なし

リアクション

やってきました、静香様のお見合い

「そろそろお開きですわね」
　ラズィーヤがそう言うと静香も。
「そうだね」
　と桜と別れを告げるようにい言う。
「それでは、最後のイベントですわ」
「えっ！？」
　静香が驚くのも無理はない。
聞いていないのだから。
ラズィーヤの命によりティアが連れてきたのは。
百合園女学院の真口　悠希（まぐち・ゆき）と薔薇の学舎のクリスティー・モーガン（くりすてぃー・もーがん）である。
連れられてきた二人は静香の前に膝まづく。
「本日は、お日柄もよく夜桜の咲く中、静香さんに告白したいという方が二名いらっしゃいましたわ。ここでしっかりと、告白を受けておくのも、淑女を養成する百合園女学院の校長として必要なことではないのですかしら。ねえ、静香さん？」
「ちょっと待って！　だってボクは……」
「それ以上はおっしゃらないでください、静香様」
　悠希が言葉を遮る。
「ボクは静香様が好きです。誰にも渡したくありません。ですが、まだ学生の身。婚約者候補として私を御指名ください」
「それなら僕が婚約者候補になります。学校が違いますから、ペンフレンドから初めて少しずつお互いを知っていきましょう」
クリスティーも一切引く気は無いようだ。
「もうっ！　ラズィーヤさん！　ボク、どうすればいいの！」
　対には、首謀者のラズィーヤに対して静香は怒りを覚えたようだ。
「仕方ありませんわね。静香さんを怒らせても仕方ありませんし。お楽しみは長くとっておいた方が楽しいですし。こうしましょう。来年また、この時期にお花見を開きましょう。その時に、静香さんの心を動かした方を静香さんの婚約者にしましょう。一年後ですが、長いようで短いですわよ。お二人とも静香さんの心を自分のものに出来るように精進なさい。もちろん、他にも静香さんを手に入れたい方がいらっしゃったら、来年まで精進しておくことですわね。これでよろしいですか？　静香さん」
「……分かったよ」
（「もう！　ラズイーヤさんったらまたボクをおもちゃにしてー！　それにしても来年か。来年まで無事に過ごせるといいな。こうしてみんなでまたお花見が出来るといいな……」）

こうして、夜桜お花見会は幕を閉じるのでした。
　来年また、皆がそろうのを願って。