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インベーダー・フロム・XXX(第3回/全3回)

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インベーダー・フロム・XXX(第3回/全3回)

リアクション


【2】 NOAH【1】


「……来ました!」
 高層建築の上に影が二つ。魔法少女アウストラリスことアイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)、そして魔法少女ポラリスこと遠藤 寿子(えんどう・ひさこ)
 二人の視線の先には、こちらに針路をとってビルの谷間を進む、黄金の大型飛空艇・ゴールドノアがあった。
「もうじき、このビルの下を飛空艇が通り過ぎます。そのタイミングで船の甲板に乗り移りましょう。そこまで潜り込めれば、船を破壊する恐れがあるので、もうガーディアンでこちらを攻撃することは出来ないはずです」
「はうう。だ、大丈夫かなぁ……。敵もたくさんいるんだよね、きっと……」
 ポラリスは不安そうである。
「大丈夫。あなたは素晴らしい魔法少女の素質を持っています。もっと自分を信じて」
「う、うん……」
 物陰に隠れ、二人は小型飛空艇に乗り込む。運転はアウストラリス、ポラリスは後部座席に座った。
 しばらくしてゴールドノアが、二人のいるビルの横に差し掛かる。
 とその時、反対側のビルから、禁書写本 河馬吸虎(きんしょしゃほん・かうますうとら)の駆るティラノサウルスキャロリーヌが、彼女たちよりも先に飛空艇に取り付いた。
「キャローーーーッ!!」
 前回、一撃でのされてしまったのがよほど腹に据えかねている様子だ。
 キャロリーヌは小さな恐竜脳で考える。
 コノフネコワス。
 バクダンアルアブナイ。
 バクダンヒッペガス。
 時空断裂弾とビッグバン・ボム、船底部に剥き出しの状態で搭載された二つの爆弾を狙って、キャロリーヌは鋭いツメを船の装甲に引っ掛けながら、側面を移動する。
 その隙に、小型飛空艇に乗った魔法老女中原 鞆絵(なかはら・ともえ)とアライグ……ゲフンゲフン、失礼。タヌキのマスコットになったリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)が、船の側面窓を破って突入した。
「なんて無茶を……!」
 一歩間違えれば、爆弾の使用を誘発させかねない行為に、アウストラリアスは目を白黒させた。
 自爆は時期尚早と判断したのか、爆弾は起動しなかったが、それなりの代償をキャロリーヌは払う事となった。彼女の巨体が空中を飛び、ビルに叩き付けられるや、船を守るガーディアンの一団が取り囲む。彼らは両腕を槍のように伸ばし、ビルにめり込んだキャロリーヌの身体を次々に突き刺していく。
「キャローーーーッ!!」
 ガーディアンを帯同する船に、単身乗り込めばどうなるかは自明の理である。
 しかし、ものの数分に終わった襲来劇だったが、飛空艇への突入の機会を窺っていた者達には好機となった。高層建築の陰に潜んでいた彼らは次々に飛び出し、ゴールドノアに突入する。
「私たちも行きましょう!」
 アウストラリアスも飛空艇を加速させ、ゴールドノアに接近する。
 ところが、甲板にいるクルセイダー達に動きを気取られた。
 彼らの携帯する”聖剣アシュケロン”は、柄から自在に形状変化可能な光の武器を出現させる未来の武器である。これまでの戦闘では剣や槍、斧などに変化させ武器としてきたが、甲板にいる彼らはライフル型のアタッチメントを使用し、ライフルの弾薬カートリッジのある箇所にアシュケロンを接続させている。
「……嫌な予感」
 アウストラリアスの予感は的中した。クルセイダーの一斉掃射が、真っ正面から雨のように降り注ぐ。身をかがめて速度を上げ、光の雨をかいくぐろうとしたその時。
「きゃあああっ!」
「ポラリス!」
 ポラリスが加速に振り落とされた。
 救出に向かおうとしたところ、飛空艇の底部に弾丸が命中してしまった。
「しまった……!」