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【ぺいゆさんイラスト500枚突破記念】夢のぺいゆ王国

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【ぺいゆさんイラスト500枚突破記念】夢のぺいゆ王国

リアクション

散り散りになって逃げるルカルカや歌菜たちに続いて駆け出そうとしたぺいゆちゃんでしたが、後ろからぎゅっと抱きつかれて動きを止めました。
何事かと振り返ると、ミネッティ・パーウェイス(みねってぃ・ぱーうぇいす)が抱きついたままにっこりと笑います。
「ねぇねぇ、ぺいゆちゃん」
「何ですか?」
「ぺいゆちゃんはショタを愛でるのが好きなんだよね?」
「言わずもがなですよー」
「それじゃあさ、そういう子たちといろいろ楽しいコトしたいとか思ったりしないの?」
「楽しいことですか? 思いますよ?」
「それじゃあさ、」
「だからこうやって遊ぶのは面白いです。ショタはジャスティス!」
「えっ」
「その通りだわ、ぺいゆちゃん!」
ぺいゆちゃんの叫びに返ったのはミネッティの呆気にとられた声とフォルトゥーナ・アルタディス(ふぉる・あるたでぃす)の同意でした。
「育ちきっていない手足がすらりと伸びるアンバランスな時期、ショタっていいわよね」
嬉々として神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)を抱きしめながら、フォルトゥーナは力説します。
「あの大人と子どものはざまにいる感じがたまらないわ」
「わかる!! あの庇護欲を誘う姿……」
「こんなふうに半ズボンから見える生足とか」
「いいやっほおおい! 鉄板来た!」
少年用の制服のようなものを着せられた翡翠を愛でてきゃきゃと騒ぐぺいゆちゃんとフォルトゥーナに、ミネッティは何だかなぁと肩を竦めました。
折角この機会に乗じてぺいゆちゃんに近付き、お城に住まわせてもらおうかと思ったのに、当てが外れてしまいました。
「やっぱり写真は撮らないといけないわよね!」
「そうですね!」
「じっとしててね翡翠」
「あ、ミネッティたんも入るですよ」
「え、ぼ、ボクも?」
「ほらほら〜並んで」
「うは! 並ぶと二倍可愛い!」
撮るわよ〜とフォルトゥーナにカメラを向けられ、つい笑顔を作ってしまいます。
それからあれやこれやと着せ替え人形にされ、「この台詞を言ってみて」と言われてはリクエストに答え……とやっているうちにミネッティは当初の目的を諦めました。
「ぼ、ボクちょっと休んでくるよ……」
「あら、大丈夫?」
「う、うん、お茶でも飲んでくる」
そそくさとその場を去るミネッティを案じる二人の付き添いをかたく辞して、ミネッティはその場を離れました。
「あ、そうだ翡翠、その姿で『大好き』と微笑んでくれない?」
「こう、でしょうか? ……だいすき」
言われるままに告げてにっこり笑えば、またフラッシュが光ります。
「ああ、かわいいわ!」
ぎゅううっと双方から抱きしめられ、翡翠は抵抗も出来ずに苦笑するのでした。
それを見ながらミネッティもため息をつきました。
「ありゃあ無理だねぇ……せっかくいいコトさせてあげてもいいと思ったのにな」
玉の輿はお預けか、と肩を落として、折角のお城を満喫するためにふらりと散策を始めるのでした。
そしてそれと入れ換わるようにぬうっとぺいゆちゃんの頭上に影が落ちました。
「お前か、国王というのは」
「へっ」
呼ばれて顔を上げたぺいゆちゃんは、己を見下ろす万有 コナン(ばんゆう・こなん)を見て絶句しました。
「ちみは……」
「ショタをお望みらしいな」
コナンに問われてぺいゆちゃんはこくこくと頷きます。コナンもニカッと輝く歯を見せました。
「それなら俺が思う存分抱きしめてやろう」
「は、はぁっ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげるぺいゆちゃんを気にした風もなくコナンはぺいゆちゃんをがばっと抱きしめました。
急に為された逞しすぎる抱擁に、ぺいゆちゃんはばたばたと暴れます。
「うわっひゃあああああああ!! 離せ! 下しっ」
「ん? お前飯はちゃんと食ってるか? プロテインとかアナボリックステロイドとかちゃんと摂っているのか?」
ぺいゆちゃんを下ろしたコナンは、首を傾げてごそごそとポケットやカバンを探り出しました。
「もう少しバランス良く鍛えるといい。俺のプロテインを分けてやろう。なに、遠慮はいらん」
「いっ、要らないのですよ!」
珍しく取り乱して首を振るぺいゆちゃんの声にかぶせるように何かが空気を震わせました。
「あーん、コナン君まってー!」
制止をかけてきたのは可愛らしい公孫 勝(こうそん・しょう)の声でした。
震えている、というか揺れている何か、は勝の豊かな胸元です。
「コナン君、国王さまにおいたは駄目よっ」
恐らく城に来たばかりなのでしょう、まだ少年の姿に変わっていない二人を見て、ぺいゆちゃんは慌ててクレヨンを手にしました。
勝はともかくコナンをこのままにしておいたら自分の身がもちません。
けれど、ショタの絵を描き始めたぺいゆちゃんにコナンはまた歯を輝かせて笑いました。
「おっと、そのクレヨンで何をしようとするつもりだ?」
「もしかしてわたくしたちを子どもにするつもりですか?」
コナン君の年相応な姿は見てみたいかもしれないですぅ、と目を輝かせる勝でしたが、コナンの方は笑止とばかりにばーんとポーズを決めました。
「正真正銘の小学生であるこの俺を! フンッ! ショタにするだって!?」
びしっ、ばしっ、と決められたポーズは、思わず見とれてしまうほどの肉体美を強調してきます。
「面白い! やれるものならやってみるがいい!!」
ばばーん!
見事に鍛え上げられた腹直筋や大胸筋を目の当たりにして、ぺいゆちゃんは今までにない早さでクレヨンを走らせます。
此処まで必死にショタを描くのは初めてかもしれません。
けれどそんなぺいゆちゃんにまたも邪魔が入りました。
けたたましい叫び声が聞こえたせいです。
それもおおよそショタっ子が出したとは思えない野太い
男の声でした。
何事かと顔を上げると、どうやら向こうが騒がしい様子。
席を立とうとするぺいゆちゃんを貴仁や鬼崎 朔(きざき・さく)が止めます。
「私が見てきます」
貴仁と視線を交わした朔が静かにそう告げ、騒がしい方へと足を向けました。
果たして、朔が向かった先にいたのは――。
「いやぁ、油断してました」
はっはっは、と明るく笑うルイ・フリード(るい・ふりーど)でした。
どうやら先ほどの悲鳴はルイのもののようです。
「……何をしているんですか?」
先ほどまでお城の中を走り回っていたルイは、確かに普段とは比べ物にならないほど華奢な少年の姿でした。
よくもここまで変わるものだと周りが驚くほどだったのですから、忘れようも間違えようもありません。
子ども独特の柔らかさを残した身体で、転がるように他のみんなと遊び回っていたはずだったのに、今のルイはいつも通りの二メートル越えの巨躯。
どうしたことだと朔が訝ったのも無理はありません。
けれどルイはいやあ、とまた笑ってうねうねと蠢く何かを差し出してみせました。
「これに近付いたらうっかり噛まれてしまって……元に戻ってしまいました」
「これは……」
これ、とルイが掲げたのは一匹の虫でした。
恐らく話に聞いていたオヤジムシでしょう。
これは厄介なことになったと朔は眉を寄せました。
多くの人間がショタ化してしまった影響は思ったよりも大きく出てしまっているのかもしれません。
「先ほど他のところでも見かけましたから、他にも私のようになっている人がいるかもしれませんね」
ルイの立ち上がりながらの言葉に、朔はあたりを見回します。
こういうイレギュラーなものが存在しているということは、それを使って何事かをたくらむ人間がいてもおかしなことではありません。
案の定、目を凝らした先でも何か騒ぎが起きているようでした。
「あそこにいるのは……」

朔が目を細めて見た先では、何処から出したのかオヤジムシを天空寺 鬼羅(てんくうじ・きら)にけしかけているクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)黒髭 危機一髪(くろひげ・ききいっぱつ)がいました。
「自分……不器用ですから……」
避けることも出来ず噛まれてしまった鬼羅は、いつもとは一転して渋く落ちついた雰囲気を纏い始めました。
ヘアスタイルはアフロでしたが、隠しきれないいぶし銀の雰囲気。
服は何故か纏っておらず全裸でしたが、漂うダンディズム。
そんな鬼羅はおもむろに画材を手にし城壁に描画を始めてしまいました。
みるみるうちに描き上がる、繊細なタッチの絵に、黒髭も思わず口笛を鳴らします。
「こりゃあなかなかじゃねぇか」
「自分……不器用ですから……」
「んなこたねぇぜ。こんな絵が城に飾ってありゃあ少しはハクがつくってもんだろ」
「自分……不器用ですから……」
「あん?」
「どうやら彼は恐縮しているようだな。『修行不足の拙い絵ですが。このすばらしい城の中に飾らせていただいて感極まり涙が出てきます』と言いたいみたいだ」
「なんだそりゃ」
クロセルの適当にも聞こえる通訳にこくりと鬼羅が頷いたのを見て、黒髭はがりがりと頭をかきました。
「まぁいいけどよ。この季節寒ィから外で描くのは程々にな」
何も纏っていない鬼羅にそう声をかけて、黒髭とクロセルは踵を返しました。
どうやらオヤジムシの効果のほどは抜群だと証明できましたので、本来のターゲットの元へ向かうことにしたのです。
そう、本当に二人がオヤジムシをけしかけたい相手――ぺいゆちゃんの元へ。

此方に向かってくるクロセルと黒髭を確認した朔は、すぐに取って返しました。
ぺいゆちゃんは虫が苦手です。
オヤジムシを見ただけで大騒ぎになるでしょうし、万が一噛まれでもしたらさらなる混乱が生じるでしょう。
そのようなことは是が非でも避けたい。
そう思った朔はぺいゆちゃんの元へ戻り、虫がいるから場所を移すべきだと進言しました。
虫と聞いて顔色を変えたぺいゆちゃんが逃げようとしましたが、身をひるがえした方向からがさがさと数人の人間が現れました。
源内にレイ、權兵衛に奏です。
源内の手の内にあるものを見てしまったと周りが思ったと同時に、ぺいゆちゃんも悲鳴をあげました。
「ひぎゃあああああ!! 虫! 虫は無理!」
貴仁や朔の後ろへ逃げようとするぺいゆちゃんを庇いながら、朔はすぐにぺいゆちゃんの手を引きました。
人気のない方へと逃げながら、源内たちが追ってきてはいないかと視線を後方に向けます。
どうやら標的は手当たり次第、誰でもいいらしくぺいゆちゃんだけを追ってくるわけではないようでしたが、確実に足は此方に向かっているようです。
貴仁が宥めるように声をかけながら「何処か逃げる場所は?」と聞きました。
「え、謁見室に逃げるうううううう」
最初にみんなが面通しした部屋のことでしょう。ひたすらに虫から逃げて、ぺいゆちゃんたちは謁見室にかけ込んで扉を閉めました。
窓から城の庭に面した窓からそっと外を窺ってから、朔はぺいゆちゃんに向き直りました。
「……ぺいゆちゃん、少しいいですか」