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【借金返済への道】秋うらら、行楽日和!

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【借金返済への道】秋うらら、行楽日和!

リアクション

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 ホイップだけが雑木林から赤い顔で出てくると美羽達に囲まれてしまった。
 エルの方は、デバガメ3人にいじられている頃だろう。
「ホイップ殿、顔が真っ赤だが……とりあえず、皆と一緒に紅葉の中を散策しないか?」
 藍澤 黎(あいざわ・れい)の提案にホイップは頷き、ジャタの森へと皆で歩いて行ったのだった。
 その後ろをこっそり雑木林から出てきたルディも付いていく。

 ジャタの森に着くと赤と黄色が鮮やかに出迎えてくれる。
「で、ホイップ。さっきの杖は一体なんなんだ?」
 最初に口を開いたのは緋桜 ケイ(ひおう・けい)だ。
「それ私も気になる! 元気が無かったのもそのせいだよね?」
 手を上げて美羽も賛同を示す。
 ホイップが他の人達の顔を見ると同じらしい事が解った。
「うん……エルさんにも言われたんだけどね……話す事は出来ないの、ごめんね。もし私がこの話しをするときが来たら……皆の力を借りる事になるかもしれない」
 ホイップの真剣な顔と声に皆は一瞬黙ってしまった。
「いつでも力になるから、何でも遠慮なく言ってね!」
 美羽が言う。
「ボクもだよ! ちゃんと話してくれなきゃヤダからね!」
 カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)も元気に同意した。
 カレンのパートナーであるジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)はどうやら紅葉をはじめて見るとのことで近くを走り回っていた。
 他のメンバーも頷く。
「有難う、皆」
 ホイップは涙を溜めてお辞儀をする。
 顔を上げたホイップに黎はそっとハンカチを渡す。
「そういえば、ホイップ殿はいつからあの宿屋に? 家族の話しも聞いたことがないが……」
 黎は温かいお茶を差し出し、質問をした。
「宿屋には空京が出来て、宿屋が建てられてすぐ……かな。家族とは……うん、もう忘れちゃった。凄く前だよ……」
「ホイップは最初、魔女だと言っていたような気がするけれど?」
 ケイは気になっていた事を口にする。
「うん、ごめんね。ちょっと事情があって……。あ、元々剣の花嫁なんだよ!」
「イルミンにはいつから居るんだ?」
 ケイは更に質問をぶつける。
「イルミンスール魔法学校には設立してすぐ……だったと思うよ」
「で、ホイップはエルの事をどう思っておるのか?」
 話題を変えてきたのは悠久ノ カナタ(とわの・かなた)だ。
「えっ……えっ!?」
 カナタの言葉にどぎまぎしている。
「うんうん、気になる! 話しちゃえ〜」
 晃月 蒼(あきつき・あお)がそれを煽る。
「フフフ、青春ですな」
 レイ・コンラッド(れい・こんらっど)の方は蒼をにこやかに見守りながら、今晩のおかずに使えそうな自然薯や山牛蒡に夢中のようだ。
「それとも他に好きな人がいるのか?」
 黎は更につっこんだ質問を繰り出した。
「え、えっと……エルさんの事はまだよく解らない……かな。一緒にいると楽しいし……他の女性に声を掛けているのを見るのは……良い気がしないのは事実なんだけど、それが恋かと言われると……う〜ん……」
「そうだよねぇ、エルさんは女性大好きみたいだもんね。この間もプロポーズして結婚式まで挙げちゃったんでしょ? 偽装だったみたいだけど〜」
「……へっ?」
 蒼の言葉にホイップは笑った顔のまま硬直してしまった。
「お〜い! 大丈夫かえ?」
 カナタが心配して声を掛けると、意識が戻ってきたようだ。
「へ、へ〜……ふ〜ん」
 少し黒いオーラが出ている気がしないでもない。
「ふふ、嫉妬ですわね」
 ルディが的確についた。
「ち、違うよっ!」
「そうですか? ならどうして、硬直したりしたんでしょう? もしかして恋愛に踏み込めないでいるだけなんじゃ?」
「いや、あの……その……だって、私の方がうんと年上だし……長生きしちゃうし……」
「そんなのは単なる言い訳であろう?」
 カナタも口を挟む。
「う……ほ、ほら、エルさんって女性には誰にでも優しいし……私だけじゃないでしょ?」
「それは認めるけど、問題はそこじゃないんじゃない? ホイップちゃんがどう思ってるか! なんだから」
 カレンが痛い所を突く。
「うぅ〜……ん。ごめんね、やっぱりちょっと答えが出ない……かな。色々と巻き込みたくないしね」
「それが一番の要因だろう?」
 黎がホイップの言葉の最後を指した。
「へっ?」
「何かあった時にホイップ殿は近しい人を巻き込みたくないと考えている。それがホイップ殿の思いを邪魔してるんじゃないのか?」
「う……ん、そうだね。多分そう」
 少しうつむいてしまったが、わざと笑顔を作ろうとする。
 すると、頭を軽く撫でられた。
「無理して笑わなくても良い」
 そう黎は言うと、暫く撫で続けたのだった。

 質問が落ち着くと今度はプレゼント攻撃が始まった。
「元気がないみたいだったからジュレと一緒に拾って作ってみたんだ!」
「わぁ! 美味しそう! でも、凄い量だね」
 贈られたのはまだ温かい焼き栗だ。
「つい……拾い過ぎた」
 ジュレールは拾うのが楽しかったのかもしれない、表情が柔和になっている。
「じゃあ、みんなで食べようよ!」
 ホイップはカレンとジュレールに了承を取ると、ここにいる人達に配った。

 次に突撃してきたのは美羽とベアトリーチェだ。
「あの、これ今日拾った木の実で作ってみたんです。良かったら使って下さい」
 ベアトリーチェから渡されたのは木の実のペンダントだ。
 丁寧に作られており、お店で販売していてもおかしくない出来だ。
「良いの?」
「勿論です! 美羽とお揃いなんですよ?」
「へへっ!」
 すでに身につけている美羽は誇らしげにペンダントを見せる。
「ベアトリーチェさんは?」
「私……ですか?」
「うん! せっかくだもん、ベアトリーチェさんもお揃いにしようよ!」
「あ、それ良い考え!」
 2人にキラキラした瞳で見つめられてしまい、結局同じものをもう1つ作って自分の宝物の1つとしたのだった。

 今度はさっきまで口を挟めずにいたソアとベアだ。
「じゃじゃーん! ゆるキャラストラップですっ!」
 ソアがホイップへと見せたのは買っておいた雪国ベアのストラップだ。
「あ、ベアさん!」
「へへっ……まあな」
 照れくさそうにベアは鼻をこする。
「むむむ〜……はい! このストラップに幸せの魔法を掛けました!」
「えっ?」
「ホイップさんがこれからも、友達に囲まれて笑顔でいられますように、って」
「うん、有難う! その気持ちが凄く嬉しい! でも、本当に貰っちゃっていいの?」
「気にするなって! 気になるならいつか、ホイップが何かでお返しをすれば良い」
 ソアも横で頷いている。
「うん……有難う」
 笑顔で受け取り、さっそく自分の携帯へと付けたのだった。

 こうして、皆で散策は終了し他の人達がいるところへと戻って行った。