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リアクション
ホーティと機晶石の反応はここ、美女コンテスト会場にある。
バルクやルニ、契約者たちがここに向ってるとは知らないホーティは着々と準備を進める。
「あたいの美貌に掛かれば優勝なんて目じゃないね、楽な仕事さ!」
「あらあら浮かれちゃって。まっ今のうちよね」
高笑いをするホーティを尻目に参加者達のメイクをするニキータ・エリザロフ(にきーた・えりざろふ)。
本来はコンテストに参加する予定だったが、運営側からNGが出たためメイクを担当していた。
「まったく、失礼しちゃうわ。本当の美に性別なんて関係ないのに」
「うわ、一瞬でこんなに。あなたメイクがお上手なのね」
「そうかしら? あなたのお肌がすべすべで化粧のノリがいいからよく映えて見えるのよ」
「あら、嬉しいわ。これで少しはネフュラ様に近づけたかしら」
「ネフュラ様?」
「この島で一番美しい方よ。それはそれは聡明な方なの。時折、何を考えているかわからないこともあるけど」
ネフュラの人物像が少しずつ見えてくる。上っ面のものだけだが。
「あとでネフュラ様が来るそうなの。ばっちりメイクお願いね」
「……ええ。任せておいて」
一番の美人と言われるネフュラが来る、参加ではなく、来る。違和感を脱ぐえない発言に、ニキータは警戒を強めた。
(あの子、平気かしら?)
こうなってくると自分のパートナーが心配だが、メイク担当を放り出すのもまずい。
仕方なくパートナーが無事に帰ってくることを祈るニキータ。
その心配の種であるタマーラ・グレコフ(たまーら・ぐれこふ)は会場周辺をトコトコと歩いていた。
退屈を持て余していたタマーラは特に何するでもなく見学していた。
「ねぇ、あの話ってほんと?」
「ほんとらしいわよ。ネフュラ様くるっていうし」
「?」
ふと聞こえた声。気になったタマーラは声のしたほうへと歩いていく。
そこにいたのは二人の住人。まだタマーラには気付いてないのか、話を続ける。
「今、外から来てる連中を一網打尽にするなんて、できるのかしら」
「さあ。でもネフュラ様は聡明な方だし、後ろには更に頼れる人がいるって噂よ」
「噂に噂って、信憑性がねぇ」
「……」
話を聞いたタマーラは二人に見つからないようにその場を後にした。
ただの噂にしてはどうにも腑に落ちない。
「オカマ野郎に知らせるですか」
また参加者の控え室にいるであろうニキータのもとへ、
今の話を手土産に帰るタマーラ。だったが。
「やだ何この子! かっわいいー!」
「ここの子じゃないけど、こんなに可愛いなら関係ないわ! 一緒に美女コンテストを見ちゃいましょう!」
「……」
コンテストを見にきた別の住人に拉致られてしまった。
タマーラの運命はいかに。
「おい、そろそろコンテストが始まるぞ」
「フフフ、わかっているよ。さあ急ぐぞ諸君。人魚が待っている」
「捕らわれの人魚姫、そう……彼女はボクらの助け、いや愛を待っている!」
「人魚も存外どんくさいデス。私のほうが優秀デス」
「……救出任務のメンバーとしてはリセットを押したいほどのメンツだな」
人魚の救出のため、裏で動いていたのはセリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)、マネキ・ング(まねき・んぐ)。
更に今回はマイキー・ウォーリー(まいきー・うぉーりー)と冷 蔵子(ひやの・くらこ)がパーティーに加わっている。
今の隊列はこんな感じだ。
等身大招き猫・人間・人間?・冷蔵庫
何故か最前・最後方に陶器と家電がいるという摩訶不思議である。
「さあ人魚はどこかな! 助けを、愛を叫ぶんだ人魚姫!」
「落ち着け。見つかったら面倒なことになる」
「そもそも、ワタシがコンテストに出れば一番早いデス」
「これは美女コンテストで家電コンテストではない」
「人魚にも人権はある……故に救出は大儀となり、正義は我らとなる! 今こそ鉄槌を、汝等の不義に鉄槌を与えたもうぞ」
「お前らの思惑はわかった。確かに、このコンテストは胡散臭い。救出、という点に関しては賛成だ」
とても隠密をしているようには見えない。
だがセリスが床に何かが続いているのを見つける。
「これは、水か?」
「ほう……人魚は水がなければいけないだろうし、何か水槽でもあるのだろうか」
「水攻めだって!? そんなの許せない!」
「ワタシだったら氷が作れマス」
「……マイキーと蔵子はここで見張っててくれ」
二人に見張りを任せて(若干不安だが)、水滴が続く方へと向う。
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