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第1回ジェイダス杯開幕!

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第1回ジェイダス杯開幕!

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第二章 祭りだ、ワッショイ!

 さぁ〜て、長らくお待たせしました。
 第一回ジェイダス杯、高らかなファンファーレとともに、各車一斉にスタァァァァートッだ!
 まず初めに飛び出したのは、蒼空学園東條カガチ(とうじょう・かがち)選手。シールド付きのヘルメットにレーシングスーツを身にまとった姿からも彼の本気がうかがえる。
 東條選手に続くのは、同じく蒼空学園の十津川桂(とつかわ・けい)選手。視界を遮る霧の存在すら振り払うかの如く、鋭い走りを早速見せつけるっ。
 三番手は当レース一番の注目株、波羅実の南鮪(みなみ・まぐろ)選手とバイク型の機晶姫ハーリー・デビットソン(はーりー・でびっとそん)だ。
 南選手がまたがるハーリー・ダビットソンをスパイクバイク2台で牽引してるぞ。一見ルール違反にも思えるが、選手とパートナーそれぞれにバイクが支給されることを考えれば無問題。時速20kmでしか走れないハーリー・デビットソンの弱点をカバーした上に、安定性も抜群だ。これはなかなか良い作戦だぞ。
「ヒャッハァ〜〜、レースに紛れて、女、女、女ァ〜!!!!」
 女に飢えた南選手の敵が「白馬の王子様」ならば、ハーリー選手の敵は王子様が乗っている「白馬」!
 こちらに届いている情報だと、普段ハーリー・デビットソンは倉庫に放置されているそうだ。まさに今日は待ちに待った晴れ舞台。バイク型機晶姫の意地を見せつけるのか?


 おぉ〜〜っといきなり後方集団の辺りで砲撃の音が響いたぞ!
 蜂の巣をつついたような騒ぎが起きる中、先ほどからずっと一人の漢が無言で地面を睨み続けている。白百合の姫君を巡る戦いに敗れたエルシド・ボロス選手だ。
「…俺が………だ…」
 大地に拳を突き立てたエルシド・ボロスは呟き続ける。
「…が…バ……だ……俺が…イク……俺が…バイクだ…俺がバイクだ!!!!」
 突如、立ち上がったエルシド選手。空を仰いで咆哮する。
 その悲痛な叫びに反応するかの如く、見る見るうちに膨れあがるエルシド選手の筋肉。血管が浮き立つほどに盛り上がった胸筋に着ていた服さえも弾け散る。白馬の王子に負けた悔しさが、漢の身体を鋼に変えたのか?!
「俺がバイクだ。バイクが俺だぁ〜〜〜〜!!!!!」
 上半身裸になったエルシド選手。その奇蹟の肉体は、持参したスパイクバイクさえも盛大に吹き飛ばす!
「この俺の肉体こそが真のバイクだぁ〜〜!!!!」
 そして、エルシド選手は猛然と走り出す。その後ろ姿は、お耽美主義万歳な薔薇学生をもうならせる漢の生き様を感じるぜ。


 さて、ここで先ほどの砲撃に関する情報が入ってきたぞ。
 他の選手に砲撃を加えたのは、シャンバラ教導団の林田樹(はやしだ・いつき)選手。どうやらバイクのサイドカーにバズーカ砲やマシンガンといった武器を大量に積んできたと思われる。
 ただし、これは明らかにレース規定違反だ。
 すぐに警備の生徒達が駆け寄るが、林田選手は止まらないっ! バズーカ砲を投げ捨てたかと思いきや、マシンガンをつかむと悪鬼の如く形相で乱射を始めたぞ!
「黙れ、雑兵!」
 これでは危なくて迂闊に近寄れない…。
 しかし、ここにも一人の漢がいたぞ。林田選手に飛びかかっていったのは、スタート前に場外乱闘を繰り広げていた光臣翔一朗選手だ。
「俺と喧嘩してくれる言うンは、何処のどいつじゃぁ〜!!!!!!」
 背後から林田選手を抑え込んだ光臣選手は、力任せにマシンガンを奪い取ると、そのまま遠くに投げ捨てた。
「漢なら拳と拳で語り合わンかぁ!!!」
 どうやら光臣選手の頭からはレースのことなどキレイさっぱり吹っ飛んでいるようだ。


 そうこうするうちに、またもや後方からの発砲だぁ!
 先頭集団に向かって銃をぶっ放したのは、波羅実の国頭武尊(くにがみ・たける)選手だ。
「まずは先手必勝! こまけぇこたいいんだよ!」
 国頭選手が持つアサルトカービンは、騎乗での使用を想定し通常の小銃よりも銃身を短くしたものだ。そのためバイクに騎乗しての狙撃に適している。国頭選手は巧みにバイクを操りつつ、前方車両に向かって銃を乱射していく。
 ここで前方を走る機体に国頭選手の弾が命中!
 飛空挺の土手っ腹に弾を受けたのは、蒼空学園ザックハート・ストレイジング(ざっくはーと・すとれいじんぐ)選手だ。
「ちっ、俺様の計算がハズレたか!」
 小さく舌打ちをしたザックハート選手は、自ら落下する飛空挺から身を投げ出した?!
 このまま地面に激突かぁ?!
 と、そこで一台の飛空挺が、ザックハート選手の元へ滑り込んで来たぁ〜〜〜!!
 ザックハート選手を救ったのは、パートナーである剣の花嫁、ルアナ・フロイトロン(るあな・ふろいとろん)選手だ。
「ご無事ですか、ザックハート様ッ?!」
「俺様に刃向かうとは良い度胸だ。火炎瓶で応戦するぞ!」
「了解しました!」
 事前に用意していた火炎瓶に火を付けながら、ザックハートは爬虫類を彷彿とさせる冷たい笑みを浮かべた。
「いや…それよりも…クックックッ」
 不気味な笑い声を上げたザックハート。なぁぁんと操縦桿を握っていたルアナを蹴り飛ばしたぞ!
「きゃぁ〜〜〜!!!!」
 宙を舞ったルアナ選手、一直線に国頭選手のバイクに向かって吹っ飛んで行っっっくぅぅぅぅ!!!!!
「これで玉突き事故だ。カカカカカー」
 勝利のためにはパートナーの命すらも武器として利用するザックハート選手。まさにキング・オブ・鬼畜の所行だぁ!