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エピローグ『そして現実世界へ――』


「うへぇ。ひどい目にあったぜ」
 最初に目覚めたのは、匿名某だった。

「匿名! 無事だったのか!」
 ダリルが彼の元へ駆けつけた。匿名は、手に持っていた能面を見せながら言った。
「ああ。こいつのおかげだよ」
 三人目のハッカーが落とした、『ダメージを無効化する能面』。そのチート能力により、シャンバラ宮殿の最上階から落ちても無傷でいられた。
「なぜか具現化されてるけどな」
 能面を手にしたまま、匿名は肩をすくめた。


 全員が、ログアウトしたところで。
「諸君! 安心するのはまだ早いぞ!」
 般若のお面を被った人物が、彼らの元へと近づいていく。
「実は……ここもゲームの世界なのだよ!」
「な、なんだってー!」

 慌てふためく一同だったが。
 お面の上から飛び出たアホ毛を見て、すぐになななの冗談だとわかった。
「まったく、脅かさないでくださいよ」
 気抜けした小暮が、その場に尻もちをついた。
 彼らのやり取りをみていたメンバーたちは、一斉に大爆笑する。


「――しかし。こうして見ると、なにが現実なのかわかりませんね。ここが現実である確率は、50%です! ……そう言いたくなってしまいます」
 立ち上がりながら、小暮が苦笑した。
 彼もまた、冗談を言ったつもりだったのだろう。
 だが、リアル・ワールドで死線をくぐり抜けてきたメンバーには、冗談に聞こえなかった。

 沈黙する一同に向けて。
「なにはともあれさ。戻ってこられてよかったよ!」
 般若のお面を取り、なななは笑った。
「えへへ。また、みんなに会えたもんね!」


 いったいどこまでが仮想なのか。
 あまりにもリアルなゲームのせいで、その境界がわかりづらくなっていた。
 しかし。
 目の前にある、なななの笑顔。

 それだけは紛れもない現実だと、確信できた。

担当マスターより

▼担当マスター

水琴桜花

▼マスターコメント

 お読みいただきありがとうございます。
 いかがだったでしょうか。楽しんでいただけたら嬉しいです!

 前回よりもたくさんの方に参加していただいたので、とてもやりがいがありました。ありがとうございます。
 
 それでは、またお会いしましょう!