ることになるとは」
 猿渡 剛利(さわたり・たけとし)が、腕によりをかけた料理はどれも美味そうである。
「吹雪さんも座って。今日は新鮮なパラミタオオヤドカリが手に入ったんだ」
「やや、これは美味そうでありますなぁ」
 パラミタオオヤドカリのマヨネーズ和えを一口。
「ふむぅ、絶品であります……って、違うであります。海京が大変なんであります」
「わかってるよ。あんたが買い物に行ってる間に、あたしなりに対策を立ててみたんだ」
「と言うと?」
「見たところ、危険なのは海底に向かったあのデカぶつだ。けど、外からじゃそう簡単に墜とせそうにない。そこでだ。ナノマシン拡散したポタ人を要塞砲で撃ち込んで、内部のコアを破壊する作戦を考えてみた」
「おお。凄そうであります」
 するとエメラダが名乗りを上げた。
「その特攻役わたしがやるよ!」
「だ、ダメだ。ダメダメ」
 剛利が全力で止める。
「子供にそんな危険なことさせらんねぇよ」
「ぶー、これでもわたしがこの中で一番おねぇさんなんだよ!」
 見た目は8歳な実年齢5000歳である。しかし剛利はまともに受け取らなかった。
「あーはいはい、おねぇさんおねぇさん。それならいい子だから聞き分けられるよな?」
「ばかにしてぇ」
 エメラダは口を尖らせ、食卓から離れた。
「いいもん。あっちの部屋で寝てるから終わったら起こしてよ」
「……ん。そうか。おやすみ」
 彼女が部屋から出ると、途端に剛利は氷のような表情になった。
「……いつまで食ってんだ、タコ」
「え?」
 イングラハムはきょとんとする。
「あんな小さな子が名乗りを上げたのに、てめぇはなんでなにもしやがらねぇ!」
「な、何を言うか! 何故、我が危険な特攻などせねばならんのだ!」
「おいおい、逃げるのか。んじゃさっき食った分の材料費を払ってもらおうか」
 甲斐が追い込むと、彼は助けを求め、二十二号を見た。 
「こっちを見るな。死んでこい」
 今度はコルセアに助けを求める。
「え、あ、うん。頑張って」
 吹雪を見る。
「タコにはタコであります。やるであります」
「な、な、な、なんなのだ、貴様ら! 何故、誰も我を助けん!」