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【ぺいゆさんイラスト500枚突破記念】夢のぺいゆ王国

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【ぺいゆさんイラスト500枚突破記念】夢のぺいゆ王国

リアクション




第二章



「ちょっとぺいゆちゃんっ、これはどういうこと!?」

貴仁に告いでもらったジュースに口をつけようとしたぺいゆちゃんに歩み寄り、肩を掴んで抗議をしているのは

飛鳥 桜(あすか・さくら)でした。
いつもの可愛らしい少女の出で立ちではなく、短い髪に伊達眼鏡の少年の姿になってしまった桜は、きゃんきゃんとぺいゆちゃんに噛みついていました。
「ほんまやで! 何で俺までちっちゃなってしまったん!? こんなんじゃ親分なんて言われへん〜!」
桜と一緒にぺいゆちゃんに吼えているのはロランアルト・カリエド(ろらんあると・かりえど)
彼も小さな手足を懸命に振り回して抗議を続けます。
「そりゃショタは正義かも知らんけど! この姿の方が本来のアリスっぽいけど! 俺は親分なんやぁ〜!」
「そうだよっ、それに何でギル兄はそのままなのさっ!」
それが一番納得がいかないのだ、と、ギルベルト・シュタイナー(ぎるべると・しゅたいなー)を指差します。
によによと笑みを浮かべたギルベルトは携帯を取り出して、ぴろりーん☆と写真を撮りながらけらけらと笑います。
「まぁまぁ、なかなか面白いぜ。それに飛鳥はその姿の方がしっくりくるかもなぁ?」
「ちょっ、ギル兄どういうこと!? 僕は女の子なんだよ!」
「いやあんまり深い意味はねーけど……っておい! やめろっ飛鳥!」
聞き捨てならないと振り返った桜が実力行使に出ようとしたのを必死に止めながら、ギルベルトはフランシス・フォンテーヌ(ふらんしす・ふぉんてーぬ)を振り返りました。
「おいっ、フラン何か言ってやれっ」
フランシスもロランアルトや桜と同様に小さくなってしまっています。
美少女と見まごうような整った造作、けれどその頭には何故か白い猫耳が生えていました。
うっとりと鏡を見ていたフランシスは、桜の声に「そうだねぇ」と振り返りました。
「お兄さんが小さくなっても美しいのは言わずもがなだけど……ギルちゃんがそのままって言うのは解せないかな?」
「なぁ、何でギルがそのままなん!?」
三人に詰め寄られたぺいゆちゃんは、ギルベルトの顔を改めて見て小さく答えました。
「……イケメンはまぁ、そのままでも許してあげるですよ」
「はぁ!?」
「ギルがイケメンやて?」
「何それお兄さん納得いかない!」
「おいお前らその反応どういうことだ!」
今度は四人ともがきゃんきゃん騒ぎ始めます。
けれどその騒ぎも長くはありませんでした。
「はいはーい、折角お城に遊びに来てるんだから喧嘩はそこまで、だよ?」
明るい声が割りこんできたからです。
一同が視線を向けると、そこにはルカルカ・ルー(るかるか・るー)が立っていました。
ニコニコと笑うルカルカの後ろには憮然としたダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)もいます。
「せっかく普段出来ない姿なんだしみんなで楽しく遊ぼうよ」
「あ、遊ぶのは賛成」
ルカルカの言葉に桜も同意を示します。
フランシスやロランアルトにも、勿論桜から解放されたギルベルトにも異論はありませんでした。
「それよりこの姿を戻してくれないか」
「何して遊ぼっか〜。鬼ごっことかかな?」
ダリルの言葉は綺麗に無視され、ルカルカ達は遊びの相談をし始めました。
はぁ、とため息をつくと、いつの間にか傍に来ていたエオリアに苦笑を向けられます。
「不便かもしれませんが、ぺいゆちゃんが満足すればすぐ戻してもらえるでしょう」
「なぁ、鬼ごっこするならみんな同じ体格じゃないと不利じゃないか?」
鬼は誰にしようか、とじゃんけんをしようとした一同を、エースの一言が止めました。
みんなを同じに、という言葉にギルベルトが身構えましたが、エースが言いたいのはそうではなかったようです。
エースが指し示す先にはダリル――の頭を宥めるようにぽふぽふと撫でる月崎 羽純(つきざき・はすみ)がいました。
「え、」
いきなり向けられた視線に羽純が微笑を強張らせると、ぺいゆちゃんの傍にいた遠野 歌菜(とおの・かな)がこっそりとぺいゆちゃんに耳打ちしました。
「ねぇ、ぺいゆちゃん。あのおにーちゃんもショタになりたいんだって。してあげて♪」
きっとかわいいよ、と歌菜に微笑まれて、ぺいゆちゃんは輝く眼差しで頷きました。
「待ってるのですよー、ショタ大歓迎です」
そしてぺいゆクレヨンを手にします。
離れた所にいてもそれがわかった羽純は、思わずダリルから手を離しました。
「おい、待て、」
残念ながら制止は間に合いませんでした。
みるみるうちに可愛らしい少年へ姿を変えた羽純は、変わってしまった己の手や身体を確認してまん丸の瞳に怒りを浮かべました。
「お、おーまーえーらー……覚悟は出来てるだろうな……?」
あどけない容姿に似つかわしくない地の底からのような低い声に、歌菜たちはわざとらしくきゃーと悲鳴をあげます。
「全員、そこへなおれッ!」
勿論、そんな羽純の命令など聞く気はない面々は、その声を合図とばかりに鬼ごっこを開始しました。