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リアクション
第3章
夕刻、空京に無事着いたホイップ達。
皆でジャタ松茸本物と解体したパラミタ猪の肉を貸切になっている琥珀亭の厨房へと運びこむ。
その中、皆の輪の中から外れた2人がいた。
こっそりと路地裏の方へと行く。
イレブンと聖、キャンティだ。
この2人、森でジャタ松茸の選別をしていた時にモドキの方を回収していたのだ。
一応ホイップに了解を取ってなのだが。
瞳をキラッキラと輝かせお願いしていて、怖くて断れなかったのだ。
「では、ここで一時解散だな。あとで会おう!」
イレブンが2人にガッツポーズをとる。
「はい。では後ほど」
「お互い成果を上げて会えると良いですぅ」
「ああ、現実の辛い人達にも夢を与えられ、さらに処分予定のキノコの利用だからエコだしな。この説明で解ってくれない人はいないだろう」
3人はここで二手に分かれた。
イレブンは怪しげな路地裏を探しまわり、やっと目当ての人物を探しだした。
まるで乞食のような格好をした人物で、眼光だけが鋭い。
自分が持ってきたジャタ松茸モドキを袋のまま差し出す。
「こいつを売りたいのだが」
「……」
袋を手に取り、暫く観察していたがイレブンへと突っ返す。
「……こいつはダメだ」
「何故だ! 現実から逃げたい人に夢を与える事が出来る素晴らしいキノコではないか!」
「……そいつは常習性が無い、1回使ったら皆買わねぇんだ。それじゃあ、商品としてはダメなんだよ。他へ持っていったって同じ反応しか返ってこないぞ」
「そ、そうなのか……」
がくりと肩を落とし、琥珀亭へと向かっていったのだった。
こちらは聖とキャンティ。
この2人は空京に来ている、怪しい薬を求めているパラ実生を探していた。
空京の外れでたむろしているパラ実生を発見すると素早く近づく。
たむろ連中の中心へと来るとキャンティがおもむろにビニール袋を取り出す。
そのままセールストークを始めた。
「さあ、さあ御立ち合い。ここにありますキノコはなんと自分の欲望がまるで現実のように見られる素敵なキノコですぅ。1本1,000Gでどうだぁ、ですぅ」
しゃべっていたパラ実生はしーんと静かになり、次に笑いが起きた。
「あんだよ、そんなのまだ売ろうとしてる奴がいたのかよ! ぎゃははははっ!」
「ひゃっひゃっひゃ!」
「どういう事でしょう?」
不思議に思い、聖が質問をする。
「そのキノコは知ってるぜ。なんつうか、気持ちよくなるわけじゃねぇんだよ。だからいらねぇ。俺達みたいなのは皆、一度は手を出した事のあるものだから絶対売れないぜぇ! 御苦労さまなこった!」
こうしてこちらもスゴスゴと琥珀亭へと足を運ぶのだった。
琥珀亭へと着くと中からは良い匂いが漂って来ていた。
厨房は広いのだがそれでも入りきらない人達がテーブルで料理をしている。
見回すと店内のテーブルにうなだれているイレブンを発見出来た。
聖とキャンティも同じテーブルへとつく。
「そちらも同じ状況で?」
「ああ、多分一緒だ」
イレブンと聖は同時に溜息を吐く。
「ここは美味しいご飯を食べて元気を出すですぅ」
キャンティの提案に2人は気持ちを切り替え、楽しむ事にしたようだ。
「もしもし? もう料理が開始になりますわ、ますたぁ☆ そちらはどうですか?」
琥珀亭の隅でマネットが九弓へと電話を掛けている。
「うん、こっちはやっと仕事が終わったから、飛行船でそっちに向かうところ」
「了解ですわ」
電話を切ると九弓が来るのをそわそわしながら待つのだった。
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