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花粉注意報

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花粉注意報

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そうこうしているうちに――

「出来ました……」
 花粉対策マスクを完成させた美央。
 花粉を防ぐ目的を果たすべく、原型を留めぬ程に密閉されたプロレスマスク。
 そこに香の発案で目の模様と手の模様を組み合わせた模様が描かれてる……なかなか不気味なデザインだ。
「香との友情が生んだ『ともだちマスク』です」
 すぐに量産体制に入ろうとする美央……だが、そのマスクを被ろうという者は誰もいなかった。

「出来ました……」
 花粉の毒素を弱める薬を完成させたイナ。
 すぐに量産体制に入る。
「後は、森へ散布するだけですね」
 問題はその手段だ……飛空挺でもあれば良いのだが……
 そんなイナの目の前に、都合よく一隻の飛空挺が飛び込んだ。

「む、アスカも鴉も戻って来ない……ここは我が行くしか……」
 まさかその二人がのんびり温泉に浸かってるなど思いもしない。
 迎えに行こうと飛空挺を発進させるルーツ・アトマイス(るーつ・あとまいす)だったが……
「すいませーん、ちょっと、お願いがあるんですけど……」
「? 何事か?」
 その声に振り返るルーツ……大量の薬剤を抱えたイナが走ってくるところだった……
「あ、気付いてくれ……へぐっ!」
 ……ベトつく花粉で転ぶイナ。
「むぅ……見てられんな……この飛空挺は森行きだが、それでも良いか?」
「はい、願ったり叶ったりです!」
 なんとか手段を得たイナ、飛空挺から花粉を弱める薬を森に散布する。
 ゆっくりだが、次第にその効果が現れていった。


「あれ……しーちゃん……私……きゃあっ!」
 ようやく自分の状態に気付いた香奈、真っ赤になって服を直す。
「た、助かった……」
 ようやく一息つく忍。

 ……周囲の人々も、熱が冷めるように、冷静さを取り戻していった。
「あ……冷めました……」
 急に冷静さを取り戻したのどか。
 まるで何事もなかったように紅月から離れる。
「やはり紅月には私のおし……おや、私はいったい……ああっ紅月! しっかりしてください!」
(お、お前ら……)
 ……紅月はすっかり衰弱していた。


 イルミン図書館、コッポルン病対策本部では……

「ほら、エリザベート……力抜けよ……」
「ふぁ……あ……」
「どんどん奥まで入っていくぜ……綿棒が」
 エリザベートの鼻を治療するトライブの姿があった。

「もう少しの辛抱です、エリザベートちゃん」
 その治療をはらはらと見守る明日香。
 がんばったエリザベートに後でおやつを用意してあげよう、そうしよう。

 アーデルハイトはというと……
「何がコッポルン病ですか、これだけの人数がいて、みんなしてトンデモ本に騙されるなんて……」
「す、すまぬ……くしゅん!」
 涼介のお説教にアーデルハイトがしゅんとしていた。
 滅多に見られない光景だ。
「アーデルハイト様は特に症状がひどいようですね、食事療法が必要です……しばらくは質素な食事で我慢してもらいますよ」
「むぅ……」

「だから散々言ったじゃないか、花粉症だって……」
 刀真がぶつくさと文句を言っている。
 その隣では大事そうにコートを抱きしめる月夜の姿。
(ま、いっか……)
 月夜も助かったことだし、と刀真は納得することにした。

「おや、言葉が……これはいったい?」
 元に戻ったことで初めて口調の変化に気付くラムズ。
 彼の場合、ここからが大変かもしれない。

「ねぇ荀灌、私治ってる? 治ってるよね?」
「もう、これで何回目ですか……」
 郁乃は不安になって何度も確認していた。
「どうしても気になるアルヨ……あ……」
「はぁ……意識するからですよ」
 治っても口調に違和感を感じる人々も結構いるようだ。

「あれ……いつの間にかみんな服着てる……」
 こちらは一人服を着るタイミングを逃したリース。
 ……周囲の視線が痛かった。



 ……かくして、ザンスカール一帯と、一部地域を震撼させたパラミタ杉花粉は終息した。
 人々にようやく平穏が取り戻されたのだ……


   ――Fin――

担当マスターより

▼担当マスター

▼マスターコメント

ハァハァ……エロいの書くのって大変ですね……
いかがでしたアルカ?
未だに震災は終息を見せてくれませんが、少しでも楽しんで頂けたのなら何よりです。

実は
GM側でも被災者とか、何らかの理由で書けなくなってる人が多いんじゃないかな……
でも私は書けるから、なら書くべきだよ、なんて考えて今回がんばってみたんですよ
そしたら、書けるGMは意外といっぱいいて……とんだ取り越し苦労だったわけですね、ちょっと恥ずかしかったです

でも皆さん無事でよかったです、やっぱり人間は希望ですよ、うん

それはさておき
今回、花粉の話でしたが
話を書くにあたって「杉の花」というものを見てきました
当然、雄花と雌花があるんですが……びっしり生えた雄花はすごい怖かったです、コレ花じゃないよって思いました
雌花の方はちゃんと花ですね、やっぱりどこか不気味さがありますが、美しさも感じられましたよ
皆さんも、もし機会があったら見てみると良いと思います


温泉旅館・薫風について
 ご存じない方も多いかと思いますが、私が最初に手掛けたシナリオの舞台です
 まさかこのシナリオで出てくるとは思いませんでしたよ
 若女将の縁に絡んだアクションがあったので、ちょっと考えたらですね
 ……確かに、周囲ごと冬仕様のこの旅館は安全地帯になるな……と……

 やっぱり最初のキャラだけあって、縁を覚えていてもらえていたのは結構嬉しいです
 いっそこのまま縁をNPCデータ化の候補として考えてみようかな、とか思いました


さて、次はどんなシナリオでお会い出来ることやら……しばしのお別れです
リアルな花粉症にも気をつけてくださいね
ではでは