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魔女が目覚める黄昏-ウタカタ-(第3回/全3回)

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魔女が目覚める黄昏-ウタカタ-(第3回/全3回)

リアクション

「……どうやら状況は、あまり思わしくないようね…」
 地球消滅爆弾の悪臭攻撃から立ち直ったバシャンが、セイファのいる位置まで輿を進めさせた。
「バシャン、危ないよ。ここはみんなに任せて、きみはもう少し後ろで休んでいたら?」
「そんなこと言ってる状況じゃないのはあなたも分かってるでしょう。
 こんなばかなこと、さっさと終わらせてしまいましょう。イルルヤンカシュが待ちくたびれるわ…」
 骨と皮ばかりのバシャンの手が上がる。それに呼応するように、今までぴくりとも動かなかった山のような物体が動いた。翼の下に入れてあった長い首を持ち上げ、身じろぎをすると太い四肢についたかぎづめを地にめり込ませて立ち上がる。
 赤い羽毛は光を浴びて、まるで燃え盛る火山のよう。黄色い鷹のくちばしで、巨大幻獣ジズは天高く雄叫びを上げた。
「きたわね!」
 耳をつんざくほどの甲高い化鳥の鳴き声に、手で耳をふさぎながらセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は振り返った。
 そこにいたのは体高10メートルはあろうかという、巨大なグリフィンだ。鷹の上半身にライオンの下半身を持ち、体と同じだけの長さを持つ2本の尾羽を鞭のようにしならせて、ぴしりぴしりと宙で打ち合わせている。今戦っている魔獣たちとは比較にもならないランクの相手だ。
 通常ならその威容を見ただけで震え上がり、絶望に突き落とされるに違いなかったが、セレンフィリティはすでに昨日の偵察で見知っていた。動じるどころか、待っていましたとばかりにそちらを向いてすっくと仁王立ちするや、ビシィッと指を突きつけた。
「やっぱりあんたがあたしとあたしのツキであるイルルの間に立ちふさがる最後の障害ってわけね!」
「セレン、あの竜はそういった生き物じゃないって、あなたも聞いたはずでしょ」
 それまで背中合わせで戦っていたパートナーのセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が、またいやな予感が始まったと半面を覆いながらも、ぽんと肩をたたく。
「それがどうしたの。正体が何であれ、ツキを呼ぶ竜だっていうのは変わらないじゃない」
 クッと口端を上げ、力強い笑みをつくる。
「どうせ呼び込むなら最大級! それこそあたしにふさわしいわ! そしてそれだけのツキを呼び込むには、まだまだまだまだ全然足りないのよ! それまではイルルを封じられちゃ困るの!」
「封じるんじゃなくて鎮める――あっ」
 教導団コートをひるがえし、颯爽と走り出す。当然その先にいるのはジズだ。
「ああ、まったくもう…」
 はーっと重い息を吐き出して、頭を振りつつセレアナも走り出した。到底自分たちだけでなんとかなる相手とは思えなかったが、セレンフィリティ1人で突貫させるわけにもいかない。女王の加護、パワーブレスを発動させ、突っ走るセレンフィリティに向けて放った。
 しかし実のところ、ジズの登場に闘争心を駆り立てられたのはセレンフィリティだけではなかった。
「なんてサイズだ。あれが召喚獣とはな。あれじゃあ大抵の武器はただの豆鉄砲にしかならないぞ」
 これだって通用するかどうか……己の体に刻まれた陽炎の印を見て、柊 真司(ひいらぎ・しんじ)がつぶやく。
 彼は慎重だったが、パートナーのリーラ・タイルヒュン(りーら・たいるひゅん)は豪胆だった。
「ちょっと図体が大きいからって何だっていうのよ。あんな幻獣、今の私の敵じゃないわよ〜」
 苛立っているような口ぶり。声に怒気を感じて、真司は思わず彼女を見る。
「リーラ?」
 ジズを見上げるリーラの目はぎらぎらとたぎっていた。
「ふふん。見てて。今からめっためたにしてやるから〜」
 宣言とともに、リーラの背中に液体金属でできた龍翼――ドラゴニックアームズ――が現れる。銀色に輝く鋼鉄の翼を限界まで広げるや、一気に空高く舞い上がった。
 ゴッドスピードの尋常ならざるスピードで一直線に走り込んでくるセレンフィリティを見下ろしていすジズ目がけ、超高度から弾丸のように急速落下する。10分間だけ竜化できる薬Dインストールをひと息にあおり、ドラゴンに変身したリーラは、後ろ足でうなじを蹴りつけた。
 鋭いかぎづめがえぐるようにうなじへ突き刺さる。突然の攻撃に驚声とも悲鳴ともつかない声を発したジズに、わずかに遅れてセレンフィリティの飛び蹴りが胸元にヒットした。
 しかし残念ながらどちらもたいしてダメージは与えられていないようで、ジズはよろけもしない。
「フッ。今のはあいさつがわりよ。これからが本番!」
 くるくると回転して勢いを弱めたセレンフィリティは、ざっと足を横すべりさせながら着地する。そして風になびく教導団コートを思い切りよく脱ぎ捨て、青いトライアングルビキニをまとうだけの美しい肢体を、この戦いを注視する衆目へ惜しげもなくさらしたのだった。
 ひゅんひゅん風を切る音をたてながら振られていた尾羽が、セレンフィリティ目がけて交互にたたきつけられる。しかしそのどれもがセレンフィリティにはかすりもしなかった。
「どこ見てるの〜。あなたの相手は私よ〜」
 リーラが後ろから掴みかかる。竜の爪でもえぐれないほど固いのならこうするまでよ、とヘッドロックをかける。ぎりりと締めつけられ、ジズは飛び跳ねて暴れた。振り払えないと知ったジズは、尾羽をリーラの首に巻きつけて引き離そうとする。
「……くうっ」
 のどに食い込む尾羽にリーラが目をすがめたとき、パーソナルスラスターパックを用いて飛行した真司が陽炎の印から放出したエネルギーで尾羽を断ち切った。
 怒りの咆哮を上げ、すぐさま2本目が真司を襲撃する。
 アブソリュート・ゼロでこれを防ぎ、グラビティコントロールをジズに対し使用する。が、ジズはあまりに巨大すぎて、思ったとおりほとんど効果は見られなかった。わずかに動きを鈍らせることができたぐらいか。
「いったん下がれ、リーラ」
「そんなヒマないわよ〜。あなたこそ離れてなさい〜。ハエのようにはたき落とされちゃっても知らないわよ〜」
 怒り狂ったジズに向け、すぐさまリーラは接近戦に持ちこむ。離れようとするのを許さず翼の付け根あたりを掴むと、もう片方の手で殴打を始めた。
 効いている感じが伝わってこない。だが負けるわけにはいかなかった。アタシュルクの者たちも、ジズの戦いに見入っている。それだけで、どれだけこの巨大幻獣が彼らの戦意向上になっているか分かるというもの。彼らの戦意を大幅にくじき、この戦いを終わらせるためにもこの巨大幻獣は倒さなければならないのだ。
「このぉ、いいかげん、観念しなさい〜」
 前足のかぎづめで胸元をかきむしられながらもリーラは必死にジズにくらいついていく。普段なら噛み千切るほどの力を込めても、ジズの肌にはわずかに食い込むだけだ。
 そのとき、セレンフィリティがリーラの視界に飛び込み、合図を送った。
「離れて!」
 ただごとではない声の響きに、意味も分からないままリーラはざっと後ろへ退く。
「あたしのツキ、返してもらうわよ!」
 高らかに宣言したセレンフィリティはうなじを駆けあがると頭頂部から跳んだ。眉間めがけ【シュヴァルツ】【ヴァイス】を撃つ。ギャアと鳴いたジズが顔をそむけ、前足で攻撃をしてくる。押しやろうとする力に逆らわず、むしろその勢いを借りるようにセレンフィリティがジズから距離をとった直後、ジズが光を放ち、爆発した。
 リーラがジズの気を引いている隙に仕掛けた3つの機晶爆弾が作動したのだった。
「無茶するわね」
 爆風を受けて落下してくるセレンフィリティをセレアナが抱きとめる。あきれながらも声には彼女の身を心配する響きがあった。
「ごめんなさい。でも、セレアナがサポートしてくれるって分かってるから、存分にやれるのよ。それに、見て! ついにあの巨大幻獣をやったわ!」
 手を広げ、嬉々としてジズを指す。しかしそれはぬか喜びに終わった。爆発の黒煙が消えたあとも、ジズは健在だったからだ。機晶爆弾が設置された箇所は肉をえぐっていたが、小さく、足を吹き飛ばすどころか骨までも至っていない。
「あらら。固いわねー」
「もう少し距離をとった方がいいわ。危険よ」
 激怒し、らんらんと燃えるジズの目が自分たちの方を向いているのを見て、セレアナがつぶやく。
「刺激しないように、ゆっくりと…」
 だが遅かった。クケーーーッと怒りの声を上げたジズが翼をはためかせ、まっすぐ2人目がけて突っ込んでくる。
「逃げて〜…」
 リーラはDインストールの効果切れで、元の姿に戻っていた。竜化していたときについた傷はほぼ完治していたが、自分の足では立てないほど消耗しており、真司に支えられている。
 セレンフィリティとセレアナはゴッドスピードでジズのくちばし攻撃をかわしながら逃げようとするが、ジズも体のわりに素早くて、距離をとる隙が見出せない。
 そんななか、東の地を通ってクリスタルを運んできた及川 翠(おいかわ・みどり)たちが到着した。
「2人が危ないの! お姉ちゃん、2人を助けてなの!」
 状況が掴めないながらも翠はとなりのミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)の服を引っ張る。
 翠の言葉に「ええ」とうなずき、ミリアはすぐさまバハムート、リヴァイアサン、フレースヴェルグを召喚し、2人の支援へ向かわせた。
「ティナ、サリナ、あなたたちも」
「はいっ!」
「分かったわ!」
 ギャザリングヘクスをあおり、増加させた魔力でファイアストームやワルプルギスの夜といった魔法で2人も攻撃する。翠も懸命に我は射す光の閃刃を放ち、ジズをけん制した。
 彼らにならって、ほかの者たちもそれぞれ魔獣やジズに攻撃を仕掛けていく。
「うおおおおおおおおおおっ!!」
 雄々しい声が響き渡ったと思うや何か巨大な影が戦場に走り込み、ジズにタックルをかけた。ハート・エナジー(勇気)によって龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)と竜心合体を果たし、10メートルクラスに巨大化したコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)のドラゴ・ハーティオンだ。壁に激突し、崩れた体勢を戻せないでいるジズを、すかさず押さえ込みにかかる。
 ジズの噛みつきやひっかきはドラゴ・ハーティオンにはほとんど効果がない。ジズは猛り狂い、鋭い鳴き声を発しながら暴れ牛のように飛び跳ねてドラゴ・ハーティオンをふりほどこうとする。ドラゴ・ハーティオンは撥ね飛ばされないよう全体重を乗せるようにして、ますます押さえ込みを強化した。
「やっちゃえ! ハーティオン!!」
 はるか上空に距離をとって、ラブ・リトル(らぶ・りとる)が威勢よく応援を送った。
 新たに参戦した者たちによってさらに増した戦火をくぐり、新風 燕馬(にいかぜ・えんま)はバシャンを捜した。
「氏族長はどちらです!」
 アタシュルク側に到着するなり、手近な者を捕まえて問う。
 これだけの激しい戦闘が彼女の体に負荷をかけないはずがないという燕馬の懸念どおり、バシャンは彼女を心配する者たちの中央で胸元を押さえ、地面に額をすりつけんばかりに身を折っていた。
「氏族長!」
 人を掻き分けて彼女の横につき、丸まった背中に手を添える。彼女の体は燃えるように熱く、滝のように異常な汗をかいていた。
「もうここまでです! ジズとの契約を破棄してください!」
「だめ、よ……そんなこと……できないわ…」
「このままではあなたが――」
 だめだ、これでは昨日と同じだ。彼女を説得することはできない。
 立ち上がり、見守るだけの男たちを突き飛ばすようにして輪から抜けると、ジズと戦う者たちに向かって叫んだ。
「やめろ!! やめてくれ!! もうこれ以上、彼女から何も奪うな!!」
 それは、ジズや、ジズと戦っている者たちへの訴えというよりも、バシャンにこの過酷な運命を与えたものに対する叫びだった。
「もう十分だ! これ以上、まだ何が望みなんだ!!」
 ぐっとこぶしをつくり、震わせる。
 そのとき、ジズが鋭い奇声をあげた。
 今まで1度も発したことのない、異質な響き。断末魔ではなかった。もっと力強く、もっと狂気に支配されたような…。
 だれもがいやな予感に胸をわし掴まれたような気がしてジズを見上げる。ジズはドラゴ・ハーティオンを振り切るや両翼を広げ、浮き上がる。周囲に暴風を沸き起こすと次の瞬間まるで空間がえぐり取られたようにぐにゃりとゆがみ、ジズの姿が消失した。
 強烈な光と風が吹き荒れて、ドラゴ・ハーティオン以外の者を全員その場から吹き飛ばし、地に伏せさせる。
 ほぼ同時に、燕馬の後ろでどさりと重い音がした。
「バシャンさま!!」
 悲痛な呼び声がアタシュルクのなかで起きる。バシャンの名を呼ぶ彼らを掻き分けて戻った燕馬は、倒れたバシャンの姿に「ああ…」と唇を噛み締めた。きっとこうなるだろうという、いやな予感は最初からあった。形勢が思わしくないことを悟ったジズが、弱った彼女の支配を引きちぎって強引に元いた世界へ戻ったのだ。その反動はすべてバシャンへいった。
 まだわずかに息があるバシャンの頭を持ち上げ、ひざに乗せた。こんな固い、ゴツゴツとした冷たい場所で、彼女を逝かせたくなかった。
 うっすらとまぶたが開き、光を失った目が燕馬を見る。
「……そう」何が起きたかすべて悟った力ない声で、ぽつっとつぶやいた。「結局あたしは……何も成せないまま……終わるのね…」
 だれからも求められず、愛されず、生きたあかしも残せずに。
「そんなことありません。だってあなたは、氏族長として一族を導き、彼らの母親として彼らを守りとおしたじゃないですか…。
 見えますか? ここにいる全員が、あなたを心配して、あなたを失うことを苦しんでいる……。彼らはあなたの子どもたちです。あなたは彼らに愛され、必要とされていたんです」
 燕馬の声の震えに気付いたように、ふっとバシャンが小さく笑う。
「いい子、ね…。あなたのような、子どもがほしかったわ…」
 だけど、それはもはやどうすることもできない高望みだから。
「セイファ。そこにいる? 明日からは、あなたが氏族長として、一族を率いていきなさい」
「無理だよ、バシャン…。きみでなくちゃ…」
 涙ぐみ、セイファが答える。
「やるのよ。ばかね。こんなときまで、腰が据わらないんだから。
 どうしても無理なら……息子に任せて……あなたが補助してあげると、いいわ」
 そのとき、ざわめきが起きていることにバシャンは気づいた。
 彼女を取り巻いていた者たちの一部が左右に割れ、その中央を赤い髪の少女が歩いてくる。
「ハリール、ね」
 無表情で自分を見下ろす少女を見上げ、バシャンはつくづく思った。若々しく、力にあふれた未来ある少女。死に逝く自分となんと対照的なことか。
「謝ったり、しないわよ…」
「いいわ。あたしも、謝ってなんかほしくない。あなたが謝らなくちゃならないのは、あたしじゃないもの。あなたが謝らなくてはいけない相手は、父と母よ」
『愛してるわ、バシャン』
 どうしてか、ショーネの姿が重なった。長い生で、ただ1人愛した妹。似ているところなんかひとつもない娘なのに。
「そうね…。ショーネに……会わなくちゃ…」
 笑みが浮かぶ。そのままゆっくりとバシャンはまぶたを閉じた。
「バシャンさま…っ」
 わっと嗚咽の声があがる。その場に泣き崩れる者たちもいるなかを、ハリールは背を向けて立ち去った。
 長い年月、あれほど憎み、同時に恐怖した伯母は、覚えていたよりずっと小さかった。烈火のごとき怒りに震え、父親に幻獣を差し向け、自分と母親の前に立ちふさがって責め立てた彼女はとてもおそろしい存在として胸に焼きついていたのに。
 彼女の死を悲しむ気持ちはない。けれど、不思議とあれほど胸を圧迫していた彼女への憎しみもなかった。爽快に思う気持ちもなく、ただ終わったという思いがあるだけ。しかしそれも、まだふわふわとして現実味がない。時間が経てばまた変わるかもしれないが、今はまだその時ではない。
「ハリール」
 彼女が戻るのをエヴァルトたちが待っていた。
「エヴァルト……あれでよかったのかしら」
「弱気になるな。まだ終わっていない」
「そうね」
 まだ対話の巫女としての役目が残っている。
 待ちかね、焦れたようにリリが彼女の前に飛び出した。
「ハリール! リリはリリ・スノーウォーカーというのだよ。初対面でいきなりすぎるのは分かっているが、言わせてほしいのだ!
 エルは過去の人間かもしれない、でも生きている! 彼女の子どもにも未来は必要なのだ! 目覚めさせてほしいのだよ!!」
 リリの心からの真摯な訴えに、ハリールは笑んだ。
「ええ。分かるわ、あなたの気持ち。あなたの思いも彼女に届けるわね」
 思いを受け取るようにリリを抱き締め、胸を合わせる。
 そしてハリールはイルルヤンカシュの前へ、ゆっくりと歩を進めた。
 対話の儀式なんて、どうするか分からない。だけどきっと、イルルヤンカシュは彼女の呼び声に応えてくれると確信して。
「彼女に足りないのは覚悟だったと思いますよ。 これまでのは、どちらかと言えば使命感だけでしたからね。でも今の彼女にはそれがある。でしょう?」
 ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)の言葉に、周囲の者たちがうなずいた。
「会ったこともない、ハリールの両親よ。あなた方の娘は、強く正しく育った。信じて見守ってやってほしい」
 だれにも聞こえない声でエヴァルトがつぶやく。今のハリールの姿を誇らしく思いながら、みんなと一緒にその背を見送っていたときだった。
 4つ足の獣が風のように現れたと思うや彼らの横を走り抜け、ハリールを追い抜く。その瞬間、高月 玄秀(たかつき・げんしゅう)は影に潜むものから飛び降りて、ハリールを地につき飛ばし、転がした。