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特別授業「トランプ兵を捕まえろ!」(第2回/全2回)

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特別授業「トランプ兵を捕まえろ!」(第2回/全2回)

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 西の門を見つめみて、蒼空学園のプリースト、鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)はため息をついた。
「なんだ…… ? あれは……」
クラブのキング(13)ムーンのクイーン(12)サニーのクイーン(12)、それとクラブのジャック(11)ですねぇ」
 虚雲のボヤキに、パートナーの紅 射月(くれない・いつき)が目を細めて応えた。
「そんな事は見れば分かる。どうして一体増えているんだと聞いているんだ」
「さぁ、どうしてでしょう」
 虚雲のため息を拾うかのように、薔薇の学舎のローグである柳生 匠(やぎゅう・たくみ)が声を明らめた。
「何にしても一体ずつ、確実に倒していくしかないだろう」
「はぁ……。ならまずは空に浮いている奴を落とすか」
「浮いている、とはサニーのクイーン(12)の事ですね?」
「あぁ。地に落としちまえば、ただの絵柄兵だろ?」
「チマチマ言ってんじゃねぇぜ、ぶっ倒せば良いんだろ?」
「…… 副会長は少し黙ってて下さい」
 副会長と呼ばれるは虚雲のパートナーでウィザードの瀬戸鳥 海已(せとちょう・かいい)である。海已が戦陣を見つめた時、幾人かが絵柄兵陣に向かって行くのが見えた。
「あぁおぃ、先を越されたぞ!」
「あっ、ちょっ、待て」
「仕方がありませんね」
 飛び出した海已を追って、チーム「PLANT」が始動した。とりあえずはサニーのクイーン(12)を地に落とす事、それだけしか決まってはいないが、何にしても挑み向かうしかないのだ、ため息を零した虚雲も目に鋭さを宿した。


 西門戦陣、駆け向かう。絵柄兵に向かって、チーム「カードバスターズ」の7人が駆け向いていく。
 百合園女学院のプリースト、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)はシャンバラ教導団のソルジャー、比島 真紀(ひしま・まき)に置きかけた。
「相手は4体も居るですよぅ」
「チームが分散する事だけは避けるべきです。サイモン」
「あぁ、分かってる、行くぜ」
「待って下さい」
 蒼空学園のナイト、菅野 葉月(すがの・はづき)が、火術を放とうとしていたサイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)を制止させた。近づき来た小型飛空艇に気づいたからであった。
 飛空艇は更に高度を下げて皆に寄り来た。飛空艇からはチーム「PLANT」鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)が呼びかけていた。
サニーのクイーン(12)は、俺たちが受け持つ」
 メイベルが虚雲と視線を交えた。メイベルは受けて門へと移した。
「分かりましたですぅ、私たちは……クラブのキング(13)を狙いましょう」
「先制攻撃なら、ワタシもやりますよ」
 そう言って菅野 葉月(すがの・はづき)のパートナー、ウィザードのミーナ・コーミア(みーな・こーみあ)サイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)と並びて火術を放った。
 絵柄陣の手前、そして中央に放たれた火術が爆音を上げる。土の埃が舞い上がる。
 次の瞬間には、チーム「トランプハンター」も動き始めたのだ。


 西の戦陣に土の埃が舞い上がった時、チーム「トランプハンター」は飛び込んだのだが、前方に感じるはずの緊張感、それを感じるよりも前に後方から驚きを得る事になってしまった。
 その瞬間の少し前だけ。そう、チーム「カードバスターズ」すらも西門を見つめていた時、チーム「トランプハンター」のナイト、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)とウィザードのウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)の眉は重く、目を平たくしていた。
「なぁ、クロセル、どうするよ」
「う〜ん、どうしましょうかねぇ」
「やっぱりさー、一発かましてやれば良いんじゃね?」
「いや、でもこっちで勝手に始めると、罠部隊の皆さんが……」
 困りながらも仁王立つ二人の後方から、ウィザードのシルエット・ミンコフスキー(しるえっと・みんこふすきー)が歩み寄り荒げた。
「ちょっと、いつになったら来るのよ、絵柄兵」
「いや、門を守るって令が優先されるみたいで」
「トランプを見せても追って来ないんだよー」
 シルエットに続いたは、ナイトの譲葉 大和(ゆずりは・やまと)、眼鏡を輝かせて寄った。
「そろそろ、彼らも痺れを切らしてしまいますよ」
「もう切れていますよ」
「ったく、遅すぎるぜ、何してんだか」
 樹海での罠班は、ローグの志位 大地(しい・だいち)とナイトのエル・ウィンド(える・うぃんど)の二人。我慢できずに合流してしまったようである。予定外であるがチーム「トランプハンター」の面々が揃ってしまっていた。
「仕方がありません。一斉に仕掛けて、あわよくば罠エリアへと誘導する事にしましょう」
「そうそう、初めからそうすれば良かったんだよー」
 不測の事態には柔軟に対応する事、全てが予想の範疇で事が起こるはずがないのである。
 門をめがけてチーム「カードバスターズ」が駆けて行く、そこへ小型飛空艇と数人が寄りて。爆音と土埃、そしてクラブのキング(13)サニーのクイーン(12)が戦陣から少しばかりに離れていった。
ムーンのクイーン(12)クラブのジャック(11)、どっちも相手するのかぃ」
「望むところです。行きましょう」
 クロセル、ウィルネスト、シルエットと大和が飛び出した時、大地が声を荒げて4人を止めた。
「ようやく罠にかかったようですね」
「樹海の中からって事か。フンっ、数字兵か……」
 大和と共に振り向いたエルが大声を上げるのに、幾らの時間も要らなかった。
「何だありゃあ!!」
 振り向いた一同は一様に目を見開いた。
 数字兵が一、二、三の、四の五の六と七体。
 一斉に樹海から飛び出してきたのだ。
「何ぃ?!」
 西門の戦陣、外堀から、囲うように数字兵が襲いかかってきた。


 モニターを見つめるノーム教諭は、口を裂いて笑んでいた。
「くっくっくっ、混乱してるようだねぇ、なぁアリシア」
「はい。時刻も量も予測の通りです」
 各門の戦陣において、絵柄兵と数字兵の挟撃を受ける、故に生徒たちは前方だけでなく、後方への対処も要される事となるのだ。
「絵柄兵たちが待ち構えていれば、それを分断しようとするのは定石だからねぇ、その通りに戦われたら面白くないんだ、くっくっくっ」
 慌てている生徒たち、それを見ているからか、ノーム教諭の笑みは止まる様子を一向に見せなかった。
 ノーム教諭の指示のもと、アリシアはサニーとムーンの数字兵を四方八方、エリアの隅を目指すようにして放っていた。エリア外壁に辿りついた数字兵たちは討伐されたトランプの気配を探りて動き始める、が、その頃には生徒たちは戦略を決め、目指す門を決め、移動を開始していた事であろう。ならば、門を目がけて数字兵たちが集まってくるのは当然の事となる。
 ノーム教諭の謀のままに、絵柄兵を討伐して門を通過しようとする生徒たちは、後方からの数字兵襲撃に会う事となったのだ。
「さぁ、生徒諸君、この戦局を打破できるかな、くっくっくっ」