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排撃! 美衣弛馬鈴!(びいちばれい)

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排撃! 美衣弛馬鈴!(びいちばれい)

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第12章 エンドレス・ティータイム

 大会運営本部がずしん、と揺れた。ナガンが激突したためだが、内部にいる大鋸たちには知る由もない。
 残ったメンバーはそのまま4階へと進む。残る相手はバトラーかメイドだろうとの予測どおり、そこには携帯電話に夢中になっている執事がいた。目の前には大きなテーブルが置かれ、テーブルの上にはお茶とお菓子。お菓子は日本製、このあたりでは高級品だ。
「失礼しました、ワタクシ、馬屠螺(ばとら)流の悠斗と申します。どうぞお掛けになってください。お茶などいかがでしょう?」
 余裕のある態度が不気味だ。この人数差で勝つ手立てがあるというのか。
「オラァ、覚悟しやがれ!! ゴラァ!!」
 気が短くなっていたラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)がやおら発砲する。悠斗はテーブルを楯に身を守る。陶器が砕け散り、紅茶がぶちまけられた。ラルクは銃を構え直し、悠斗に狙いをつけると、テーブルの上は何事もなかったかのようにお茶とお菓子が並んでいた……
「やれやれ、せっかちなお客様だ」
 これは夢か幻か。時間を巻き戻したとでもいうのか。恐れ知らずのラルクだが、言いようのない不安にかられ、やみくもに紅茶ポットやカップを撃って砕いた。だが気がつくと、すべては元に戻っている……
 様子を見ていた藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)が割って入った。
「いいえ、私たち執事というのは、それなりに訓練を積めばお茶やお菓子などいくらでも瞬時に用意できるものなのです。たぶん時間稼ぎが目的でしょう」
 手品を見破られて悠斗は苦笑い。
「同業者がいるとやりづらいですね。もうしばらくティータイムを楽しんで頂きたかったのですが」
「残念ながら、私はビーチバレーをしにきたのです。必殺・九龍棲泥巫厭洲(クロスディフェンス)!」
 そう叫ぶと優梨子はデリンジャー片手にテーブルを踏み超えて突進する。これのどこがビーチバレーなのか、悠斗には理解できない。至近距離からの銃弾を受けて、理解する機会はたぶん永遠に失われた。
「弾丸(たま)を使いますから、疑いようもなく球技です」
 野球の時にも同じようなことを言うやつがいたっけな、そんなことを思う大鋸であった。


第13章 試合経過 その3

「都合によりここからはダイジェストを交えつつお伝えしていきます。
 第八試合、メイベル・ペアと支倉ペアの対戦ですが、身体能力の差が出てメイベル・ペアの勝利です。支倉さん、負けても何か余裕を見せています。
 第九試合、デリケートドラゴン対菊・ガガチーム。デリケートドラゴンは歌菜選手が体調を崩したため(ドラゴニュートが苦手だったようです)晃月 蒼選手と交代。ちなみに蒼選手の水着はビキニです。
 試合のほうですが、先ほどと同じく謎の戦法を駆使した菊・ガガチームが勝っております。ガガ選手のコメントをどうぞ。
『デリケートじゃドラゴニュートはやってけねえんだよ』
 第10試合、チーム・うみうさぎ♪ 対レティシア&シー・イー。シー・イー選手、先ほどのガガ・ギギ選手の戦い方から何かをつかんだ模様。ミルフィ選手が先ほどと同じように空中戦を仕掛けるも、なぜか地上にいるシー・イー選手がこれを迎撃。このあたりでミルフィ選手のスタミナが切れたようで、最後はレティシア選手が得点して試合終了となっています」


「さあいよいよ準決勝第一試合、巫丞・エレノアペア対、メイベル・セシリアペアの対戦です。4人中2人が剣の花嫁という取り合わせですが、試合にはどう影響するのでしょうか?」

 伊月はメイベル、セシリアとも単純な性格だろうとあたりをつけて、最初の試合と同じようにハッタリを仕掛けてみる。後ろで見ているエレノア。
「あら、腋に剃り残し」
などといって動揺を狙うのだが、思ったほど効果がない。ひっかかるにはひっかかるのだが、性格的にあまり気にしないようなのだ。小細工が通用しないと判断して、今度はラフプレイに切り替える。
 顔を狙った攻撃に、メイベルが泣き言をもらす。
「これじゃドッジボールですぅ」
 セシリアに優勝を目指そうと励まされ、なんとかやる気が再燃するメイベル。
 これがきっかけとなって、ふたりのチームワークは格段に良くなった。伊月のチームはほとんど一人でいるような状態で、エレノアは
「……まぁ、下等生物がどう戦おうとエレノアは知ったことではないのです」
などと毒を吐いている。最後は連携が決まってメイベル・セシリアの勝利となった。


「次は準決勝第二試合、菊とガガ対、レティシアとシー・イーの対決です。今度はドラゴニュート同士の正面対決、どうなるのでしょう」

 ガガはシー・イーを見て、にやっと笑った。やっとドラゴンアーツの使い方を覚えたのかい、そう問いかけているような目つき。間違いなく強敵だ。
 奇怪な試合だった。素人目には予測不能なタイミングでボールが飛び、弾かれ、砂が舞い飛ぶ。残念ながらレティシアではこの展開についていけなかったため、菊・ガガチームには勝てなかった。

「さあ、これで決勝進出チームが決まりました! いよいよ最強チームを決める戦いがはじまります!!」